2022年、コロナ禍での深刻な半導体不足などによる、新車の生産減少などを理由に中古車の価格が高騰しました。


ここしばらくは中古車価格も落ち着いていましたが、足元で再び上昇基調を強めています。


2024年5月時点で、中古車情報サイト「カーセンサー」に掲載された中古車の平均価格は、前年同月比、8%高くなっています。


中古車の相場は需給に左右されますが、短期の需給を反映するのがオークション取引です。


中古車買取店や新車ディーラーで下取りされた車のうち自店で販売されないものは競売に回り、中古車販売会社や輸出業者などが落札します。


コロナ禍では、半導体不足などで新車の生産販売が停滞し、中古車に需要が回りました。


下取りの中古車も減り、競売価格が跳ね上がりました。


中古車オークション最大手ユーエスエスの競売の平均落札価格は2022年9月に最高値(122万円)を付けました。


その後、半導体不足の解消などで、新車の生産が回復するにつれ、相場も落ち着きました。


足元で再び高騰しているのはメーカーの認証不正で新車販売が停滞しているほか、円安で輸出が増えているためです。


新車価格が上昇し、新車が簡単に買える価格ではなくなったこともあります。


中古車相場を押し上げているのは、短期的な要因だけではないとの見方も目立ってきました。


コロナ禍以前から長期的な上昇基調がみられ、2024年5月の平均価格は、2018年に比べ32%高くなっています。


年式が新しく状態の良い中古車の流通が増えています。


最近は新車とあまり変わらないきれいな車が増えています。


背景にあるのは、購入した新車を短期間で乗り換えることを前提とした「残価設定型ローン」です。


ローンを組む際に将来の下取り価格を決め、新車価格から下取り価格を差し引いた金額を分割支払いする仕組みです。


通常のローンより月々の支払いが抑えられるので、ここ10年で利用者が拡大しました。


残価設定をした消費者は評価額が下がらないよう大事に乗る傾向があります。


中古車市場に年式の新しい状態の良いクルマが流通し、結果、平均単価が上昇しました。


日本の自動車市場は新車が中心ですが、今後は中古車が存在感を高めるとの見方も出てきています。