「酉」
聞鶏起舞(晋書・祖逖伝)
(ぶんけいきぶ)
あるところに、祖逖(そてき)という人がいた。
祖逖は幼いころから劉昆(りゅうこん)と大変仲がよく、そしてこの2人は同じ夢を持っていた。
それは、中国を他国の侵略から守り、晋王朝を復興し、平和な世の中を作ることだった。
2人はその夢のためには、あらゆる努力を惜しまず、1分1秒をも惜しみ、明け方鶏の鳴き声を聞いて飛び起き、庭に出て剣舞を練習した。
そしてそれは、1年中1日たりとも途切れることなく続いた。
長い間の努力のかいあって、祖逖は優れた軍事的能力を身に付け、鎮西将軍に任じられ、軍隊を率いて中国から他国を追い払い、劉昆はたぐいまれな文才を発揮して、都督(地方行政の最高長官)に任じられ、三州の軍事を管轄させられた。
後の人々は、二人の絶え間ない努力に感動し、彼らが鶏の鳴き声とともに起きて剣舞を舞ったことを『聞鶏起聞』と言い、目標のために精神をふるって努力することを指すようになった。