月日の流れるのは、

なんと早いものだろう。


昨年の9月5日は、

何を思っていただろうか。

夫の新盆が終わり、

愛猫のラムを見送り、

相続関連の書類を

やっと取り寄せるところまで

漕ぎ着けていた。


マリア先生の講座を二つ

掛け持ちしながら、

夫を失った悲しみの気持ちを、

建て直していたので、

とにかく、忙しい日々だった。


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2年前の9月5日は

…孫娘のダンス発表会の

リハーサルの日だった。

夕方からはいつも通りに、

慌ただしく過ごしていた。

夫が緊急入院した病院からの

ガン宣告の電話があるまでは。


病状の進行が

目に見えて顕著になった

その年の年末までは、

結婚した頃の気持ちのような

「どんなことがあっても

支えるよ!」という決意と、

大好きな人が目の前から

いなくなってしまうという

恐怖の気持ちとが混在していて、

正直苦しかった。


ガンを患った夫と過ごした

その数ヵ月ほど、

夫と向き合っていた期間は

なかったと思う。

悲しかったこと、

楽しかったこと、

共有できることは、

伝えたつもり。

一緒に買い物に行って、

一緒に作る料理の時間は

本当に楽しかった。

土鍋で炊く栗ごはん、

干し柿、青唐辛子味噌、

果物のジャム、コンポート、

きのこのアヒージョ、

なす味噌、水炊き、

テールスープ…etc


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店先にいちじくの実が

出回り始めた。

それを見て、

思い出す。


夫の作ったいちじくの

コンポートを、

娘が「美味しい!」と

言ってくれたことが

うれしくて、

知り合いに頼んで

たくさんのいちじくを

取り寄せたっけ。


今は、体のない魂の存在になり、

私たち家族の近くにいるとは思う。


しかし、生きている

彼はいない。


生きている頃、

見えないところで、

私の影になり日向になり、

私の出来ないことは

全てやってくれていた人は

いない。


彼が残した

継ぎ足ししながら

作っていた

超辛い唐辛子味噌も

もうすぐなくなる。

でも、彼の味を再現することは

私には出来ない。


9月がはじまるとともに、

夕暮れに響く

大音量の虫の音が、

ただでさえ、

秋の夕暮れは寂しいのに、

ますますセンチメンタルな

気分にさせられる。


うんちくを語りながら、

料理していた夫の姿が

愛しく感じられた

あの秋の日は、

私の胸の中の宝物だから。


今は、まだ流されて生きている

ような気もするけど、

少しづつ前進できたらいいかな。


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現在、闘病記録は休眠中。