入院三日目の朝、

夫とは面会が出来ないので、

病院のケースワーカーさんに

転院先の進捗状況を聞きに

行った。


夫はケースワーカーさんが

面会に来るたびに、

「決まりましたか?」と

聞いているという。


大きな病院は、

患者を受け入れるための

カンファレンス(会議)が

行われる。

そこの会議に、たどりつくまで

数日かかることもある。


一番に推していた病院は、

少し遠く通うことが

大変ということで、

カンファレンスに持ち込むことは

不可能となった。


一番近くて、

ガン拠点病院指定の

病院は返事待ちの状態だという。

ランクは下がるが、

もうふたつの病院も

問い合わせしてもらっていた。


後から夫に電話をすると、

しきりに「返事が遅い。

何故、いつまでに返事します。

という約束が出来ないんだ!」

と、営業職的なことを

言って、苛立っていた。


コロナ禍で、

受け入れる側も

他県からの患者受け入れに

慎重になるのも当然だし、

昨日の今日では

返事が出来る訳もない。


大きな病を受けて、

自分中心の物事しか

考えられなくなる気持ちも

わからなくない。

個室の病室で一人の時間を

過ごすことが初めての夫は、

家族が面会

出来ないコロナ禍で、

看護師や先生だけが

頼りだったのだろう。


転院先探しは、

長期戦になりそうなので、

私は夫の部屋を

毎日少しづつ片付けて、

転院と引っ越しを

同じ日に

一緒にすることに決めた。


娘が会社を休み、

部屋の片付けを手伝うという。

私の着替えを持ちながら、

4時間かけて、こちらに

来ることになっていた。


つづく。


✨️✨️✨️✨️✨️✨️✨️✨️✨️✨️✨️✨️✨️