けいれん性発声障害 | いびき 睡眠時無呼吸症候群 睡眠呼吸障害 口呼吸 吃逆(しゃっくり)
[けいれん性発声障害]

(YOMIURI ONLINE)

<声帯の緊張 手術で緩和>


熊本県の女性(29)は、5年ほど前から声が詰まるなどの症状が
現れた。
耳鼻科などを数か所回ったが原因が分からず、バスガイドの仕事を
退職。
以後も発声困難は進行し、小声しか出せなくなった。
昨年2月に受診した熊本大病院で「けいれん性発声障害」と診断。
同年8月、のどの軟骨を少し広げて、声帯の緊張を和らげる手術を
受けた。
すると以前の声が戻り、現在は治療後に付き合い始めた男性と
結婚して、幸せな生活を送っている。
(佐藤光展)


声帯は空気が肺に行く経路の途中にあり、呼吸の時に開き、
発声時は閉じる。
閉じた声帯の間を、肺から出る呼気が抜ける際に、声帯が震えて
声が出る。
けいれん性発声障害は、声帯が強く閉まり過ぎるなどして、声が
詰まったり、途切れたり、震えたりする。
1日の間でも症状の変化があり、緊張すると症状が重くなる傾向が
ある。

同様の症状は、過緊張性発声障害でも出る。
これは、必要以上にのどに力を入れて発声する癖によるもので、
言語聴覚士の発声指導で改善する。
1年ほど経過を見てもよくならない場合は、けいれん性発声障害の
可能性が高い。

患者は20~30歳代の女性に多い。
正確な患者数は分からないが、熊本大耳鼻咽喉科・頭頸部外科
助教の讃岐徹治さんは「軽症を含めれば、数千人に一人はいる
のでは」とみる。

しかし、この病気は、医師の間でも知られていない。
声帯をみても異常はわからず、「精神的なもの」と誤診される
ケースもあるという。
正確な診断を受けるまでに、耳鼻科や神経内科、精神科などを
5~10か所回る人が多い。

特定の筋肉に過度の緊張が起こり、首や手首、上半身などが
曲がったり、目が閉じたりしてしまうジストニアの一種と
考えられるが、明らかな原因は分からない。

そのため、治療は対症療法となる。
米国で普及しているのは、声帯の動きにかかわる筋肉に毒素を
注射し、一時的に麻痺させるボツリヌス療法だ。
だが、安定した効果を得ることはできず、薬の効き目がなくなる
3か月から半年ごとに、注射を繰り返す必要がある。

熊本大で行っているのは「甲状軟骨形成術2型」と呼ばれる
手術法。
京都大学名誉教授で、一色クリニック(京都市)院長の一色信彦
さんが考案した。
手術は、首への部分麻酔で行われる。
のど仏付近の皮膚をシワに沿って横に2.5~3センチほど切開し、
現れる甲状軟骨を縦に切る。
続いて、この軟骨を左右に少しずつ広げていき、患者に「おはよう
ございます」など、これまで最も発声しづらかった言葉を話して
もらう。
甲状軟骨を開くことで、声帯の締まりが弱まり、声が楽に出る
ようになる。

広げる幅は2ミリ~6ミリ。
最もよく声が出たところで、すき間にチタン製の金具を二つ
はさんで固定する。
手術時間は約1時間半。
手術後は声帯が腫れるため、すぐには声を出さず、1週間入院して
回復を待つ。

讃岐さんが、この手術を行った患者80人のうち、7割で症状が
消失。
緊張した時に多少の詰まりが出る人が2割、残る1割は症状は
改善したが、患者の希望ですき間の再調整を行った。

讃岐さんは「手術するか否かは、どの程度までの声が出るように
したいのか、という希望や症状の受け止め方などで異なる。
耳鼻科の音声外来で、じっくり相談してほしい」と話す。

けいれん性発声障害の手術を行う主な医療機関


http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/20071228-OYT8T00316.htm