最近、とても面白い本を読んだのでちょっとご紹介。

数学の話なんですが、「フェルマーの最終定理」って聞いたことありますか?
高校2年生の時の担任が数学の先生で、授業の時に、この”フェルマーの定理”について教えてもらったので、名前は聞いたことがありました。
どういうものかというと
xn + yn = znという数式において、nが3以上の数になるとき、この数式を満たすx、y、zの組み合わせは存在しない。ということの証明です。
n=2(二乗)の時は、有名なピタゴラスの定理になるので、数式を満たすx、y、zが存在するのは明らかですね。
もともとこの命題を発案したフェルマーという人は、プロの数学者ではなく裁判官などをやる片手間に趣味で数論を研究するアマチュアでした。
彼は非常に高度な証明問題をプロの数学者に送りつけ、彼らが降参する姿を見て楽しむという趣味がありました。
フェルマーが残した問題は多数残っており、その問題の証明は彼の死後に、後世の数学者によって完全に証明されましたが、ただ一つ、どんなに高名な数学者がトライしても一向に証明できない問題があったのです。
フェルマーは彼の手記の中に
「私はこの命題について恐るべき証明法を発案した。しかし、この余白では少なすぎてとても書ききれないだろう」
というメモを残していました。
この問題は「フェルマーの最終定理」と呼ばれ、多額の懸賞金がかけられました。
プロアマ問わず、多数の人がこの証明にチャレンジしました。実はフェルマーの手記の中に(n=4)の場合の証明方法のヒントが隠されていて、それをもとにn=3の場合、n=7の場合など、ピンポイントのケースについての証明がなされましたが、全てのケースにおいての証明は誰も成し遂げられませんでした。
フェルマーの最終定理にのめり込んで人生を棒に振ったもの、キャリアを無駄にした数学者など、数多の人々を不幸に陥れるこの定理は「悪魔の定理」と呼ばれるようになり、実に360年間もの間、誰にも切り崩すことのできない孤高の壁として君臨してきました。
しかし、1993年、ついに数学者アンドリュー・ワイルズによって完全な証明がなされました。
彼は単純な数論だけでなく、高度な代数幾何学など他分野の理論やテクニックなどを駆使して、悪魔の定理に終止符を打ったのでした。
この本は数学がよく分からない人にも解り易く書かれていて、非常にノンフィクションとして楽しめる内容になっています。
数学者というと、何だか一般人とは隔絶した世界の住人で、実生活に何の役にも立たないようなことを一生懸命やっているというイメージがありますね。
そんな無駄と思われることに人生をかける者が存在し、彼らを突き動かすのは、知りたいという知的好奇心であり、またそこには、葛藤や歓喜、妬みや友情、といった非常に人間臭い感情があります。
特にワイルズが証明を成し遂げるまでに至る、あらゆる人間ドラマが秀逸で、そこにロマンを感じずにはいられません。
かつてベン・ホーガンは
「私はボールを正しく打つためのスイングの秘訣を見つけた。これは誰にも明かすつもりはない」
と言いました。
ホーガンのスイングの秘訣は”Hogan's Secret”と呼ばれ、プロアマ問わず、現在も色んなゴルファーの興味の対象であり続けています。
何か、フェルマーの最終定理に似ていますね。
無論、僕らのようにプロゴルファーでも無い人たちは、ボールが完璧に正確に打てるスイングが解ったとしても、実生活には何の役にも立たないでしょう。
でも、そのようなミステリアスな謎を知りたいと思う気持ちは”ロマン”なのです。
無駄という一言では片付けられない魅力があります。
数学(数論)というものと、ゴルフスイング理論って、その悪魔的な中毒性が何だか似ているような気がしてきます。w
こういう無駄なことに情熱をかけられるのって、人間という動物の良いところですよね。