$羅月 ~月影の島~

何とはなしに今日ソウルシルバーを初めて、今までのポケモンとの違いに驚きつつも(とか言ってホワイトはやってんだけどね、まあずっと前に銀をやったきりで従妹になくされたんで懐古)やってたわけだ。


何で本名入れて最初のポケモンにヒナって名前つけたかは知らんけども、こんな嬉しい特典ですよ。いやもうマジでこのロリコンどもめ。籠球バンザイ。

この勢いで『ひなた、膣○で出○ぞ!!!』でも良いのかもしれない。一番大事な所を隠せていない件。まあ運営のやった事だから仕方が無い。


多分『あやち』だったら完璧だったのかもしれない。あやちが私をくんかくんかですよ。何の罰ゲームだよ。


と言う事で、今回はミクシィにはとても載せられない日記でした(でも呟いてはいる)
メールに日記の内容書いて送るとブログに反映されるみたいなのですが、タイトルどうするんだろうな~。


たぶん二度目の携帯で書く日記です。いやぁ、パソコンって偉大。


今日から合同演奏会の合宿なのですが、それまで気ままに(ってほどでもない)一人旅を楽しんでおりました。

まず8月31日、童心にかえって川でパシャパシャやってたのから一変して荷造り&小宗氏に合同演奏会チケットをお渡しし。

礼服と楽器を持ち出し単身バスに乗り込んだのでした。つーか狭い。バスクラを下に入れるのは可哀想なのでしっかり抱き寄せ長崎へ。

そっからバスで山の上の祖母の家まで行きまして。超重量の荷物もって山道は辛かったよ。

ん~、やっぱり携帯だと荒ぶれないねぇ。


次の日は2時起きでひたすら試験勉強。まあこの度の主目的は運転免許の取得でありまして、ただ勉強する暇がなかったためこんな時間から。当然まともにいくはずもなく、六時過ぎにはバスに乗って下界へ、そっからまたバスで大村へ。


何もねぇ~っ!!!!www


とりあえず熊本との勝手の違いに戸惑いながらも手続きを済ませ会場へ。自分一人だったらやだな~とか思ってたら百人以上いました。遠いとこからご苦労様です。どうせ手前ら殆ど県内だろうがな。

試験はかなり難しかったです。ただまさかの合格、絶対落ちてると思ってた。

手続きが始まるまで近くをぶらぶら、しおりちゃん情報で確認されていた『いなほやき』なるものを美味しく頂いてきました。タコが入ってて、デカいたこ焼きみたいな感じです。ソースが中に閉じこめられてます。

んでまあおっちゃんたちの毒にも薬にもならないトークを聞き流し免許取得、取得者は一列になって帰るのですが途中で交通安全協会に半強制的に入会させられ千五百円をぶんどられた。あんなん催眠商法だよぼったくりだよ、後で親に話したら『注意しとくべきだった』ってああそうですかどうせ私が免許取れるなんて思ってなかったことは言葉の端々から読み取れましたよ。

それがあまりに長かったので、当初予定していた『走飛家お泊まりツアー』は断念。あいつの家行って寝るだけじゃああいつに申し訳ないしねぇ。

町をぶらついて東横インでネットいじってゲセンで軽くスってみろくやで皿うどんセット食べてまた山奥へ昇天。


そして今日も五時おきで支度してバスに乗り込み、現在熱烈に福岡目指してます。博多~千早間は十分かからないらしいので、9時半に博多駅に着くこのバスなら迷いでもしない限り十分間に合うはず。


細かいレイアウトが携帯じゃできないのですよ、読みにくいとは思いますが勘弁してください。


んでは、続きは生で。
どんなに疲れててもどんなに酒を飲んでても定時に起きるのが私クオリティです。羨ましいとか言われますが、6時帰りでそのまま寝て6時半に起きる気持ちが分かるか結構きつい。


と言う事で、つぶやきもしましたが昨日は吹奏楽コンクール九州大会でした。祝!!! 金賞っ!!!!!


高1でTubaで参戦したのが最初でしたが、一巡してまた低音楽器に戻って来た訳で。今回から、と言うか今回以降はバスクラリネットでの参戦です。


とりあえず何度倒れかけたか分かりません。こんなに責任の重い楽器も無いですよマジで。バンドの核、低音の基盤、木低の中心、それでいて木管の宿命とも言える運指(今回は少々緩めでしたが、少なくともエクストリームやマゼランよりはまあ)。

幾度となく『聞こえない』と言われ『音程悪い』と言われ『音が浮いてる』と言われうにゃぁあああああっってなってたのですが、いや今もなってます。私はそうそう後ろ向きになる事はないので、別に挫折する事はありませんでしたが(まあうちのバンドにバスクラは私だけですし)、倒れられない辛さと言うのは結構酷いもんでした。以前Tpで学生指揮をされていた先輩とも熱く語り合った事もありましたが、中々の重圧です。


それでも諦めず色んな試行錯誤と周りからのアドバイスのお陰で、去年の秋と比べて凄まじく上達しそして本番で今自分が出せる一番の演奏が出来て本当に満足しています。ただまだ理想の一割にも満たない、道は少しだけ見えた気がするのでそこに向かってひた走ります。


私の上達はFF2方式ではないので(日々徐々に上手くなっていく気があまりしない)、何かの拍子にどかんと能力が上昇します。その何かがいつ起こるか分からないのですが、もっともっと上手くなりたいです。偉大なる先輩の助力が抜け、今後木低が薄いなどとは絶対に言わせない為にも。


さ~て、これから楽譜補佐の仕事も情宣補佐の仕事も忙しくなるぞ~、後合演もあるし吹の日のアンサンブルもやりたいし、沢山少人数用の曲も書きたいし。学科なぞ知った事か~、定演終わってから頑張れば良いじゃない。とか言ってると年の初めまた忙しくなるかもなのでこつこつやります。


とりあえずフルートorピッコロ&バスクラの曲を作ってみようかな~なんて。頭のイメージでは楽章によっては明らかにピッコロが浮いてしまうのですが、まあ魔の課題曲セリオーソを踏襲したいとか思ったりもして。
サンプルが出来たら演奏してみよう、頼んだぜ松尾君ww



つーわけで、まどか☆マギカきゅんきゃら一番くじに手を出してきます。杏子ディスってんじゃねぇよぉおおっ。もう本編終わったんだから出してくれても良いじゃねぇか。



そう言えば昨日あった面白出来事。
食堂でパン(フランクフルトを挟んでマヨネーズかけたやつ)を買っていく。

練習終了、Nちゃん(後輩、合宿では彼女にしたい、結婚したいランキング一位他全部のランキングにも名を連ねる美少女)がお腹をすかせている。

『俺のフランクフルト、食うかい?』

はむっ。

全部食べても良かったのだけど、一口食べて返されました。

美味しく頂きました。

J先輩(エロテロリスト二大巨頭)に報告

M先輩(エロテロリスト二大巨頭)に密告

異端審問



何この素敵な流れ。ミクシィで報告すると異端審問が発足するのでアメ限(アメーバでだけの特別編)です。

いやね、女の子に対して『食うかい?』は言ってみたかったし、何の他意も無く自然に『俺のフランクフルトを食べてみないか?』とか言ってみたかったわけで、その両方が一瞬にして成就した上に間接キスとなればそれはもうネタとしては美味しすぎるわけで。

ただまあNちゃんにはお世話になってます。昨日も私は学科の再試験で遅刻していったのですが、『先輩が居ないと物足りない演奏でした』とか言ってくれるし。罪悪感に駆られてげんなりしてた私は思わず泣いてしまったよ。


こんな感じで吹奏楽やってます。九州大会まで後少し、頑張るぞ~!!!!

$羅月 ~月影の島~
画像はこの前プレイしてた某エロゲーのとあるシーンです。くうきちゃんマジ空気。本当は空希と書いて『あき』と読むんだけど、引っ込み思案だから訂正できないまま皆に空気と呼び続けられる。
この子関連のイベントでは主人公が喉乾いたって事で牛化させられるイベントがお気に入りです。そっから先を言ってしまうとまた異端審問が始まりそうなので自重。


Youtubeに上がっているものだとネタバレを含むので音声だけ抽出して作りなおしました。そのため画像がこれほどまでに適当なのです。新たに作り出すのもめんどかった。
てかあれですよ、自分の私利私欲の為にわざわざこんなもん作っちゃう羅月さんですよ。時期が来たら私の演奏を上げたりするかもしれません。そのために練習練習。
と言う事で、これを聞きながら最終話をお楽しみください。

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 『おい、何だよこれ……』

 唇がわなわなと震える。目の前に広がる炎、焼け落ちる聖堂。少し森に遊びに行っている間のほんのわずかな時間に、神権の象徴は倒壊した。

 『何だよ……何なんだよっ!!!!!!』

 佐倉杏子は走った。かつて自分の家同然であったその教会へ。しかし現世と地獄の境界を踏み越えようとした瞬間、彼女の小さな体は現世に引き戻される。

 『はっ、放せ!!!!! 私らが憎いんだろ、だからこんな事……親父が何したってんだよ!!!!!??』
 『違う、私たちじゃない……本部の司祭達の異端審問だ。お前の父に、本部の聖具を盗んだ疑惑がかけられていた、頑として否定するから、教会ごと焼き払って……』

 異端審問、宗教を笠に着た処刑だ。『清廉潔白な者は神の手により護られる』『そうでない者は神の加護を得られず炎に焼き払われる』、火あぶりだけでなく釜茹でや水没など多岐にわたるがその共通理念は一致している。

 杏子の父が教義に無い事も説法として解くようになり信者が次第に離れ、本部からも見放されていた事は知っていた。それでも慎ましく幸せに生きていたのに。

 『もしかしたら本部の奴らの言っている事すら嘘なのかもしれない……私達はあの人の素晴らしさを知っている、あの人はそんな事をする人では』
 『親父の教義から離れて行ったのは誰だよ!!!!! 何が素晴らしさだ、そんなもん露ほども思っちゃいないくせに!!!!!!』
 『違う……本部の連中に知れたら我々まで異端審問を受ける。我々も神父には話したんだ、本部の教義を守れと。だがあの人は聞き入れてはくれなかった』
 『……親父が、親父が悪いってのかよ!!!!! ううううっ、ぅうううぁああぁあああああああっ!!!!!!!!!』

 屋根が崩れ重力に魅かれ落ちる。幻想的な色彩感を醸していたステンドグラスは色が混ざり尚且つ焼け焦げ混沌としている。中で生き場を失っていた黒い煙が立ち上がる、中の様子は十分に想像がついた。


 鎮火後、白い鎧を着た神殿騎士が聖堂の中を懸命に(と言うほど真面目でも無かったようだが)探した結果、彼らの期待する物は何も発見されなかった。あの者達が事情を知っているかは定かでないが、結局は濡れ衣あるいは最初から杏子の家族を皆殺しにしたかったかと言う所か。

 彼らが見つけたのは三体の死体。全員が瓦礫に押しつぶされる事もなく、跪き腕を組んで十字架に祈りを捧げたまま焼きつくされていた。父は、母は、妹は、最後まで神への忠誠を守り抜き。神も家族を傷つけはしなかった。

 その姿はどんな苦痛にも自らの信条を曲げる事なく神の為に殉じた家族の姿であった。

 葬儀は村の辺境で慎ましく迅速に行われ、墓標すら立てる事は叶わなかった。杏子は三人の埋められた場所で泣き崩れる。

 『独りぼっちなんて、寂しいじゃねぇかよぉ……』


 ……………

 ………

 …


 キュゥべえはどこかでほくそ笑んでいるのだろうか。まどかは絶望の中で再び目を覚ます。誰もが絶望し死んで行く。希望すらないままに。

 何処へ行くでも無く、まどかは着替え下に降りて行く。一回には食事が並べられ、書置きがしていた。『タツヤを幼稚園に連れて行く 母より』と言う事だ。

 今日は学校の創立記念日で休みだから忘れていたが、今日は普通に平日なのだった。時計を見たらもうすぐ九時になる所だ。

 何処に行くでも無かったが、とりあえず朝食を済ませ家を出る。彼女の背中に暗い影が糸を引いていた。


 「あ……」

 図書館で勉強をしようと静かに歩いていたほむらは、横断歩道の手前に猫を見つけた。何かを食べているらしく口をもさもさしている。

 「ネコちゃん……」
 「にゃぁ……?」

 特に逃げるでは無く、猫はほむらに擦り寄ってくる。ほむらはしゃがんで喉を撫でてやると、猫は気持ちよさそうに寝転がり身体をくねくねさせた。

 「ふふっ……一人、ぼっちなの?」
 「にゃぁ……」
 「そっか……私と、同じなんだね」
 「にゃあ……」
 「あ、ちょっと待っt……」


 「ほむらちゃんっ!!!!!!!!!!!!!!」

 まどかは目の前の現実に顔をひきつらせた。白い猫を追って横断歩道へ飛び出したほむらの小さな体は横から突っ込んできた車に弾き飛ばされた。

 黒猫エイミーと対をなすかのような白い猫。まどかにはそれがキュゥべえに見えて戦慄した。だが、共に撥ねられたはずの猫は何処にも居なかった。

 しかも突っ込んできた車が急ブレーキをかけたせいで、後続のトラックが車に衝突し車も横転し後部が潰れていた。

 『家族でドライブに行った時、交通事故に巻き込まれてね……もう死ぬ、そう思った時にキュゥべえが現れたの』
 「ああぁあああ……」

 車の後部座席には巴マミが乗っていた。そうだ、彼女は交通事故で死にかけた時、生きつなぐ為にキュゥべえと契約したのだ。

 まどかが殺したも同然だ、自分が願わなければ、彼女は独りぼっちのままで人生を終える事も無かった。杏子も孤独に涙を流した。さやかも愛に裏切られ世界に絶望して心を壊した。ほむらは一度たりとも救われる事なくその短い生涯を終えた。

 皆、みんな壊れて行く。自分のせいで、希望もないままに。

 「ああぁあああ……ああぅぅぅあぁぁわぁああああああ……」

 口元が震える。まどかの頭の中には大勢の少女が夢破れて死んで行く姿が浮かんでは消えて行く。病院で出会ったお菓子の子は病の苦痛と両親の涙に蝕まれて心臓の鼓動を止めた。かつて国を統治していた女王は自らの力が無い為に国をまとめられず戦乱を招き多くの血が流れた末どこの誰とも分からない人間に刺殺された。

 「これが君の望んだ世界だよ、鹿目まどか。どうあっても君は、この世界を命がけで破壊してくれるんだね」

 絶望に泣き崩れているまどかの元にキュゥべえが現れた。どうして、お前は消滅したんじゃなかったのか。

 「さあ願うと良い、鹿目まどか。だけど君も分かったはずだ。どんな願いも……」




 最後ニハ、絶望ニ変エテミセルカラ……

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はい、こんな感じでエンドです。ただこれ多分虚淵さんも考えたんじゃないかな~と思います。
魔法少女達はかなえたい願いがあったから魔法少女になった、もしキュゥべえが居なかったらこの子達はどうなるんだろうと。
これを見て、キュゥべえがいなきゃ居ないでまた大変なんだって事ですね。

ちなみに、さやかの末路は『もう腕が治らないと知って飛び降り自殺した恭介の後を追って飛び降りる』、杏子は『娼婦に堕ちて身体をボロボロにされながらも頬を染めて『独りぼっちは、寂しいもんな』とか言ってる』みたいな設定だったんですが、前者はそこに持って行く過程の煩わしさ、後者は大人の事情で断念しました。
ラストも実は現実に引き戻されて(今までの世界はQBが見せた幻想で、ほむらの力が尽きた為過去に戻れなかったまどかにQBが見せた幻、それでもまどかはほむらの手をつなぎ、二人で次の世界に飛ぶ)って設定でした。もう、ほむらちゃんだけに繰り返させない。私も一緒だよ、みたいな感じで希望を与える終わりでも良かったのですが、これはもう鬱路線で良いやって事で。
名言を歪曲させて使うのも常套手段になって来ました。ちなみに明らかな誤字はわざとなので突っ込まないでくださいね。

はぁ、時間があればこれくらい1時間かからないんだけどね。
一部に残酷な描写を含みます。それを踏まえて閲覧ください。

これ付きで読んでると面白いかもしれません。丸ごとさや回なので。
$羅月 ~月影の島~
私の文章にインスピレーションが湧いて、数分で描いてくれたラフを後で手直ししてわざわざ友達が送ってくれました。本当はラフでも良かったんだけど、仕事人だったのだ彼は。
中盤の一ページですね。ネタバレと言うほど重要な場面では無いので、まあ原作にいないキャラを補完
する気持ちで。
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 「……私、ずっと前から上条恭介くんの事をお慕いしてましたのよ」

 まどかが世界の現実を突き付けられた日の放課後、さやかは仁美に呼び出されて近所の喫茶店に来ていた。上品な風格の店で、さやかは全身がこそばゆかった。何と自分に場違いな事か、入店時は笑ってしまったものだったが。

 あまりに唐突で、ハンマーで頭を殴られるような衝撃。唐突過ぎて、口から出て来たのは笑い声。

 「……そ、そーなんだぁ! あはは、恭介のヤツも隅に置けないn」
 「さやかさん、上条くんとは幼馴染でしたわね?」
 「ん~、まぁ腐れ縁って言うか、何と言うか……」

 「本当にそれだけ?」

 こんな表情をする仁美をさやかは知らない。おっとりとした普段の柔和な表情とも違うし怒った様子も無く、何だか妙な違和感を感じる。

 「私、もう自分に嘘はつかないって決めたんですの……貴方はどうですか?」
 「どうって……仁美、あんた、変だよ……」
 「本当の気持ちと向き合えますか?」

 核心を突いた一言。さやかは黙り込む。黙り込んで……両目から涙が流れる。

 「好き、なんでしょう?」
 「……………」
 「ずっと前から知っていました……貴方は大切なお友達ですもの、抜け駆けも横取りも出来はしない」

 一日だけ待ちます、私は明日の放課後に上条くんに告白します……

 それまでに、後悔なさらないよう決めて下さい……と、仁美はそれだけ言って席を立つ。二人が頼んだ分の代金を律儀に置いて。それは今にも泣き崩れるさやかへの配慮であった。

 「ううっ……ひ、ひとみっ……っ」

 恭介を選べば仁美を失う。いや、選んだ所で恭介が自分を選んでくれるとは限らないのだけれど。好きだったかどうかは分からない。いや、どう強がっても自分は彼を愛していた。彼がヴァイオリンを弾けなくなって、特に楽器に興味があるわけでもないのに彼の不幸を少なくとも彼の次には悲しんでいた。別に好きでも無いクラシック曲を彼が楽しそうに聞くのを見ると楽しくて、そんな彼が好きだった。

 自分はどうすればいいのだろう……答えは出さなければならない。此処で引いたら負けだ、仁美には運動では勝てる。勉強では負ける。それで一勝一敗。

 それでも、あいつの事を傍で支えてやれるのは自分しかいない、そう信じている。


 「お、さやかか」
 「兄さん……」

 一人とぼとぼと歩いていると、向かい側に見知った男が立っていた。

 さやかが『兄さん』と呼ぶ相手はさやかが普段よく利用する音楽ショップ(割と中規模の店だが吹奏楽やオーケストラの楽器や小物、楽譜も色々置いてありCDの種類も豊富なのだ)に大体半年前くらいにバイトで入った大学生の青年で、事あるごとにお勧めのCDを教えたりしてくれる相手だ。クラシックはさやかには分からないので、良き相談相手となっている。

 「ん~、その恭介って奴が好きそうなCDは来週入る予定なんだけど、さやかが欲しいなら取っとくよ」
 「助かりますっ。てか兄さんいつもあの店でバイトして、学校はどうしてんの?」
 「別に、この時間は授業入れてないだけだよ。と言うかさやか……何か悩みでもあるのか?」

 この人は鋭い。しっかりハンカチで拭った瞳の奥を見抜いてくる。この人に隠し事は出来ないな。

 「……悩み事あるなら聞くけど」
 「……うち、今日は誰もいないんだ。多分兄さん一人くらい上げても大丈夫だよ。ただ……ちょっと今汗かいてるから、シャワーくらい浴びさせて欲しいんだけど」
 「……分かった。何か持って行くから、どっかで待ち合わせるか」

 ジュースとお菓子でも持って行くよと約束し、彼はさやかと別れた。こんな悩み、クラスの誰にも言えなかったが外部の人間であるあの人になら話せる気がしたのだ。


 「此処が……結構いいとこ住んでんだな。俺の貧乏アパートとは大違いだ」
 「ま、女の子の部屋らしく結構かたづいてるんだから。ささ、上がって上がって」

 彼を上げると、さやかは適当にあったお菓子を取って来た。彼もテーブルの前に座り500mlのペットボトルを二本取り出し片方をさやかに差し出した。

 「さやかの両親って、音楽関係の仕事してんだよな?」
 「ああ、うん。お母さんは出張だし、お手伝いさんは夕飯の仕込みしたら昼で帰っちゃうし。あ、その関係でうちに金目の物なんて無いから、泥棒とか無駄だよ?」
 「するか。幾らお前が金持ちでも、そこまで金に困ってないっての」

 二人はあははと笑い、さやかはペットボトルのふたを開ける。意識しないで開けたのだが、その蓋は緩かった。まるで一度空いていたかのように。

 「ゴクゴクゴク……ん、やっぱり暑い日は冷たいもんだよね~」
 「……それで、悩みって?」
 「あ、うん……実はね、友達が恭介の事好きだって。だけど私に抜け駆けしたくないからって一日待つって言われたんだ」
 「それで、どっちも選べずにってわけか……さやからしくない」
 「そう、かな……」

 自分らしさなど考えた事も無かった。中学生なら当然かもしれないが、特にそんな事を意識する事に意味はなかったし、友達とそう言う話をした事も無かった。

 「ちなみに、恭介はお前とその友達、どっちの方が好きなんだろうな」
 「う~ん……あいつが入院してから、仁美もちょくちょくお見舞いくらい行ってるはずだから、会う回数って点ではそんなに変わらないと思うんだけど」
 「分からない、って事か……ま、さやかの事は嫌いじゃないんだろ?」
 「そうだって信じたいけどさ……」
 「ん、どうした?」

 なんだろう、視界がぼやける。頭が重い、どろりとした蜜が頭の中を埋め尽くすような感触にさやかは襲われる。

 「何か、ちょっと眠くなって……」
 「そっか……おやすみ、さやか」
 「えっ……」

 落ちて行く。それはもうどうにもならない事だった。


 「え……嘘……何で、何でよぉ!!!!!!??」

 さやかは上半身を椅子に固定され、あられもない姿のまま下半身を縛られていた。

 「にっ、兄さんっ……何で、どうしてこんな事するの!?」
 「知らなかったか? ……ずっとこうするつもりだったよ。こうする為にずっと準備して来た。お前言っただろ、今日は誰もいないって。だからお前に持って来たジュースに色々薬を混ぜておいた」

 全く気が付かなかった。何気なく開けたペットボトルの蓋が軽かったのは既に一度開いていたからだったのだ。

 彼の冷たい手がさやかの温かい頬に触れる。その温度差にさやかは身震いした。こんな彼をさやかは知らない。

 「大丈夫、力抜いて……ま、力なんて入らないだろうけど。さっき飲んだジュースに睡眠薬と弛緩剤、感覚を鋭敏にする薬を入れといたから」

 唇が重なる。それすらこれから始まる、死ぬよりも辛い惨劇の序章である事は明白であった。さやかは何も出来ずに涙を流す。それを彼は舌で掬う。

 「嫌ぁ……いやぁあぁああああああぁあああああっ!!!!!!!!!」


 「私……犯されちゃった……もう、やだ……」
 「さやかちゃん……」

 途切れ途切れに話してくれた内容から、まどかはさやかがどんな目に遭ったか容易に想像が出来た。夜の静寂が、特に寒くも無いのに二人の体温を奪う。

 「明日になったら仁美が恭介に告白しちゃう……仁美に恭介取られちゃうよ……」
 「さやかちゃん……」

 「わたし、何にも出来ない……こんな身体で抱きしめてなんて言えない、愛してなんて言えない、キスしてなんて言えないよぉ……っ!!!!!!」

 少女の悲痛な叫びは闇夜の一滴となってこぼれる。まどかは心に暗い影が落ちるのを必死で堪えた。それは魔法少女となったさやかが口にしていた言葉と全く同じ。

 魔法少女で無い、普通の人間であるさやかなら恭介に告白できるはずだったのに、それすらもこの世界は許さないと言うのか。

 「まどか……まどかぁあぁあああああああ!!!!!!!!!」

 まどかは何も出来なかった。一つ前の世界の、ほむらに庇護され何も出来ずにいた無力な自分と同じで。所詮自分は弱い人間なのだと、誰かを救う事など出来ないのだと言う事を痛感した。

 思えば、最初の世界。ほむらを助けられたのは自分が魔法少女だったから。彼女が最初の自分に恩を感じて魔法少女になり、途方も無い回数同じ時間を繰り返しただけの話だ。鹿目まどかと言う人間は所詮何も出来ない人間なのだ。


 「稼いだ金はきっちり貢がせないと。女ってバカだからさぁ……」
 「犬か何かだと思って躾けないと駄目っすよね~」
 「捨てる時がホントウザイんだよな~……」
 「ねぇ」

 さやかは家に帰らなかった。あても無く電車に乗り、乗り合わせた二人のスーツ姿の男の前に立つ。

 「その女の人の話、もっと聞かせてよ」
 「何コイツ、知り合い……?」
 「お嬢ちゃん、中学生でしょ? 夜更かしは良くな……」
 「その女の人、あんたの事が大事だったんでしょ? よろこばせたくて頑張ってたんでしょ? 犬と同じなの? ありがとうも言えないの? 役に立たなきゃ捨てちゃうの!?」
 「お嬢ちゃん、言ったでしょ、夜更かしは良くないってさぁ……っ!!!!」

 停車と共にドアが開き、さやかは突き飛ばされる。辺境の駅。糞尿の臭いが立ち込める治安の悪い場所。お似合いのシチュエーションだ、さやかは打ちつけた頭をさすりながら笑った。

 「ねえ、この世界って何なの? こんな酷い目に遭ってまで、石にかじりつきながら生きて行かなきゃいけないもんなの? ねえ、教えてよ……今すぐ教えなさいよ!!」
 「教えてやるさ……直接、お前の身体にな」

 上着をめくられスカートを引きちぎられる。だがそれでも良かった。今更一人が三人になった所で、穢された事実は変わらない。どうせなら完膚なきまで穢れてしまおうじゃないか。

 戦う力を持たない彼女は、一般人に刃を向ける事は出来なかった。それを幸福な事だと偽善者は言う。現実はこうだ。逃げる強靭な足を持たない兎はただ狩られるしかないように。


 翌朝、保護された彼女は目の色に光が無く、ただがくがくと震え誰の声も聞こえず何も見えていなかった。
 
(アタシッテ、ホントバカ……)

 その言葉は、誰の耳にも届かない……
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さや回ですね。次回は杏子から始まるのでファンの方は楽しみにしておいて下さい。

戦う力を持たないさやかがどう悲劇を辿るか、それを考えていたら此処に行きつきました。どうにかしてMixiに直接上げられるかを意識して極力性描写を排除したのですが、これどうなんだろう。

さて、次は杏子に始まりマミさん、と来てそろそろクライマックスです。幸せになるか不幸せになるか、それはまだ分からないのだった。
$羅月 ~月影の島~


 
 ある日の体育、その日は体育館でバレーだったのだが、ほむらは保健室だった。

 あの日以来精神的に追い詰められたほむらは休む事はしなかったが保健室に行く事が多くなり、クラスの人間も段々と最初からいないかのように扱うようになっていたのだった。

 「あれ、今日暁美さん休み~?」
 「いいじゃん、ほら今日夏凪も休みだしさ、ちょうどぴったり偶数でチーム割れるよ」
 「そだね~、まあ居たって邪魔だし、ちょうどいいかもね~」
 「6人同士でやって、残された人もかわいそうだし~」
 「独りぼっちは、寂しいもんね~」
 「鹿目さんがいるじゃん、まあ彼女にはほんと助かってるけどね~」

 クラスメイトにとってほむらはそう言う認識なのだろう。まどかが付き合ってあげているから他の人は彼女と付き合わなくて済む、まどかはそんな事を考えた事など無かったのだが、クラスの判断はそんなもののようだ。

 「ごめん、今日ナギ(夏凪)休みだから、私と一緒に練習しない?」
 「冬本さん……お願いします」

 クラスメイトの下卑た笑い顔に嫌気がさしたが、まどかは黙って相手とサーブ&レシーブを始める。バレーはあまり嫌いじゃないが、あんまりやると筋肉痛で非常に痛い想いをするのが少し嫌いなのだ。

 「ああっ……ご、ごめんなさっ!!!!」
 「あ~いいっていいって、取ってくるから」

 遠くに打ち過ぎてしまったまどかのボールを友達が取りに行ってくれた。非常に申し訳ないのでとりあえず予備のボールを補充しようと倉庫前に向かう。

 その時だった。

 「ま、まどか……」
 「あっ、ほむらちゃんっ!!!!! 大丈夫なの、体調?」
 「……頑張ります」

 どう考えても無理をしていたのだが、彼女の気持ちも分からないでも無い。弱い自分を変えたくて、無理をおして出て来たのだ。

 「あ、でも……」
 「あ、暁美さんじゃない」
 「丁度良かった、私疲れて抜けるから、代わりに入ってくれない?」
 「どうせ先生来ないしさ~」
 「それじゃあ、鹿目さん宜しく~」

 以前仁美と共にとばっちりを受けた女性徒が、さっきまでまどかと組んでいた少女と一緒の側のコートに入る。

 「急な話だね……まいいや、ガンバろ、ほむらちゃんっ」
 「あの……私も入っていいんですか?」
 「うんっ、一緒に頑張ろうっ!!」

 まどかはコートに入る。ほむらもおどおどした様子で入る。相手がにやついている事に二人は気が付いていなかった。

 「じゃあ私からやるね、暁美さん、行くよ~」
 「は、はいっ!!!」

 緩いボールが上がってくる。ほむらは前方へ走って受け止め、後ろに回す。初心者らしい打ち方、だがそれでも真っすぐ後ろのメンバーの頭上にボールは落ちる。その時だった。

 「行くよ~……っ!!!!!!」
 「ほむらちゃんっ!!!!!!!!」

 明らかに度を超えたスピードの球がほむらの顔を狙って飛ぶ。まどかがとっさに飛びだし弾こうとしたが間に合わなかった。そのままワックスのかかった木製の無機質な地面に体を打ち付け酷くすりむいた。

 「ごめんね~、少し狙いがそれちゃって」
 「鹿目さんっ!!!!!!」
 「ま、まどかでいいって、言ったのに……ったたた、ごめんね、はしゃいじゃって」

 えへへと言いながらまどかは立つ。立ち上がり、さっき強烈な一撃を打ち込んできた少女の方を睨みつける。今までまどかが見せた事の無い勝ち気な瞳に、苛立ちが募る。

 「ごめんって言ってるじゃん、そんなら鹿目さん、御詫びのしるしっ」

 ボールがまどかの手に渡る。まどかは怒りを何処にぶつける事も出来ず相手に回る。レシーブ、トスが綺麗に上がる。そこからアタッカーは相手方のエース、しかも彼女はほむらのせいで以前大層怒られて以来逆恨みしており、他の女子よりも憎悪は深い。

 今までの戦いが無かったら日和見していたかもしれない。だがこのままでは……ほむらに強烈なスパイクが決まる。

 「それじゃ……行けっ!!!!!」
 「ほむらちゃんっ、取れなくてもいいから避けてっ!!!」
 「暁美さん、さっき私がミスして失った分、チームメイトならフォローしてくれるよね?」
 「……っ!!!!!」

 両腕に打ちつけられるボール、だがしっかり彼女は上空にボールを打ち上げた。それなのに。

 笛が鳴る。流石に審判をやっていた控えの選手も止めざるを得なかった。同じ所を二回も、しかも味方から。

 「あら、まずいかな。誰か保健室、って鹿目さんだったね、お願いね~」
 「ほむらちゃんっ、大丈夫!!? ほむらちゃんっ……」


 「ほむらちゃんっ!!!!!!」

 保健室のベッドの上。まどかはずっと居てくれたらしい。ちなみに保健室の先生には『ほむらの不注意でボールが当たった』と言う事を淡々と言われた。まどかは言い返せなかった。あまりにも理路整然と話すから反応できなかったのだ。

 「私……本当にごめんなさい」
 「ほむらちゃんが悪いんじゃないよ、悪いのは……」
 「私がこんなじゃなかったら……誰も辛い思いしなくて済んだんですよね」
 「そんな訳ないでしょ!!!!!」

 強く語勢を荒げるまどか。そんな事があってはならない、最初からほむらが居なければなんて、考えたくもない。自分の為にあれだけ時間を操作して何度も何度も自分が死ぬ姿を見せられてもなお自分を助ける事だけに全てを賭けてくれたほむらに。

 「本当は、分かってるんです。仁美さんの件から、ううん、そのずっと前からも、ずっと、私は皆から邪魔者扱いされてたって」
 「そんなの……違うよ、私は、ほむらちゃんのお陰で……」
 「嘘、言わないでください。私、鹿目さんに何もしてやれてない、いつもしてもらうばかりで、何も……」
 「ほむら、ちゃあん……」

 こんなにも無力な自分、まどかはほむらにして貰った事を何も返せていない。命を賭けたほむらに、自分は言葉しか掛けられない。

 「もっと、強くなりたい……ううん、強くなれなくていい、普通で居られればそれでいいのに、私は……」
 「なれるよ、ほむらちゃんなら、絶対になれr」
 「なれません……奇跡も、魔法も、無いんですから……」

 絶望した。そうだ、奇跡も魔法もありはしない。夢も希望もこの世界には存在しない。絶望を孕む魔女の存在を消したために、この世界から希望が消えた。絶望なんて溢れているのに、そのうちの一部を消した事で大切な人の生きる糧を奪ってしまったのだ。

 「……………」
 「……もう少し眠ります。鹿目さん、今までそばにいてくれて、ありがとう」
 「……また明日、学校で」

 鞄を持ちあげ、まどかはほむらから離れる。無機質に鳴るガラガラと言う保健室の戸の音。

 まどかは振り返らなかった。靴をはき、校舎を後にし、校門前のベンチに座る。そこで、ただ一人で涙を流し続けた。


 何時間そこに居たのだろうか、辺りは暗くなっていた。母は放任主義な所があり、門限を守らないのは元気な証拠とかで笑って許してくれるのだが、流石に心配をかけるのも良くない。

 いつもの道、ただ暗いというおまけつきではあったが。そこを一人でとぼとぼと歩いていた。街灯の明かりもチカチカとして消えかけ、あまり良い雰囲気では無い。

 そんな中、まどかの前方からふらふらと歩いてくる人影があった。

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奇跡も、魔法も、無いんですから……この台詞はこの短編全てを代弁する文句となっています。
魔女の絶望を消滅させたことで魔法少女の希望を失った、それでも絶望が潰える事はない。

それが一番描きたかった事です。とりあえず七話くらいまでで終わりそうなんですが。次は修正無しで描くと少しまずい気もするのですが、出来るだけ頑張ってみます。



ちなみにトップ画像はこれです。このOPにすると何か正統派魔法少女っぽい感じがします。まったく、中学生は最高だぜ!!
$羅月 ~月影の島~


 『何、今更来たの?』
 『丁度良かった、掃除しておいてくれる?』
 『そんな……私、風邪で……』
 『少しは動かないと痩せないっての』
 『さっさとしろよ、このデブ』

 彼女の両手にかかる重圧、軽いはずのモップの重みに、彼女はよろめいた。


 ………………

 嫌な夢を見た。まどかは布団から出て鏡を見る。思ったよりもやつれていた。巴マミとこの世界で関わることはきっと無いだろう。あの先輩は強くて優しい、あんな事がもし現実に起こっている訳がない。

 あったとしても、あの人なら大丈夫に違いない。

 まどかは顔を洗い髪をとかし、制服に着替える。下に降りると、早起きしてきたまどかを意外そうに見つめる母親。まどかは少し不本意だったけれど。

 今日はさやかは大会前で早くに朝練に出掛けている。と言うわけでゆっくりできたはずなのだが、起きてしまったのだから仕方がないわけで。

 朝食を一気に平らげ、元気に挨拶して家を飛び出す。天気は雲一つ無い快晴、幸せなことが起こる予感……



 「何よ、これ……」
 「その……ご、ごめんなさい……」

 まどかが教室にはいると、ほむらの机の周りに人だかりができていた。仁美が泣いている。

 「どっ、どうしたのみんな……」
 「私が、昨日間違えて学校に起きっぱなしで帰ったら、今朝……」
 「酷い……」

 ほむらの机上には仁美から彼女が借りたノートが開かれた状態でおかれていた。

 ただし、思い浮かぶ限りの汚い言葉が書き殴られていたというおまけ付きで。あらゆるページに、しかも言葉の種類から見るに仁美にあてた言葉のように見える。

 事情を聞くと、小テストがあるというのにほむらがノートを学校に忘れていた事に気がついて朝早くに来たところこれを見つけたという事だった。

 一番はじめに教室にいたのはさやからしい。朝練が終わって体操服から制服に着替えていたところ、珍しくやってきたほむらが奇声をあげたらしい。

 「私、私……」
 「誰がこんな事……」
 「て言うか、暁美さんのせいでもあるんじゃないの?」
 「むしろさやかか暁美さんじゃないの?」
 「私がそんなことするかっ!!!!」

 さやかが机をたたく。無理もない、これは仁美のノートなのだ。親友のノートをこんな滅茶苦茶にするわけがない。

 ただ、最初に来たさやかがさんざん落書きをしたか、ほむらの自作自演である線が濃厚なのは確かだ。あくまで今日落書きがされた場合の仮定だが。だが、さやかはほむらがノートを借りたことを知っているにしても都合良く教室に忘れたことを知らない。となるとやはりほむらのせいと言うことになるのだろうか。

 「暁美さん、本当に貴方じゃないの?」 
 「私、そんなこと、して、ない……ごめっ、ごめんなさい……」
 「ちょっと見せて!!!!」

 まどかは仁美のノートを取り上げ、全てのページをめくる。証拠はない、それはそうだけれど……

 「これはほむらちゃんの字じゃないよ」
 「鹿目さん……」
 「ほむらちゃんの書く字、もっと落ち着いてて綺麗だもん。それに、ほむらちゃんはこんなことしないよ。出来るわけ無いよ!!」
 「……鹿目さん」

 仁美が静かに口を開く。静かに、だがおっとりした彼女からは想像もつかない激高した表情で。

 「誰が犯人でも構わないんですの。重要なのは……私に借りたノートを暁美さんがぞんざいに扱ったという事でしょう?」
 「仁美……」
 「良いですわ、所々読めないだけで私の頭にはだいたい中身も入っていますし、時間をかければ修復できますもの」
 「ごめんなさい、それ私がやりますから……」
 「貴方にそれを任せて、私は終わるのを何週間待てばいいんですの!!!???」

 仁美はノートを取り上げ、黙って自分の席に帰っていく。彼女はノートを自分の机の上に置き頭を抱え……

 ノートの上には、何滴もの雫が止めど無く落ち続けた。

 「少し時期も悪かったんじゃないかな……また後で謝ると良いよ。仁美さ、意外と荒いことあるけど、落ち着けばきっと……」
 「ほむらちゃんっ!!!!!」
 「待てよまどか、今はあいつも大変だと思うけどさ……」
 「さやかちゃんはほむらちゃんを放っておくって言うの!!!!? 私は嫌だ、かけてあげる言葉が見つからなくたって、ほむらちゃんの傍にいてあげたいよ!!!!」

 ほむらはその重圧に耐えかね逃げ出した。逃げてはいけなかったのに、自分が悪くないとしても、逃げ出しては周囲はそれを何と見るか。

 まどかはほむらを追って、教室を飛び出した。


 「はぁっ、はぁっ……ここに、居たんだね……ほむら、ちゃんっ……」
 「鹿目、さん……っ、げほっ、えほっ……」

 教室を出て右側と言うことだけしか分からなかったため、何度かの情報収集の末に屋上までたどり着いた。

 ほむらは自分の体力や精神的なストレスも顧みず走ったせいで呼吸が相当乱れており、かなり危険な状態だった。

 「ごめんっ、上手くフォローできなくて……保健室連れていくよ」
 「そん、なっ……これ以上、迷惑、かけ、られな……ごほっ、おほっ!!!!」
 「無理しないでほむらちゃん、ほら肩貸すから」
 「放してっ!!!!!」

 まどかの手を振り払うほむら。バランスを崩してよろめき、そのまま倒れこむ。

 「ほむらちゃん……」 
 「ご、ごめんなさい……私、どうしたらいいの……」
 「……大丈夫、大丈夫だから。ほら、保健室行こ?」
 「……本当に、ごめんなさい……」


 その次の数学の授業は最悪だった。本来ほむらが当てられるはずだった問題を別の人間が当てられほむらを当てにしていたその女性徒は答えられず、しかも先生(数学の教師は男)機嫌が悪かった為にクラスの雰囲気が最悪な物となってしまった。

 今朝のごたごたでいらついていた仁美が勝手にチョークを先生からひったくり答えをさらさらと黒板に書いて行くと、そのやり方にいらついた先生が仁美の頬をはたいてしまい、彼女は目に涙を浮かべながらも黙って机に戻って行った。


 ほむらの居場所は、無くなりつつあった……いや、元々無かったのかもしれない。

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前書きの無い回は久々かもしれません。まあ冒頭はね、『デブさんはマミじゃないよ』と言う流行語も出ちゃったので入れてみたのですが、重要な伏線になっています。

私の今やっている試験勉強は完全暗記モノなので、余計な物を途中に挟んだ後で確認してホントに覚えてるかどうかという含みがあるのです。とはいえ、此処まで間を挟むつもりはなかったんだよ。ちゃんと今日覚えた事入ってるかな……

自分でやっていながら、今回は中々にあれですね。しかも全年齢版陰鬱展開です。エロなし、でもだからこそと言う感じもあるんだよ。
$羅月 ~月影の島~
久々の更新です。やっと出したかったキャラが出せました。公式には名前の無い子なので仮に『高町明日葉』とでも名付けておきましょうか。さて、由来が分かる人はどれくらい居るのかな。


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 「あっ、みんな~」

 放課後、病院前で待ち合わせることにして各自帰宅してからやってきたのだが、さやかとほむらは既に到着していた。

 まどかも待ち合わせの五分前にきていたのだが、二人の方が早かったらしい。

 「ごめんっ、待ったかな?」
 「いえ、私たちもさっき来たところですから」
 「何かデートっぽいね、うちら」
 「さやかちゃんっ!!!!」

 あははと笑う二人に、まどかも釣られて微笑みを漏らす。爽やかな風が三人の髪を揺らした。

 「それじゃあ、行きますか」
 「うん、行こっ、ほむらちゃん」
 「はいっ」


 市立見滝原総合病院、この町で一番大きな規模の病院で、設備もよいものが整っているらしい。

 さやか曰く『私もこんな所に入院してみたい』だそうだが、今のところ彼女が入院するような大事は無いに違いないのだけれど。

 「なんであいつの病室は遠いのかね~……こういうときに困るんだけど」
 「ほむらちゃん、大丈夫?」
 「あ、はい……病院の中、慣れてますし」

 慣れの問題はあまり関係ないと思うのだが、ほむらがそう言うのならそう言うことにしておく。

 「失礼しま~す……おっ、いたいた」
 「さやかか……ん、友達かい?」

 上条恭介(かみじょうきょうすけ)、さやかの幼馴染で彼女の好きな人だ。この世界でなら、二人は想いを重ねられるのだろうか。

 彼しかいない少し広く感じる病室、まどかは窓を開け空気を入れ換えた。

 「鹿目まどかです」
 「暁美、ほむら、です……」
 「何と言ってもほむらちゃんは今日転校してきたばっかりの旬の話題のスポットなのさ」
 「そうなのか……さやかがいつもご迷惑おかけします」

 全体的に色素の足りない顔で上条は笑う。さやかの話によると彼の入院の原因は事故による腕の損傷とのことだったが、まるで不治の病を患っているような顔だ。

 「あ、そうだ恭介。この前言ってたCD、買ってきたよ」
 「アヴェ・マリア……ありがとう、さやか」

 さやかが渡したのはヴァイオリンのCDだった。彼の好きな奏者が演奏したものらしく、最近出たのでさやかがそれを買ってくるのを依頼されたのだった。

 「上条君って、こういうの聞くんだね」
 「まあ……自分で弾けないから、音楽を楽しむならCDやコンサートを聞くしかないんだけど」
 「上条さん、ヴァイオリン弾けるんですか?」
 「私は詳しいこと知らないけど、何かその筋じゃ有名だったらしいよ」

 だった……と言う言い回しが少し寂しい。彼はさっそくCDをプレイヤーに入れて再生した。

 情感溢れる旋律に乗って弦の柔らかい響きが時間を埋めていく。確かに、その筋で有名な彼がわざわざ他人に依頼してまで買ってきてもらう演奏だ。

 「……何だか、凄いですね」
 「この曲はね、僕がヴァイオリンを始めるきっかけになった曲なんだ。この曲が弾いてみたくて、音楽の世界に入ったんだ」
 「良いと、思います……そういうの」

 ほむらが静かにつぶやくように言う。力強い含みが確かにそこにあった。

 「私は、特に何か目標があるわけでも無いですから……」
 「ほむらちゃんだって何かやればいいよ。きっと何か他の人より凄いことができるはずだって」
 「そんなっ、私なんて……鹿目さんの方がずっと……」
 「まあまあ、そんな所で言い争ってないでさ。恭介、そろそろうちら帰るね」
 「うん……二人とも、さやかを宜しくお願いします」
 「ははっ!!!!!」
 「ふふふっ……!!」
 「あのな~……」

 笑う二人と呆れるさやかを見て、上条恭介は自然と頬を弛ませるのだった。すると……

 「あれ、あの子……」
 「知ってる子?」
 「あ、うん……最近近くの病室に入院してきた子なんだ。小児ガンらしくてね、以前チーズケーキを持っていったら看護師さんに怒られたよ。チーズは大好きなのに、病気のせいで食べられないらしくて……」

 まどかもちらりと見た。お菓子の国のようなファンシーなパジャマを来た小さな女の子だ。ずっとこちらを見ていたのだろうが、自分たちの視線に気づいて逃げ出したのだろ……

 がたっと言う音が廊下でした。急いで逃げ出したから転んだのだろうか。だとしたらまずい、ガンの女の子なのに。

 「ちょっと行って来r……だ、大丈夫!!?」
 「……っ」

 女の子は頭の先から胸のあたりまでのサイズの人形を持っていた。それがクッションになって助かったらしい。

 だが、まどかはその人形のフォルムを見て絶句した。

 その人形はいつかの世界で巴マミを喰い殺した魔女にそっくりだったのだ。それが何を意味するかまどかだけは知っている。

 「そっか、あの子も世界を絶望せずに済んだんだね……」

 キュゥべえが存在していた頃の世界で、彼女が何を願い魔法少女になったかは分からない。もしかしたら病気を治してほしかったのかもしれないし、前の世界では病気でも何でもなかったのかもしれないが、それでも彼女が絶望する未来を絶つことが出来たのだ。

 魔女になって他人を殺す人生を歩むよりは今の方が良いに違いない、勝手な偽善のようだったが、まどかは自分の願いが世界の為であると強く信じていた。
 

 マイナー曲なのではってみます。R.W.スミスの『ダンテの神曲』より昇天編です。こんな曲を五島高校はやるんですよ。いやはや、本当に頑張ってほしいもんだ。

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 今回、忌引きの為に長崎へ帰省しておりました。熊本大学体育会吹奏楽部の皆様には大事な週末の練習を欠席すると言う大変勿体ない事をやらかしてしまい本当に申し訳ありません。

 奈留島にて曾祖母の葬式が今日の正午に行われ、二時頃に火葬されました。明日の部活には間に合わせたかったので最後の納骨まで居合わせられず家族といっしょに最終便で福江に戻り、今に至っております。

 肉親の死と言うものは初めて経験するのですが、死んだ曾祖母の顔はただ安らかに眠っているようにしか見えず本当に美しい状態でした。何かのドッキリで、すぐに目覚めて起き上がるかのような。それでも死んでいるのです、もう二度と目を覚ますことはありません。

 死には色々あるとは思いますが、私の感じた死がこんなにも静かで無情なものであるとは思いませんでした。何でしょう、このどうしようもない感じは。

 今年の四月初頭、ブラスの後輩が癌で亡くなったと聞いた時も色々考える事があったのですが、恐らく嫌でもこのような現実に直面する事が多く存在すると思います。

 悲しく、それでいて絶対的な話ですが、人は必ずいつか死にます。一人の人間が紡ぐ一つのストーリーは必ず起承転結で結ばれなければならないのです。

 私が年を取る分周りの人達も年を取り、いつか寿命や病、はたまた事故で倒れてしまう。それはどう足掻いても避けられない事象ではあります。



 ただ、昔読んだ名言にこう言う物がありました。


 『貴方が生まれた時、貴方は泣き、周りは笑っていた。
   だから、貴方が死ぬ時は、貴方は笑い、周りが泣くような生き方をしなさい』と。


 私が死んでこの世界から欠落したとしても大した損害は出ないかもしれませんが、一人でも多くの人にとっての特別な存在であれたら、それはとても幸せな事だと思うのです。

 

 話は変わりますが、母校である五島高校の吹奏楽部にお邪魔してきました。今年の五高はIと『ダンテの神曲より昇天編』をやるそうです。

 最初『アセンションやります』と言われた時は検索かけても分かんなかったし(作曲者は教えてくれてたんですけど、それでも検索に引っ掛からなかった)、蓋を開けてそう言う事かと。

 曾祖母の葬式の為に帰省してこんなタイムリーな曲を聞かされるとは思ってもみませんでしたが。

 昨日は昼の初めから行けたのでクラの基礎を見てアルトクラ&バスクラを少し苛めてみて、合奏を見学しました。アルトクラの男の子……もとい男の『娘』はとても可愛くて、つい苛めたくなっちゃう的な。宮崎さんちの桃ちゃんに似てる気がします。そんな感じ。

 バスクラの漢は元陸上部の一年生で(しかも県大のダニエル似、わけがわからないよ)、少し精神的な障害を持ってる子らしいです。ただ誰よりも返事がしっかりしてて、どうにかしたいと思いながらも五高のバスクラは癖がありすぎて私では鳴らせませんでした。今年の初めに来た時よりも鳴らしにくくなってたよ、どう言う事なんだろうね。

 今日は葬式の関係で最終便使って帰って来たので合奏だけでしたが、練習後時間の許す限り色々と語らいました。本気でこの子達にもう一度金賞を取らせてあげたい、でも自分にはその力が無いと言うジレンマに悔しさでいっぱいでした。

 と言うか、今の二年生の誰かとアドレス交換しとかないとな~、来年ふらっと立ち寄れる機会が出来た時にアポ無しじゃ困るしよう。顧問の先生も6年目やからな~……

 とまあ、色々疲れた帰省でした。明日からまた頑張ろう、熊本に到着するのは17時くらいですが、そっから超人的な気合いで部活に向き合います。あれだけ休んで、ついてしまった差を埋める為に(ただ木曜試験なんだよな~……)もっ。




 PS 帰省の間先輩方、同輩の方々は誰もメールの返事をくれなかったので一年の後輩にメールして少しやり取りしました。少し怖いです、休む際に私の行動に何か不備があったのかと思うと。私は普段休む事を知らない人間なので、長期休み慣れてる(慣れちゃ駄目だけど)方に何か聞いておくべきだったか。