「24 -TWENTY FOUR-」シーズンⅥは2007年に製作されたアメリカのドラマです。イマジンエンターテイメントが製作し、FOXで放送。シーズンⅥにはロック司令官役のハリー・レニックスがワリード役で出演しています。では、あらすじです。
テロ対策ユニットCTUの元捜査官ジャック・バウアーが中国政府に拉致されてから2年。アメリカでは爆弾テロが頻発し、死者は900人以上にのぼった。状況からイスラム過激派の犯行と見られ、政府内でイスラム教徒への拘留措置も提案された。CTUは首謀者ハムリ・アル=アサドの抹殺計画を講ずるが、そこにアブ・ファイエドというテロリストが、仲間のアサドを渡すかわりに、ジャックを渡すように要求してきた。ファイエドにとってジャックは兄の仇であり、復讐の為の要求だった。大統領ウェイン・パーマーは中国政府と交渉し、ジャックを釈放させる。帰国したジャックはアメリカの為に犠牲になる事を承諾し、ファイエドの指定した場所に向かうが…という話です。
ここからネタバレがあります イスラム系テログループの爆弾テロから始まり、大統領暗殺計画、中国工作員によるCTU襲撃、最後は石油掘削基地での空爆で終わるⅥは24ならではの迫力のシーンがふんだんにあり、また緊張感のあるストーリー展開はスリリング。音楽もよく雰囲気を出していました。そしてもちろんジャックは今シーズンも大活躍。
ファイエドの乗るトラックの底に貼り付いてアジトに入り込むなど、シーズンⅥもどことなく笑えるスーパーヒーローぶりを大真面目かつ熱く披露するジャック。でも今シーズンはひどい扱いを受けても国の為に犠牲になろうとするなど、ジャックの揺るがない国への忠誠にジーンとしました。中国での拷問で心に迷いや弱さが出てしまう事が多く、苦しむ姿には痛々しいものが…。以前の冷徹さを失い戸惑うジャックにアサドが言った『思い出す』という言葉通り、テロとの戦いの中、かつての強引で騒がしい自分を思い出されてようで、その後は正義の為には車の盗難や携帯の無断使用は当然とばかりの横暴捜査を開始。尋問に拷問、許可なし捜査、いきなり潜入とジャックの得意技が次々に飛び出します。もはや止めるのも大変な勢いで突き進むジャック…。
そんなジャックの恋人オードリーは、ジャックを捜しに北京に行き交通事故で死亡。ところが事故は偽装されたもので、なんと中国で捕らえられ、人質としてアメリカに連れてこられていました。中国工作員チェンからオードリーを助け出したものの、ひどい拷問を受け、精神に異常を来たしていたオードリーは、なにも分らない状態になっていました。オードリーの父であるヘラー元国防長官は娘を連れ帰る際、ジャックに『君は呪われている、君がふれた者は最後には命を奪われる』と言い放ちました。悲しむジャックですが、そこですんなり終わらない性格なもんで、ラストはヘラー家に侵入するとヘラー元国防長官に言いたい放題言い、さらに眠っているオードリーを連れて行こうとしますが、しかしさすがにそこまではしませんでした。安らかな表情で眠るオードリーを見たら、そんな事はできませんよね。そんなジャックを演じるキーファー・サザーランドは変わらない熱過ぎる演技で魅了してくれます。中国のシーンではZZ Topみたいになっちゃってました。
ハリーが演じるワリードは大統領の妹サンドラの恋人です。弁護士のサンドラは、ワリードが所属する米国イスラム連合の代理人を務めています。サンドラはFBIに提出するように求められた記録を削除してしまい、ワリードと共に逮捕され勾留施設に連行されますが、大統領の妹のサンドラだけは釈放されました。施設に収容されたワリードは、収容者の中にテロの関係者がいると気付きます。FBIはワリードに盗聴器をつけて情報を聞き出そうとするんですが、盗聴器を怪しまれずにつける為にわざと痛め付けてました。テロ関係者の収容者は隠し持つ携帯で外部からのテロ情報を得ている事が判明。ワリードはその携帯を盗み、データがCTUに送られました。しかし調べた結果、収容者はテロ関係者ではなく、テロリストのサイトにアクセスして情報を得ていただけでした。そして携帯を盗んだ事がバレたワリードは収容者達からボコボコに…。FBIに痛め付けられ、収容者達からはボコボコにされたワリード、不憫ナリ。ワリードはこれ以降は出てくる事はありませんでした。ハリーにはもっと重要な役で出演して欲しかったのに、こんな空しい役なんて…。恋人のサンドラは見るからに気の強そうな女性で、FBI(エージェントの様でした)のサミュエルズ捜査官と口喧嘩状態でやりあったりしてました。
Ⅵは他のドラマの出演者が出ています。まずは「ER」でロマノ先生を演じたポール・マクレーンがジャックの弟グラハムを演じていました。父親のフィリップは、テログループと核爆弾の交渉をした旧ソ連の将軍グレデンコと仕事で接触した過去があり、それを知ったジャックは父に会いに行きますが不在。そこで父と共に仕事をしていたグラハムを尋問し、下請け業者マッカーシーがファイエドに核を横流ししていた事を聞き出しますが、さらにグラハムはウェインの兄である元大統領デビッドの暗殺を指示し、ジャックを犯人に仕立て、証拠を消す為に元CTUスタッフのトニーとミッシェルを殺害するよう指示していたとも自白。重大な事件に関わっていたグラハムはCTUに連行される事になりましたが、連行前に父と二人だけで会う事が許されます。ところが、この間にグラハムは死んでしまいました。ジャックが尋問に使用した自白剤が原因で死亡したように見える状態でしたがそう見せ掛けてあるだけ。実は一連の犯行を主導していたのはフィリップであり、グラハムが尋問で全てを自白してしまう可能性を考えて口を封じたのでした。グラハムは父の為に罪を被ろうとしていたんですけどね…。ポールは裏表が激しいグラハムをシニカルに演じていましたよ。フィリップはジェームズ・クロムウェルが演じているんですが、温厚なルックスながら実は黒幕だったりする悪役で燻し銀の演技を見せてくれました。
「アリーmyLove」でジョンを演じていたピーター・マクニコルはパーマー政権の首席補佐官トムを演じています。前半は表面的で冷淡でいや~な感じのヒールキャラだったんですが、実は良い人。でも世渡り上手です。ピーターはなかなかのヒールぶりだったんですが、どことなく笑えるシーンでもシリアスな空気を崩さずにコミカルさを出していたのも上手かったです。
ヒールキャラはトム以外にも、ダニエルズ副大統領と副大統領首席補佐官リサのヒールコンビがいました。大統領は会見場に仕掛けられた爆弾で意識不明の重体になりますが、しかし中東への核による報復攻撃を命令したりするヒール副大統領を止める為に無理を押して復帰します。平和の為にと無理を重ねた大統領は、とうとう脳内出血を起こして倒れてしまい、完全に職務続行不能に…。そしてダニエルズが大統領代行になってしまいます。コイツとリサのやりたい放題になるのかと思いきや、二人はあちゃ~な不祥事に巻き込まれてしまい、あまりのあちゃ~な状況に敵対する人々に同情されたり心配されたり…。そんな事もあってか、最後は大統領の重責と苦労を理解したダニエルズなのでした。そんなダニエルズを演じるのはヒール臭がプンプンするルックスのパワーズ・ブース。リサは性格が冷たそうに見えるカリ・マチェットが演じています。二人のヒール演技、良かったですよ。
そして兄の遺志を引き継ぎ大統領となったウェインはD.B.ウッドサイドが演じました。デビッドの様な力強いリーダーシップはないものの、誠実で凛としていたウェイン。若くハンサムなウェインの誠実さはバラク・オバマ大統領に通じるものがありますね。その一方で前大統領チャールズはジョージ・W・ブッシュ前大統領を思わせる部分があります。このドラマが大統領選に影響したとよく聞きますが、FOXって共和党よりだそうなので、民主党の大統領選勝利に貢献しちゃってあちゃ~でしょうね。
チャールズといえばⅥで再登場した時は改心していて、グレデンコを捜すジャックに協力してくれました。ただチャールズの協力で解決する問題と思われましたがそうもいかず、チャールズの別れた妻マーサの協力も必要な状況になります。精神不安定だったマーサは、元シークレットサービスのアーロンと共に施設で暮らしていました。協力を請いに来た元夫と会い、怒りを抑える事ができなくなったマーサはなんとナイフで刺してしまいました。チャールズはドラマでは死亡したように見えましたが、小説版によると生きていたようですよ。
他のⅤまでのキャラにも色々ありました。Ⅴでは女好きで軽いノリだったCTUの通信担当スタッフのモリスは、Ⅵでもおもしろいとこもありましたが、シリアスなシーンも多かったです。ファイエドが核爆弾を使用できる状態する為に、それを可能にするエンジニアとしてモリスを捕らえ、痛め付けて従わせたシーンなんて悲惨でした。
ジャックと共に活躍するシーンもあったCTU捜査官のカーティスですが、彼にはアサドの副官に湾岸戦争で部下を処刑された過去がありました。アサドは政府やCTUに協力しますが、カーティスはアサドを赦す事ができずに殺そうとします。そんなカーティスを射殺したのはジャックでした…。
私のお気に入りCTUロス支局支部長のビルは、Ⅵでパーマー政権の安保担当補佐官となったカレンと結婚。ですがビルは数ヶ月前、ファイエドを釈放していました。爆弾テロの首謀者と分る前とはいえ責任は重く、この事でカレンがビルを解雇しなくてはならない状況になってしまいました…。しかしビルは解雇後もジャックに協力して活躍してましたけどね。ラストではカレンもジャックに協力した事が原因で退職する事になっちゃいました。
Ⅵでの新しいキャラではグラハムの妻マリリンとCTU上級スタッフのナディアがとても美しい。それぞれレナ・ソファーとマリソル・ニコルズが演じています。マリリンのエレガントな美しさにはうっとりでした。ナディアはクールな美人です。CTU技術部門チーフのマイロがナディアに思いを寄せていましたが、CTU戦術通信部門チーフのマイクともちょっち良い雰囲気だったナディア。はじめマイクは傲慢な印象でしたが、だんだん良いとこも出てきました。頼りになる捜査官として活躍したマイクでしたが、爆発で目を負傷。マイロもナディアをかばって射殺されてしまいました…。マイクを演じたリック・シュローダーって熊のぬいぐるみみたいな顔してましたね。
Ⅵのテロリストは爆弾テロの首謀者としてアサドが登場しますが、実は首謀者はファイエドでした。アサドはテロ組織を武装解除させ、西側と交渉しようとしていて、その事をよく思わなかった部下のファイエドが、アサドを首謀者に仕立てて、テロ攻撃を起こしました。その事を知ったジャックはアサドが抹殺される寸前に彼を助けます。そして手を組んだ二人は、ファイエドの手下が地下鉄で起こそうとした爆弾テロを防ぎ、その後アサドは上記の様に政府やCTUに協力。大統領の依頼でイスラム社会にファイエドを食い止める協力を要請する声明を出す事になりましたが、リハーサル中の会見場に仕掛けられた爆弾が爆発し死亡してしまいました…。アサドを演じたアレクサンダー・シディグは、アサドのリーダーとしてのカリスマや知性をよく表現していました。
爆弾テロの首謀者ファイエドもアサドに負けない強い意思と行動力があるリーダーです。ターミネーターの様に目標に向かってひたすら突き進むファイエドを演じたアドニ・マロピスの、揺るがない強い思いを感じさせる目力がすごい。
テログループに協力する青年に脅されテロ事件に巻き込まれるウォレス一家の息子スコットを演じていたのは、「ドラゴン・キングダム」でコリンさんと共演したマイケル・アンガラノ君ですね。マイケル君はロン毛で出演していましたよ。
Ⅵもなかなか楽しめました。やっぱり24はカッコイイ。ということで今回は「24 -TWENTY FOUR-」シーズンⅥを紹介します。こちらは『DMM.com』のDVD単品レンタルの1巻になります。商品の画像をクリックすると詳細ページに移動します。