「やだ~○○さん!かわいいー」
と、後輩にいわれてしまった・・。
あ、かわいいのはわたしではなくて、帽子です。
あんまり寒いので、とっておきの帽子をかぶって出社。
この帽子、2、3年前に買ったお気に入り。
当時、担当企業の某営業所で、歓送迎会があると、なぜかわたしもふつうにメンバーになっていた。
(今はその営業所、閉鎖になって、みんなちりじりになっちゃいました・・)
その日も送別会があり、そこのおねえさんが代表でお餞別を買いに行くというので、わたしも一緒に行った。
宴会まで時間があったので、わたしたちはデパート内を物色。
で、帽子売り場にたどり着く。
帽子売り場にも、試着室があるって知ってますか?
わたしは、ふつうにそこにある鏡の前で、あれかぶったりそれかぶったりするけれど、
それが出来ない方もいます。
そのおねえさんも、そういう方でした。
「どうしよう。これ、かぶってみたいなあ・・」
と躊躇していると、店員さんが試着室を案内してくれた。
さすが、老舗の百貨店!
なんて感動してしまった。
彼女は20代で乳がんを患った。
わたしが彼女と知り合ったのは、それから丁度5年後で、がんが再発した頃だった。
「わたし、もう保険入れないですよね・・。もっと入っておけばよかったって、つくづく思いますよ。
今だって、1本1万の注射打つんですけど、保険きかないんです・・」
で、やっぱり副作用で髪が抜けてしまい、かつらを使用している。
彼女のかつらは人毛なので、時々メンテナンスするらしい。
その頃もメンテナンス中だったので、帽子の日々だった。
どうせなら、いろんな帽子かぶりたいよね。
ってことでお買い上げ。
わたしも帽子大好きだから、一緒に買ってしまった。
女は買い物すると機嫌が良い。
先に出たはずのわたしたちは、しっかり宴会を遅刻して、でもご機嫌にお酒を飲んだのだった。
(あれ?主役はだ~れ?)
今でも彼女は病気と闘っている。
いろんな副作用で痛々しいのだが、
「これで命が助かると思えば」
と、いう彼女の笑顔はほんとに素敵。
職場の人たちも理解があって、ふつうに優しい。
彼女は大変な病気になってしまったけど、だからこそ見えることがあるよね。
それがちょっとうらやましいとかいったら怒られるかな。
でも、年下のだんなさまはめっけもんだよ!
「自分はいつ死んでしまうかわからないし、いつ再発するかわからないし、子供も産めないかも知れないから、結婚出来ません」
と断ったら、
「それでもいいよ。別に、どうしても子供が欲しいってわけじゃないし」
なんていってくれちゃったそうだ。
そしてふたりはいまだにらぶらぶ。