インターネット銀行の預金量が大幅に増加しています。


主要6行(楽天銀行、住信SBIネット銀行、大和ネクスト銀行、ソニー銀行、auじぶん銀行、PayPay銀行)の3月末の預金残高は、2023年3月末に比べて18%増の約34兆円となりました。


預金増加のペースは、2023年3月末の11%から加速し、預金残高は過去を更新しました。


ネット銀行の預金量の増加率は他の銀行より大きく、第一地銀の伸び率は2%、都市銀行5行は3%にとどまっています。


2024年3月末の主要6行の預金残高の平均は5.7兆円で、10年前の3.6倍になり、第一地銀の平均5.3兆円を上回りました。


前期比15%増の10兆5,402億円と10兆円の大台を超えた楽天銀行は、預金規模で第一地銀上位の静岡銀行の11兆9,975億円に近づいています。


楽天銀行は、楽天証券との口座連携で、通常年0.02%の普通預金金利を0.1%に引き上げています。


新NISAの追い風もあって、3月末の口座数は、11%増の1,523万口座になっています。


PayPay銀行は、クレジットカード引き落としと並行して利用するなどの条件で、普通預金の金利を最大0.3%上乗せしています。


一部のネット銀行は、金利だけでなくポイントの付与も活用して預金獲得をしています。


auじぶん銀行は、月の総資産残高が100万円の場合、給料の受け取り口座の指定などの諸条件を満たせば、月最大620Ponta(ポンタ)が付与されます。


620円に相当し、金利に換算すると年0.74%の上乗せとなります。


楽天銀行は、規定のサービスに登録すると残高や取引件数に応じて、楽天ポイントの獲得倍率が最大3倍になります。


ただ、ポイント負担は大きくなっていて、楽天銀行は、2023年3月期に自行内で付与したポイントを、楽天グループへの販売促進費として111億円計上しました。


ネット銀行は、利便性の高さから顧客を引き付けてきましたが、預金での高金利の提示は、費用増加に直結します。


預金者への支払い利息などの資金調達費用は、主要6行合計で943億円と、前の期に比べ2倍になりました。


特に、大和ネクスト銀行とソニー銀行は外貨預金の残高が多く、海外金利の上昇により、外貨調達の負担が増加しました。


一部のネット銀行は、収益を住宅ローンに依存していますが、住宅ローン金利は、なお低水準が続いています。


住宅ローンの残高が多い住信SBIネット銀行は総資金利ざやが0.2ポイント縮小し、低金利頼みの住宅ローン販売が続けば、収益悪化につながる可能性があります。