★★★★★(星5)
<My Opinion>
「貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵」
でトレーディングとインベストメントの違いを一般投資家向けに分かりやすく解説し、2007年アマゾンランキング(投資関連本)年間第2位を獲得した、金融プロフェッショナル北村慶氏の本。
本書は「貧乏のデイトレ~」に引き続き、「将来のことは誰にも分からないが、世界経済全体の成長率でマイナスが続く可能性は極めて低い」という真理から投資方法を構築していく。著者は世界経済全体の成長を取り込むため、長期・分散・低コストのポートフォリオを構築するべきで、その為の具体的な金融商品としてETF(上場投資信託)を強く勧めている。ETFは投資信託よりも低コスト(手数料・信託報酬等)で、投資信託との対比においては明らかにETFに利があり、長期投資に有効である。
エマージングマーケットが今後も成長するのは明らかだが、リスクもたっぷりあるのも明らか。かと言って先進国の成長率はしばらく期待できない。Investor(長期投資家)は海外市場全体を買ってしまえば、世界経済全体の成長を取り込んで低リスク、中リターンのパフォーマンスをあげることができる。北村氏の理論は非常にシンプルだが本質的かつ一般投資家には良心的と思える内容が多く(ポジショントークが少ない)、前著からその主張を総論で支持している。
本書は2008年9月初版であるが、その時点よりも国内証券会社から購入可能なETFは国内銘柄、海外銘柄共に数がぐっと増えている。本書で提案されている具体的なポートフォリオや銘柄リスト等はもはや陳腐化してしまっているものの、この本からはインベストメントについての骨格、基本的なスタンスを学べば良いだろう。長期で資産運用を考える投資家にとって、ETFを中心にポートフォリオを構築することは現時点では最も懸命な判断だろう。
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