2日前の午後3時頃、秋の暖かい陽光を浴びる鹿ノ谷駅を訪ねた。
山の木々も朱色や金色に耀いていた。
青空の下に建つ、その駅舎はあまりにも美しかった。 太陽の光は斜めに駅舎を包んでいた。
駅舎に入った。
年に2回程度は訪問している、その駅はいつものように綺麗に手入れされ、清潔感という言葉そのものだった。
ブラインドから光が射し込む。
その光は駅舎内に広がるまったり感を更に促していた。
駅ノートが置かれている。最初の一冊目はスケッチブック。近隣の方が管理して下さっているようだった。
何も無ければ殺風景な空間も花やジグソーパズル、ぬいぐるみが置かれて楽しい華やかな気持ちにさせてくれる。
山に長い跨線橋が突き刺さっているように見える。
その跨線橋を渡ってみる。
そこを渡りきって向こう側に行ったのは初めてだった。
昔ながらの家、最近建てられたと思われる家、見晴らしの良い高台に建てられた洒落た家。
その高台からは夕張市の歴史が映る。
苦境の歴史もまざまざと写し出されている。
駅舎はその歴史の底辺で静かに呼吸をしていた。
駅舎に戻ると陽が傾き、窓際に置いてあった紅葉が眩しく照らされていた。
駅舎を出た。
右側にある木々が金色に染まっていた。
そして何も起きないまま、いつものように時は過ぎた。
小さな白い雪虫が舞っていた。
きっともう少しで雪が降るのだろう……
季節は繰り返される。
この地にまた、厳しい冬が近づいていた……