1~7月のコメの輸出量が、昨年同期比23%増え、過去最高となりました。


7月の輸出量は、前年比6.8%増の3,663㌧でした。


1~7月の累計は、2万4,469㌧で、過去最高だった昨年同期を23%上回りました。


輸出金額も29%増の64億6,200万円と、過去最高になりました。


海外に日本食レストランが増えたことや、円安が進んだことで輸出量が増えました。


国内コメ農家が輸出に力を入れるのは、長期的に見れば、国内市場が縮小傾向にあるからです。


国内のコメの需要量は、2030年には495万6,000㌧と、2020年比で22%減少する見通しです。


昨年の猛暑の影響などで日本国内ではコメの需要がひっ迫していますが、なぜ輸出が増えているのでしょうか。


コメは、作付け段階で使途を限定することが義務づけられています。


輸出用に作付けすると、原則として国内流通用に転用できません。


農水省は、国内需要が減るとみて、主食用米の生産量を抑えるべく、補助金によって飼料用、加工用などへの作付け転換を促してきました。


コメの生産量を調整して過剰生産を抑え、2018年に減反政策を廃止したと同時に輸出用の補助金制度を本格導入しました。


最大で10㌃あたり4万円の補助金が出ます。


この結果、輸出用を中心とする「新市場開拓用米」の作付け面積は、2023年には、前年比25%増の9,091㌶に広がりましたが、ここから収穫されるコメは国内には流通しません。


国内主食用の作付け面積の124万2,000㌶と比べれば比較になりませんが、円安などを背景に、今後も「新市場開拓用米」の作付け面積は増えそうです。


量が少ないため、輸出用のコメを国内に転用しても需要のひっ迫が解消するわけではありませんが、主食用米の生産を絞る仕組みは、制度疲労を起こしています。


気候変動やインバウンド消費に柔軟に対応できる仕組みの構築が求められます。