前回の記事からずいぶん経ってしまった。今日で11月も終わりである。10月末あたりからウツ
傾向が出てきて、何も書く気になれない。アメブロからペタがなくなってしまったのも影響してい
る。義務的にでもペタを返さないといけないと思うとアメブロにアクセスするが、なくなってしまう
と、どうでもよくなってしまう。アメブロはペタを再開すべきだと思う。
さて、一昨日は、水戸市にあのサラ・オレインが来るというので聞きに出かけた。水戸は7日に、
カウンターテナーの藤木大地と現代美術の「道草展」というのを両方で2500円以内という格安の
値段で観に行って以来、三週間ぶりである。藤木大地と「道草展」については次回書くことにして、
先に記憶に新しいサラ・オレインの水戸公演について書いてしまいたい。正直言って、期待をはるか
に超えるコンサートだった。ビルボードライブ東京のライブよりずっと出来が良く、改めてサラ・オ
レインの実力に感動した。
会場のザ・ヒロサワシティ会館というホールは、水戸芸術館のホールのようにいいホールではない
が、聞いてみると音はかなり良かった。少なくとも私の座った席からではビルボードライブ東京より
はるかにいい音だった。地方の小ホールなのにわからないものである。
サラ・オレインは純白のドレス。ちょっとこの場に似合わないほど美しい。やはりどこか人間離れ
しているというか、幻影でも見ているような美しさだった。最初の「枯葉」から、やっぱりすごい声
だなとショックを受ける。純度の高さが素晴らしい。他にも、「我が故郷」、「もののけ姫」、「秋
桜」、ヴァイオリンのAPASSIONATOなどすごくエネルギーがある。内面を見つめるかのようなビ
ルボードライブ東京の時より、ダイレクトに心に突き刺さってきて、心の奥まで揺さぶられた。
ピアノの宮本貴奈とチェロの溝口肇も素晴しく、ヴァイオリンとチェロ、ピアノのバランスがとても
いい。やはり低音楽器が支えると重心が安定する。溝口肇の「世界の車窓から」やカザルスの「鳥の
歌」も非常に良かった。アンジェラ?という名のチェロの音は品位と深みがあって美しかった。
一番聞きものだったのは、この日が最初だという、ピアソラの「リベルタンゴ」。これは楽しかっ
た。あと何といっても水戸黄門の主題曲「ああ、人生に涙あり」の力強い歌唱にはびっくり。水戸黄
門の印籠を手にして、「この紋所が目に入らぬかぁ!」と叫ぶパフォーマンスには会場も大笑い。サ
ラ・オレインは相変わらず人を楽しませるのが大好きで、おかしな茨城弁を使ったり、水戸に関する
蘊蓄を披露したりして観客を楽しませた。ただ、西郷隆盛が尊王攘夷運動の精神的な基盤になった水
戸学に影響を受けたことはさすがに知らなかったようで、そこに触れれば水戸と鹿児島との関係の話
にも深みが加わったことと思う。
ピアノの宮本貴奈も音が非常に美しく、本気でやっているのが伝わってきた。後半の「戦場のメリ
ークリスマス」、You raise me up、マイウェイと、これは今まで聞いた中でも最高のサラ・オレ
インの歌唱の部類に入るなと感動しながら聞いた。このバランスの取れた成熟した大人の音楽に支え
られて、サラ・オレインが歌うのをまた聞きたいなと思いながら、すごく寒い水戸の夜を何だか混乱
したような熱した頭を抱えながら駅まで歩いたのだった。
千波湖の夕暮れ。この後、聞いたところによるとこのあたりに虹が出たそうだ。不思議だ。雨が降
ったわけでもないのに・・・・。