友人ジョンに誘われクラブへ出かけた時のこと。
ダンスに夢中になってるジョンを横目に、飲み物を取りに行った紫苑。
おとなしくドリンク待ちしてると、後ろから何か衝撃が。
振り向くと、屈強な白人男性。
そう。この酔っ払いアメリカ君に後ろから背中を殴られたのだ。
だが、全く痛くもなかったし 相手も酔っているし、ケンカしたところで2m近いうえ二の腕が軽く自分の太ももくらいありそうなアメリカ君に勝てる見込みもない。
とりあえず、事態を悪化させたくないのと 特に痛みもなく、こちらに大きな被害はないのとで、このアメリカ君にひとまず微笑んでみた。
するとアメリカ君。
かなり流暢な英語で(そりゃそうだよな)何かまくし立ててきた。
ひとまず うんうんとうなずいてアメリカ君の話を聞いていたが、英語なんて聞き取れねーし、なんかアメリカ君泣きそうな顔してるし。
ひとしきりアメリカ君が話し終えたところで、また微笑んで「すまん。英語わかんない。」と言ってみた。
するとアメリカ君はブツブツ言いながらどっか行った。
追いかけようかとも思ったのだが、なんか下手に刺激して変なのに巻き込まれても嫌だし、背後に注意しつつ、ドリンクを待つことにした。
しばらくして、紫苑はあることに気づく。
外人に殴られたところを撫でて確認してみる。
うん、やっぱりだ。
紫苑「肩こりが治ってる・・・」
あのアメリカ君はもしかして俺の肩の異常を察知してあのような行動をとったのかもしれない。
OK。全てつながった。
この一連の流れはこうだ。
紫苑、ドリンク待ち。
アメリカ君、紫苑の肩に何かとんでもない悪霊がついていることを確認。
アメリカ君「このままでは彼は近いうち死んでしまう。僕が何とかしなくちゃ!!南無阿弥陀仏・・・哈っっっ!!!!」
紫苑、背中を殴られる。
除霊完了。
紫苑、振り返り微笑む。
アメリカ君「君には今、とても凶悪な霊がついていた!!肩の重さもなくなったろう!?」
うんうんとうなずく紫苑。
アメリカ君「良かった。言葉は通じなくてもいい。でも君が助かっただけで僕は・・・」
紫苑、頷き聞いてる。
アメリカ君「あの時・・・僕にもっと力があれば、君を救ったみたいに妹も救えたはずなんだ。」
聞いてる紫苑。
アメリカ君「あんな悪霊にとりつかれた妹のジェシー・・・今なら助けらるのに。助けてあげられるのに・・・」
泣き出すアメリカ君。
紫苑「すまん。英語わかんない。」
アメリカ君「おおぅ・・・ジェシー・・・ジェシー・・・」
とつぶやきながらどこかへ去る。
そう。彼はアメリカ君。
人にない力を持ち、妹を救えなかった哀しみと戦う男。
という作り話を添えて、その後そのクラブでDJをしている先輩に話したら、「お前殴るなんて許さん。そいつはどこだ。ぶっ殺す。」と言って、躍起になってアメリカ君を探してた。
紫苑「アメリカ君ー!!逃げてー!!」
彼はもう帰っていたらしく、先輩の殺意から逃げれました。
「もう帰ったのか!?」って言って、外まで追いかけようとしてた時はさすがに焦った。