パナマ運河の2024年度(2023年10月~2024年9月)の売上高は、前年度比2.7%増の51億200万ドル(約8,100億円)となる見通しです。


太平洋とカリブ海を結ぶパナマ運河は全長82㎞で、海と最高地点のガトゥン湖の標高差は30m近くあります。


大型船は閘門を開閉して水位を上げ下げしながら前に進むため、大量の淡水が必要になります。


2023年には淡水が不足し、夏から1日に通航できる船数を制限しています。


2023年度の売上高は、2022年度を14.9%上回りました。


船舶の通航量は、1.5%減少したものの、収入の7割を占める通行料収入が33億4,800万ドルと10.6%増えました。


通航制限の長期化により、パナマ運河の入り口には大型船が通航の順番を待って行列をなす光景が日常となりました。


運河庁は、後から到着した船が行列に割り込める権利を販売しています。


多額の追加コストを支払ってでも早く通過したい船舶が多く、オークションの入札価格がつりあがりました。


2023年には権利を獲得するために400万ドルを入札した船まで現れました。


パナマ運河の通航制限は、国際物流のコスト上昇を引き起こしました。


米国東海岸から日本へ向かう場合、パナマ運河を通って太平洋を横断すれば約30日でつきますが、大西洋からアフリカ大陸の喜望峰を経由すれば約50日かかります。


高額の通航料や追加料金を支払ってでも、多くの船舶がパナマ運河を通ります。


2023年には紅海でイエメンの武装組織フーシによる商戦攻撃が頻発し、スエズ運河を通る代替ルートも機能不全に陥りました。


二大運河が同時に目詰まりを起こし用船料が上昇しました。


足元では、需給が緩む兆しが出てきました。


パナマ運河庁は、1日当たりの通航船舶を32隻程度に制限していますが、雨季に入る7月11日から33隻、22日から34隻程度に増やすと発表しました。


パナマ運河の国庫への直接納付額は25億ドルに達し、財政状況が厳しいパナマ政府にとって、パナマ運河の貢献度は高まる一方です。