青い波の彼方へ消え逝く鳥の声が
美しい警告のように冷たく鳴り響いていた


キミの髪が揺れて
ボクの影を揺らす
こんなに近いのに
何故こんなにも遠い

触れるのに触れない
距離が虚しく横たわる

ボクはひとりで行くよ
この景色失くさないよう
光に目を伏せても
キミがボクの光

青い波緩やかにボクを乗せ遠ざかる
誰にも届かないように小さく名前叫んだ


キミの隣で笑う
キミが隣で笑う
それだけできっと
大丈夫と思ってた

泣き出しそうなキミは
指を繋いで目を閉じて

キミを連れて行けない
壊れないで壊さないで
けれどボクの名を呼ぶ
声が波を止めた

青い空の彼方へ飛び去る羽ばたきは
美しい警告のように優しく鳴り響き


ねぇ本当に
この穏やかな
日々を終わりにしようというの?

ねぇキミは
変わらずに変わって行く


青い青い空を見上げて
キミは綺麗に微笑う
ボクの肩越し

青い青い波の彼方へ
あの日の鳥は羽ばたきながら
美しく鳴く声に
そっと目を伏せた


青く凍えた
空に
そっと息を吐き出す


月の見えない夜は

キミを失いそうで


・・・なんて


身勝手な不安
苦笑して窓を閉め
冷えた体を抱き締めた


こんなにも
逢いたいのはきっと
闇が月を隠した所為

こんなにも
泣きたいのはきっと
キミが優し過ぎる所為


引き寄せて
手を繋いで
じっと見つめて
そうして

ふ、と

気付けば手を離して
キミは微笑う


欲しいのは
優しい距離じゃなくて
欲しいのは
ただ


届かない
声は
音も失く
夜に解け

月明かりに
そっと暴かれる


いつの間にか
煌々と降り注ぐ光の矢

手のひらを撫で
酷く優しく
さらり音も失く
零れて墜ちた。


「もしも」


ボクが消えてしまったら
どうする?


・・・なんて


ふと浮かんだ
他意無いハズの問い掛けを
口にしてすぐ、事の重大さに気付く


・・・しまった


慌てふためく心の内とは裏腹に
ゆっくりゆっくりと腕の中
ふわり、顔を埋めさせ


「・・・どこかへ行っちゃうの?」

「・・・行かへんよ」


あなたのそんな顔は見たくない
けれど
ついつい笑みが零れる


・・・いけないいけない


罪滅ぼしに髪を撫で
罪滅ぼしに頬を撫で
罪滅ぼしに


極上のボクを、あなたに。