晩夏の青い小径を
踵を夕陽に向けて
夏と秋のブランコに揺られ
片目は豊穣
片目は極貧
夏はしつこく引っ張るし
秋は遠くで眺めている
君はいない
君はどこにもいない
這いつくばって
アリの穴までさがしてみても
君はいない
やがて夕陽が沈んでいく
夏の盛りをごっそり盗んで
たくさんの踵を引き連れて
無数の踊り手が沈んでいく
そして忍び寄る秋が
反対の水平線からこっちを眺める
誰も見てないうちに
誰も知らないうちに
世界は赤く変わっていく