■さてさて■ | □■海と山と生活と法律家への道程と■□

■さてさて■

昨日実家の猫が逝った。
18年前、まだ小学校入りたての妹が拾ってきた三毛猫だった。
それまでも、幾度となく猫を拾っては、飼える人を探してきたが…念願叶って初めて我が家の一員に昇格した。

猫を飼うのは本当に初めてで、既に三人もジャリンコがいた両親としても異例の決断だったのではなかろうか。
ただ、三毛猫の前に拾ってきたトラ猫を託した飼い主が、不注意(故意と同視しうる重過失)により、彼を事故で死に至らしめたことも大きな要因であったろう。

それでも、猫のトイレや砂や早速おもちゃを一緒に買いに行った父が楽しそうで、家族全員がウキウキしたウィルスに感染していたなぁと思う。
家で飼われる猫の生態を誰もがよく知らなかったことを幸いに、5月に来たから『メイ』と安直かつ時代を感じる名前で呼ばれ始めた彼女は、驚くほど強く育った。
体が強い訳ではない、事実、ベランダから転落して気胸になったらしい大失態を始めとして、大病はなかったものの、それなりに動物病院にもお世話になってるし。

やたらと強かったのは『気』だった。
常に他には威嚇を繰り返す彼女を『メミ』ちゃんは強いわねぇと、コロコロ笑って喜び育てた母のおかげで、最終的には獣医にまでお断りされる、強すぎる猫になった。

成猫期には小さな頭にがっちりとした体格を艶のある三毛で覆う、立派な日本猫だった。

■さてさて その2■
さて、そんなメイちゃんと僕との関係は、飼い始めは毎日『まだいる!?』と、学校から慌てて帰宅したりしたものの、多感な時期には家にいる時間も激減し
最近では母が諦めた爪切りにチャレンジした位しか、まともに触った記憶がない。
そもそも、家族ではないとみなされるのが早く、気高い猫様は僕が触れることを許さなかった(笑)


それでも、淋しいね。

箱の中で小さく眠る彼女の軽さに驚いた。
少しだけ手を触れて、何回か。
触られるの嫌かなぁ・・・と、彼女の、ペットとしては大失格の孤高さを尊厳しようと思った。

生き物との、時には物との出会いに特別な意味を求めるのは人間だけかもしれない。
でも、だからこそ、あえて特別だったと思うのが人間なんだろう。
生き物と暮らすということ。
名前のない生き物に、名前をつけ、安全と引き換えに自由な世界を奪うこと。
そして、きちんと最期の時まで責任を持つこと。
我が家で初めて名前を付けられた、初めての彼女との出会いは、本当にたくさんのことを学んだなぁと思う。

18年前、飢えか、天敵からの攻撃か、原因は分からないけど
ひっそりと死んでいたであろう彼女は、昨日両親に見守られ、人の手の暖かさを感じながら去って逝った。

うん。
よかったよ。

寝ているようにしか見えないと、いつもより口数少ない両親からの言葉。
眠るように、ちゃんと看取られたのは、大切に暮らしてきただからだと思うよ。

彼女が家族の一員となった記念すべき日も、天気のいい日だったかなぁと思いながら
近所で一緒に拾われた白黒の兄弟はどうしたかなぁと。