米アップルやグーグルを念頭に、巨大IT企業のスマートフォン市場の独占を防ぐための法律が、6月12日参議院本会議で可決成立しました。


公正な競争環境を整備し、国内事業者がアプリ配信に参入しやすくします。


新法は、公正取引委員会所管の「スマホソフトウェア競争促進法」で、2025年末までに施行する予定です。


欧州連合(EU)のデジタル市場法(DMA)参考に、巨大IT企業が市場を独占しないよう、あらかじめ禁止行為を定める仕組みを取り入れました。


巨大ITが、アプリ配信や決済システムで、他社の参入を妨害することや、自社サイトを優先的に表示することなどを禁じます。


禁止事項や遵守事項に違反した場合は、違反行為から得られた国内売上高の20%を課徴金として課されます。


アプリ事業者が配信をする場合、iPhoneであれば「アップストア」を経由する必要があり、配信アプリの決済システムもアップルが独占しています。


消費者がアプリでゲームアイテムなどを購入した際は、アプリ事業者は、アップルに決済額の最大30%の手数料を払う必要がありました。


国内のアプリ事業者などは新法を歓迎しています。


モバイル・コンテンツ・フォーラムやコンピュータエンターテインメント協会など500社以上の会員企業を持つ7つの業界団体は、5月に新法を支持する声明を発表しています。


新法が施行され、巨大IT以外が運営するストアが増えれば、アプリ事業者にとっては、手数料が安いサービスを選ぶといった選択肢が広がります。


消費者も、ゲームのアイテム価格の低下などが期待できます。


課題は、独占を防ぐ実効性の担保や安全性の問題です。


所管の公正取引委員会の巨大ITを監視する担当部署は、20人ほどで、デジタル市場法(DMA)を管轄するEUの100人規模と比べて見劣りします。


巨大ITに対応するには、高度なデジタル人材の採用、育成と合わせて体制強化が必要となります。