全国主要港の1~7月の生スルメイカの水揚げ量は、2,000トンと、前年同期比20%減で、2年前の同期の三分の一です。


豊洲市場の7月3週(12~18日)の平均卸値は、1㎏あたり1,309円と、前年同期比55%上昇しました。


鮨や刺身になるメバチマグロ(同996円)を3割上回ります。


スルメイカは、例年7月に入ると北海道産や青森県産、秋田県産などの入荷が増えますが、今、入荷しているのは石川県産が全体の6~7割、山口県産が2割などです。


1㎏1,500~2,000円と異例の高値で取引される日もあります。


原料高をうけ、桃屋(東京都中央区)では、10月に「いか塩辛」を7年ぶりに値上げします。


ここまで価格改定しないよう経費削減など企業努力をしてきましたが、限界に達しました。


塩辛を受注生産にしたり、ミミやゲソまで利用するメーカーもあります。


北海道や東北では、イカ加工会社の倒産が相次いでいます。


イカは、秋から冬に九州の南西沖で生まれ、海流に乗ってエサが豊富な東北から北海道方面へ北上します。


近年は海流の蛇行の影響で、関東沖まで到達した後、本来のルートから外れ遠方に流されていると言います。


オスとメスは産卵のため、再び九州に南下し、メスは数十万個の卵を産みます。


卵や稚魚の期間に水温などの海洋環境が適していると、資源は増えますが、近年は、産卵場の海洋環境がよくなく、稚魚の生き残りも少なくなっています。


2024年は南米でもイカが不漁で、1~5月の冷凍スルメイカの輸入量は、昨年同期比2割減っています。


イカ漁が厳しさを増すなか、新たな取り組みも動き出しています。


水産研究・教育機構(横浜市)とKDDIなどは、イカ釣り漁船に米スペースX社の衛星通信サービスを搭載し、海洋観測を開始しました。


海水温や塩分などの海洋情報を収集し、漁獲状況と照合しながら、イカの生息予測モデルを構築します。


漁師の経験に頼っていた漁場探索の効率化を図ります。