こんばんは、福岡市長の高島宗一郎です。


 「全国クルーズ活性化会議」の設立総会が東京でありました。この会議は全国の港湾を管理する79の自治体の市長や知事などが集まり、クルーズ船寄航についての課題を共有し解決策を出し合うことを目的に発足したもので、光栄なことに福岡市長である私が初代会長を務めさせていただくことになりました。

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 クルーズ船というと、みなさんは何を連想されますか?
 映画のタイタニックや、豪華世界一周旅行など、テレビや推理小説に出て来るような究極の贅沢な船旅ですか?
 確かに、お金持ちの豪華旅行というイメージが強いクルーズ船ですが、最近ではアジアを中心とした、期間も短めのカジュアルなツアーがたくさん出てきました。このため、より多くの方が海外から日本へ、日本から海外へ気軽にクルーズを楽しむことができるようになっています。


 クルーズ船は動くホテルでもありますから、一度自分の部屋に荷物を置けば、あとは手ぶらでいろいろな街を回って観光や買い物ができ、高齢者にとっての負担も少ない旅行スタイルとも言えるかもしれません。
 また、クルーズでの旅行は、持ち込み手荷物の重量制限がありませんので、旅行者が短時間で多くの買い物をして頂ける点でも、航空機旅行との違いがあります。だからこそ、多ければ一度に数千人という単位で観光客が訪れるクルーズ船の寄航は、その地域経済の活性化に絶大なインバウンド効果をもたらすのです。
 また、ゆっくりと時間を過ごすこともできるクルーズは、これから高齢化が進展していく日本において、新たな旅行スタイルのアウトバンドとしても大きな期待ができます。


 そして、このクルーズ市場は、これから大きく拡大していく可能性を秘めています。北米では人口の約4%、ヨーロッパでは約1%の人が楽しんでいると言われるクルーズですが、アジア・オセアニアではまだ0.03%です。
 この0.03%の潜在力が経済発展に伴って今後数年で0.1%まで市場が拡大するという分析もあり、ヨーロッパやアメリカの船会社もアジアマーケットに大型の船を投入する傾向が顕著です。


 このように、クルーズは観光を成長戦略の柱とする福岡市にとって1つの大きな観光資源であり、その活性化は国の成長戦略の柱の1つに観光立国を目指す日本全体にとっても大きな課題であるのです。
 そのためにも、例えば大型クルーズ船が着岸できる岸壁の整備などの共通の課題を全国の自治体等の力を合わせ、一緒に解決していこうというのが、昨日設立された「全国クルーズ活性化会議」の趣旨なのです。


 福岡市には現在、日本で一番外国クルーズ船が寄港していますが、これからの展望としては、外国から飛行機で福岡まで来て、そこから港で船に乗ってクルーズを楽しむ、「フライアンドクルーズ」です。
 実際、マイアミのカリブクルーズやヨーロッパの地中海クルーズ、シンガポールなども、そのほとんどが「フライアンドクルーズ」なのです。先日お話をしたシンガポールのクルーズ担当者ともこのような形での連携についてお話をさせて頂きました。


 福岡は日本海側に位置しており、距離的にアジアに近いこともあり、国際線のある福岡空港と博多港が近接する福岡市が、その拠点・母港になれる可能性は十分にあります。
 例えばヨーロッパ直行便が就航する来年4月以降、ヨーロッパから福岡空港に飛んできて博多港からアジアクルーズに行くという将来のツアーについて、KLMオランダ航空の日本支社長とも夢を持ってお話をしました。
 もちろん逆に福岡からヨーロッパに飛び、地中海の風を感じながらバルセロナ、マルセイユ、ジェノヴァ、ローマなどの美しいまちをクルーズ船で巡ることも。


 考えるだけでも夢が膨らみますよね。クルーズ旅行スタイルが日本でも一般的になる日も近いかもしれません。