日本郵便は、10月に封書を110円に31%値上する予定です。


定型の封書の値上げは、消費増税を除いて1994年以来30年ぶりとなります。


日本郵便は、23年ぶり2017年に値上げしたはがきも、現在の63円から35%値上げして、85円に引き上げます。


郵便物は、過去20年で45%減り、2028年度には、ピークである2001年度の半分以下に減る見通しです。


メールやSNSの普及により企業間、個人間ともに需要が落ち込み、足元では、原燃料や人件費の上昇が追い打ちをかけています。


日本郵便の郵便事業のみの収支は、2023年3月期に211億円の赤字で、2007年の郵政民営化後、初めての赤字となりました。


日本郵便は、郵便物の落ち込みを「ゆうパック」などの宅配サービスでカバーする戦略を掲げてきました。


しかし、宅配を含めた全体の取扱量は、2001年度から2022年度かけて3割減少し、ネット通販の市場拡大の恩恵を十分に取り込めていません。


今回、一連の料金に見直しを行えば、2025年度に郵便事業が黒字化する計算ですが、2026年度以降は、再び赤字になります。


経営状況によっては、短期間での再度の見直しも考えられます。


日本郵便は、昨年10月に簡易書留などを1割程度、国際郵便は2~3割値上げしました。


宅配でも、ゆうパックの基本運賃を約1割引き上げました。


料金改定と並び、省人化などによるコスト削減も課題となります。


日本郵便は、ドローンやロボットを使った配送の実用化に取り組んでいます。


昨年10月からは、ヤマト運輸からメール便や薄型荷物の配送業務を受託しおり、協業の事業規模は1,300億円ほどになります。


郵便値上げや事業規模の縮小は、国際的な潮流となっています。


英国では、1994年から2023年までに20回値上げし、料金は4倍になっており、米国は17回上げました。


独ドイツポストは、国内郵便の縮小を見すえ、2002年には世界的物流大手のDHLインターナショナルを完全子会社化するなど、M&Aをテコに成長を続けています。


日本郵政も、新たな収益源を育成できなければ、値上げ頼みの収益の確保には限界があり、将来の展望もみえにくくなります。