法律学は、よく「大人の学問」だと言われます。別名、「パンのための学問」。
理系のような天才性が要求されるわけではなく、円熟した価値判断、穏健妥当な結論を導ける理論が優れているとされています(永遠の真理を求める若者にとってつまらない面を持っているのは否めません。)。
ただ、そのような法律学においても、時折、論者の天才性に戦慄するような場面に遭遇します。
その一つとして、平井宜雄『損害賠償法の理論』(東京大学出版会、昭和46年)を挙げることができるでしょう。間違いなく、我が国の損害賠償理論にとってエポックメイキングな著作です。すべての法分野において読むべき本を一冊だけ挙げるとしたらという質問に、本書を推す法学者も多いのではないでしょうか。
本日は、少し(いや、かなり)マニアックなお話でした…。