こんにちは、福岡市長の高島宗一郎です。


 飲酒の絡む不祥事が相次いだことを受けて、福岡市職員に、1ヶ月の期間、自宅外で飲酒しないように要請してから1年が経ちました。
 職員が自分自身を見つめなおし、また、職場などでの議論を深め、公務員としての責任を改めて認識するきっかけを作りたいと思い、当時、私自身も覚悟を決めて実施を決断しました。


 あれから1年を迎えるにあたって、市役所の全課長556人を対象に、禁酒令以降のこの1年間の不祥事再発防止の取組みについてアンケートを行いました。
 その結果、「あなたの職場では、この1年間の取り組みを通じて意識や行動が変わったか?」の問いに対して、良い方向に変わったとの回答が92%でした。
 一部マスコミでは禁酒令に賛否ともありますが、実際9割以上の職場がこの1年間で意識や行動が変わったと答えたのであれば、これはとても大きな成果だと言えるのではないでしょうか。


 人はそれぞれ、心に響く言葉や取組みが異なります。そうした中で、この1年間はあらゆる角度から様々な不祥事対策を実施してきました。
 どうしてもインパクトのある取り組みばかりが報道され目立ちますが、福岡市では決して禁酒令だけで終わったのではありません。
 むしろこれを強力なきっかけにしながら、職場での対話を活発にし、それぞれの職場での取組みもスタートさせ、一方で懲戒処分の指針も厳罰化しました。


 禁酒令というインパクトのある取組みで不祥事を自分ごととして真剣に受け止めるようになった職員もいれば、職場での話し合い、仲間からの言葉が心に響いた職員もいたと思います。
 また処分の厳罰化によって身が引き締まった職員もいるかも知れません。
 管理責任の明確化で所属長のマネジメント意識が向上し、各職員への関心をより高める効果もあったかもしれません。


 これらはどれか一つだけが成果があったというのではなく、いろいろな取組みが複合的に組み合わさって1万人以上のそれぞれの職員の心に響き、職員の意識や行動、さらには職場の雰囲気を変えていったのだと思います。


 これをすれば不祥事が起こらなくなるという、特効薬は存在しませんが、1年経って市役所の9割以上の職場で職員の意識や行動がよくなったと回答していることからすれば、1年間の取り組みは効果があったと言えるのではないでしょうか。
 しかし一方で、この一年の間にもアルコール依存症の職員や心の病を抱える職員などによる不祥事がありました。これは各企業や組織でも同じように抱えている難しい課題です。


 これからも不祥事が起きない環境づくりをするため、気を緩めることなく、この1年の取組みを続けていくことが大切だと考えています。