ホタテが値上がりしています。
昨年8月に中国が日本産水産物の輸入を禁じ、市場の卸値は2~3割急落しましたが、需要も価格も回復しつつあります。
豊洲市場では「玉冷」と呼ばれ、刺身用に開発された冷凍貝柱が多く流通しています。
ホタテを殻むきして急速冷凍したもので、すしやてんぷら、中国料理など幅広い需要があります。
8月中旬の玉冷の豊洲市場での卸値は、1㎏=3,200~3,300円と、昨年同期に比べ、3割高くなっています。
都内の鮮魚店でも、玉冷を解凍した刺身が、昨年より2~3割高で売られています。
どちらも禁輸前とほぼ同じ水準です。
2023年8月24日、中国は、東電福島原発の処理水の海洋放出を理由に、日本産水産物の輸入を禁止しました。
前年2022年のホタテの輸出額は911億円で過去最高でした。
最大の輸出国が中国で、5割を占めていました。
禁輸で、豊洲の玉冷相場も1ヶ月で2~3割下落しました。
ふるさと納税サイトや回転ずし店は、キャンペーンを展開し、農水省もホタテを食べてもらうよう消費者に呼びかけました。
総務省の家計調査によると、世帯あたりのホタテ消費量は、2023年9~12月の平均で1.3倍、消費金額で1.5倍に増えました。
2024年1~6月のホタテ輸出額は、前年同期比37%減の241億円でした。
中国禁輸の影響は残っていますが、米国は前年同期比64%増、カナダは7.2倍、タイは3.5倍、ベトナムは7.9倍と、新たな輸出先も広がっています。
急激な円安も追い風となりました。
日本貿易振興機構(JETRO)では、そう時間はかからず中国の減少分は埋め合せできるとみています。
最大の産地北海道では、6月から水揚げ本番を迎えています。
前年並みの40万トンの生産を見込んでいますが、海外需要の復活で品薄感が出始めています。