コラァ!中国、いい加減にしろ!  辻本 貴一 | So-Hot-Books (So-Hotな読書記録)

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書評と読書感想文の中間の読書日記。最近は中国で仕事をしているので、中国関連本とビジネス関連本が主体。

★★★☆☆(星3)

<My Opinion>

タイトルの通り、中国への憤りで満載の一冊。著者は20数年間ビジネスマンとして中国に関わり続け、最後には撤退を決断した苦い経験をもつ。著者の物言いは過激で偏見が強すぎると思うが、このような物言いになってしまう程つらい経験をした日本人は確かにいるだろう。

「ビジネスの世界で現実の中国人と接触してその異質な人格に触れた時、そのあまりの人格欠如ぶりに背筋が凍るような恐怖を感じました。中国人は利益を目の前に対峙したとき、嘘をつく事に躊躇しません。むしろ積極的に嘘で固めてしまいます。ばれても逆に開き直って恫喝します。(P10)」

上のような発言は、中国に来た当初であれば誇張だと思っただろうが、今現実にビジネスの現場で中国人と毎日接していると、これに近い思いを抱くこともあるのは事実だ。ただし、

「もちろん世界の秩序を乱す中国が崩壊してくれる事は大歓迎なのですが!(P67)」

このような物言いはあまりに感情的で短絡的すぎるし、今後の世界経済の発展を真剣に考えるのであれば主張としても賛成できない。とはいえ、著者は中国と20年以上関わってきていて、本質的な主張も見つけられる。本書は著者の感情的な部分を差し引きながら読むのが良いだろう。

参考になった箇所をメモ。
<Memo>
●アメリカ最大の弱みはアメリカ国債を中国に大量に持たれてしまったことです。アメリカを崩壊させるには軍事力より債券を売るほうが傷も少なく簡単です。恐ろしいことに中国はアメリカを恐喝できる国債という資本主義の武器に気がつきました。日本もこれら一連の流れを見れば、日米安保条約にどっぷり浸かったまま安心している日本人にとってアメリカの傘はいまやないに等しいことに気がつかねばいけません。(P100)

●お勉強の良くできる人たちは、「問題起こるのは勉強不足である、もっと勉強して真実を見つければ全て解決される」と思っている。国と国との関係において歴史の真実は意味を成さない、真実が国益を損すると見れば、中国は簡単に真実を隠して歴史を捏造する。(P119)

●昔からどれほど多くの日本人ビジネスマンが、漢籍を通じて身につけた中国イメージに魅せられて、中国にわたり、散々な目に遭ってきたか、「史記」「三国志」に登場するような、信義や礼に篤い中国人はどこにもいない。現実にいるのは、油断も隙もならない詐欺師の連中ばかりでした。ーー中略ーー皮肉にも孔子や孟子の教えは日本人の人格を高めるのに大変役立った。しかし漢文の読めない中国人にとって、孔子は無縁の存在だった。(P187)

●中国人の「メンツ」は世間に対する名誉ではなく、単なる虚栄心です。その虚栄心の為に嘘を嘘で塗りたくります。中国人の「自尊心」は自分の品位を保つことではなく、常に相手に勝ちたい、負けたくないという劣等感の裏返しの様な気がします。そのためには手段を選ばない。(P214)

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