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昨日はマルシェでした。初めましてのお客様にたくさんお越し頂き、スタッフてんてこ舞いだったそうです。本当にありがとうございます。
さて、卒業式や入学式の季節が近づいてきました。
この季節になると、新しい利用者さんの受け入れや、現在ご利用の利用者さんの個別支援計画を見直す時期ともなりますので、支援のあり方について、福祉を目指した時の出発点に立ち返って考えることが多くなります。
私事ですが、もともとは高齢者の介護について勉強を始め、そのうちに障害についてもっと知りたいと思うようになって障害福祉へと移ってきたという経緯があります。
介護福祉士の資格をとるための学校で職業訓練生として2年間学んでいた時に「介護なんて、優しい心と体力さえあれば誰でもできる」と豪語する50代の方がおられました。その方の立場はもちろん、私と同じ訓練生です。
優しい気持ち?
それって誰の基準?
その方の実習の発表には、やたらと「寄り添う」という言葉が使われました。
支援者自身が、優しいとか寄り添ってるとか、言っていいの?
支援を受ける方にとって、優しい(この表現もふわっとしすぎています)支援かどうかを、その方は考えていないようでした。
学校では「心と体のしくみ」「介護過程」「コミュニケーション技術」などなど、いろいろな科目を受講しました。
そこで、支援というのは、スキルが無ければ非常に危険だと学びました。
しかし、スキルだけでも危険です。スキルには必ず科学的な根拠が裏打ちされていなければならず、根拠を明確にするためには、たゆまぬ知識の学びが不可欠だと思いました。知識や情報は年々アップデートされますので「たゆまぬ学び直し」が必要なのです。
学びの根元は「好奇心、想像力」だと考えます。何かに興味を持つ、知りたいと思う、ということです。
障害のある方の行動(以前は行動障害とか問題行動と呼ばれていた)について、愛や優しい心だけでどうにかなるようであれば、介護業界はこんなに問題は起きない…ということを思えば、その行動がどこからくるのか、学びによって引き出しをたくさん増やしておくことで、いろんな可能性が考えられ、支援の方法も多角的に組み立てることができます。そして、そういう視点の支援者が複数集まると、さらに可能性は広がります。
ただ、知識が豊富で、勉強好きな人がスキルを身につけたときに、良い支援ができるか?というと、そうではありません。
優秀と言われる支援者は往々にして「かくあるべき」「ここを着地点と設定すべき」という支援者ニーズに陥りやすいのです。
そして、それが否定されると、感情的になったり、その必要性を滔々と説いたりします。(メンドクサイですね💦)
好奇心や想像力、学びや科学的な根拠の裏打ちのあるスキルを持った支援者の根本に求められるもの。
それは、情緒が安定していること、支援の場でしっかりとコントロールできること、プライベートで心が騒ぐ出来事があっても切り替えのできること、です。
認知症高齢者も障害のある方も、支援者のメンタルには非常に敏感です。高齢者支援時代に、こちらが平然としているつもりでも「何かあったの?」と、かなり重い認知症の方から心配そうに聞かれたことがあります。
高齢者の認知症ケアのひとつに「バリデーション」というのがあるのですが、マニュアル通りにやったらいいというものではなく、まずは支援者が「センタリング」をする必要があるとされています。
精神的にセンタリングされていること、情緒のコントロールができること。
これは、非常に重要な要素です。
さて…
「寄り添う」と同じくらいに、頻繁に耳にする言葉に「ニーズを引き出す」という言葉があります。
ぶっちゃけて言うと、「その人にとって必要、または望んでいる物事や環境、状況」ですが、望むこと全てがニーズではないことも、支援者は知っておかなければいけませんし、支援者やご家族のニーズを優先していないか、慎重に見極めることが求められます。
通っていた介護の学校では、基本的に高齢者の勉強が主でしたが、介護過程では、いやというほど、事例の分析という作業を繰り返ししてきましたので、考え方の基本は叩き込んで頂いたと思っています。
寄り添うなんて言葉を使うと「何をどうしたことが寄り添ったことになりますか?それを対象者から言われたとして、気を遣われていると想像したことはありますか?」「あなたが抽出したニーズは、本当にご本人のニーズですか?あなたがニーズだと思い込んでいるだけでは?もしくは支援者のニーズなのではありませんか?」
というような厳しいことを仰る先生がおられ
前述の、優しい心で寄り添うことが大好きな体力自慢の50代訓練生は何も言えなくなっていました。
この業界に入って13年経ちましたが、学び続けること、学び直すことの大切さを、改めて噛みしめています。
ひとりよがりの「自己陶酔支援」に陥らないよう、心を引き締めて新しい年度を迎えたいと思います。
明日は4年に1度の閏年の29日ですね。
気候も不安定、地震も各地で頻発と、不安な日々ではありますが、へこたれずに頑張って参ります。皆様も、季節の変わり目ですので、くれぐれもご自愛ください。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。