【正しく怖がる準備が出来つつある!】
【33万枚のマスクを調達できました!】
誰も経験したことのない未知のウイルスの感染拡大に対応するため、学校を臨時休校にして、公共施設も臨時休館して、多くの皆さんにご協力いただきながら感染拡大防止に取り組んできました。何より、ご理解をいただき冷静な行動をしていただいている市民の皆さんに心から感謝申し上げます。

 

このように感染拡大防止に取り組みながら、同時に全国での陽性事例などをみていると、未知だったウイルスの輪郭がぼんやりと見え隠れしてきています。

例えば、新型コロナウイルス陽性と判定、診断された方は、その多くが軽症または無症状であり、感染者の8割は他者に感染させていないということ。一方、重症化したのは高齢者や持病のある方々等が中心ということから、今後このような方々を中心に守っていかなくてはいけないということ。

またこれまで集団感染が確認された場所に共通するのは、

1、換気の悪い密閉空間
2、多くの人が密集する場所
3、近い距離での会話や発声が行われた
という3つの条件が同時に重なった場所のようです。

 

また未知ということで新型コロナウイルスの方がインフルエンザより怖いイメージが先立ちます。一方、単純にこれまで亡くなった方の人数だけで比較すれば、インフルエンザによって日本では1シーズン3000人でピーク時には1日50人くらい亡くなられてますが、これまで新型コロナウイルスが発生してから亡くなった方は日本全体で累計22人です(国の統計3月15日時点)。インフルエンザには治療薬があり、新型コロナウイルスには無いにも関わらずです。

 

また新型コロナウイルス治療薬自体は開発中であるものの、福岡市から注目される事例も発表されました。マラリアの治療薬を使ったところ、新型コロナウイルスに感染していたご夫婦の症状が改善したのです。重症化していた60代の男性は人工呼吸器がはずれ回復に向かっています。女性の方は既に症状が改善し、2度のPCR検査でも陰性になり回復され退院されています。

 

このように日本全体で協力して感染拡大防止に取り組む中で、「未知」のものの輪郭がぼんやり見えてきそうです。これはまさに「正しく怖がる」ことができる前提です。
ここがわかれば、例えば同じように沢山の人が集まる場所であっても、静かに美術品を鑑賞する場所や無言で楽しむ映画館などであれば衛生面に注意しながら通常通りにオープンしていいのではないか。一方で、引き続き注意が必要なのは、声を出したり息が上がって肺からウイルスが拡散しやすくなるような場所など、というように線引きが出来るようになります。

 

全国一律の規制から、ポイントを絞った自粛へと、より効果的な予防へ変えていくためにも、厚生労働省をはじめ国に集まっているこれまでの知見を地方自治体にも共有していただくことが必要になります。

また医療現場の声、地方経済の極めて厳しい状況や今後の大胆な経済対策に対する期待なども合わせて、市民に一番近い自治体としての声をまとめました。

このような声を国のどの省庁の誰のところに届ければいいのか。そこで麻生副総理に相談したところ、安倍総理にもぜひ直接届けてほしいということで、急遽金曜日の夜に官邸に伺って、総理に福岡市が現場対応する中で見えてきた現状と要望をまとめて届けてきました。

専門家のご意見も踏まえて、ぜひ「正しく怖がる」前提となる情報が少しでも多く国から自治体にも提供されて、全国一律の自粛からポイントを絞った部分的な自粛へと、より効率的な対応が出来ればと思います。

 

さて、マスク不足は依然深刻な課題です。特にこれまで実際にクラスターになった場所や濃厚接触をせざるをえない場所では切迫しています。例えば手術や治療にマスクが欠かせない医療現場。口の中を扱う歯医者さん。高齢者や障がい者に様々な介助をする施設のスタッフ。留守家庭子ども会のスタッフや教員。保育園や企業主導型保育施設、認可外保育施設などのスタッフ。

福岡市では2万枚の備蓄のうち、1万枚をすでに福岡市医師会を通して医療機関に渡していますが、まだまだマスクの確保は大きな課題で、マスクの製造業者や各所に働きかけをしていました。

 

そうした中、毎年ダボス会議などでお会いをしている広州市の温市長から、激励の手紙と共に、30万枚のマスクが届きました。福岡市と広州市は去年、姉妹都市締結40周年で大きく式典をしたばかりでしたが、今回このマスクを運ぶためだけに飛行機の臨時便を飛ばして運んでくれました。広州市はイランやイタリア、韓国も含めて56の国、81の都市と友好都市や友好協力交流都市ですが、40年前に福岡市が広州市にとって最初の姉妹都市だったということもあり、温市長から最優先で福岡市へ対応をするように指示していただいたそうです。本当に感謝です。
(ちなみに姉妹都市となった40年前に、福岡市からは中国初のジェットコースターを広州市に贈り、広州市からは福岡市動物園にパンダがやって来たのです)

 

早速、医師でもある荒瀬副市長とも相談をした上で、マスク不足で緊急要望が出ていた福岡市医師会へ10万枚。福岡市歯科医師会へ8万枚。高齢者、障がい者施設に7万枚。また福岡市内すべての保育園や留守家庭子ども会などのスタッフへも5万枚配布します。
ちなみに、なぜ限られた資源を子ども自身より先生やスタッフを優先して配布するかと言えば、保育園の先生が感染すれば子どもたちを預けられる場所がなくなるから。
高齢者施設のスタッフが感染して施設が高齢者を受け入れられなくなったら、高齢者の行き場所がなくなるからです。

また国などから調達できたN95マスク1万枚とサージカルマスク2万枚を感染症指定病院と協力病院に配布します。

 

 

福岡市長 高島宗一郎