最近、時間があればYouTubeで "(日本の)保育士1日密着" 動画を見ている。
色々違って実に面白い。そして、大変そうだ。
とは言え、動画撮影や投稿できる時点で、ある程度ホワイトな保育園なのだろう、と思って見ている。
【違い】シリーズとして、私の働く異国保育園との違いを挙げてゆこうと思う。
今回は "検温" についてだ。
動画によっては2-3年前のものもあり、コロナ影響が残り、検温に神経質な場合もあったのかも知れない。
私の保育園では毎日の検温なんぞない。
保育士達もしなければ、園児達もしない。
動画を見ていると、
・毎朝保育士が出勤後に検温
・園児達の体温確認(検温又は家からの報告)
・園児達の昼寝後に検温
等を見かけた。
しない。しないしない。しない。
検温をするのは、
"あれ、ちょっと。この子熱くない?"
(手で確認)
"あ、本当だわ。熱あるかもね。"
って時だけ。
体温計は各親から各園児用に預かっており、ピッと測って熱があれば、リーダーが親に連絡をする。
親が迎えに来て、終了。
いや〜そんな訳だから、熱あってもフツーに登園してる可能性日々アリなんだよな。
毎日検温?!そんな面倒臭いこと、やらなくていいでしょ。熱ありゃ、そりゃそん時でいいのよ。
てな感じだろう。
どちらもどちらで良いのだ。
手間をかけて安全性を高めるか、ラクで行き当たりばったりか、だ。
私は、この国に来て、この保育園で働き出してから、"自らわざわざ負担を増やさない"、"僅かなことでも自分に無理をさせない"、そんな意識が芽生えてきた。
チリツモで、"まあこのくらいならいっか"って負担でも、そういうのが積もると、果てには "癖" になるのだ。癖になった頃にはもう取り除くのが難しくなる。
今までそういう事をしてきたと思う。だからもうここではなるべくラクに生きようと思っている。
いいのよ、ラクで。一生懸命に。誠実に。
そんな訳で、毎日の検温はない。
違いは面白い。
ある日、精製水を取りに教室から出てキッチンに向かったら、それを見たボス園長・リリーが私に言った。
"ジャパ子!ランを教室に一人残さないで!もし教室から出る用事があるなら、アンタがするんじゃなくてランに頼んでやってもらって!"
私 "???? オッケー??"
この時、その意味が全くわからなかった。
とりあえず、私は教室に戻り、ランに精製水についてお願いしたのだった。
多分、私とランとでは契約の種類が異なるとかで、もし園児達に何かあった時にランは責任を負える立場にないのかな?とかそんな事を想像した。
ランとはたまに一緒に働く。20年以上の保育士経験をもち、園児達からも好かれている。
私もランが好きなので、ある日連絡先を聞いた。
すると、ランは自分の番号を覚えていないらしく、スマホの後ろのマジックで書かれた番号を見せてくれた。それが彼女の番号だという。
少し不思議に思ったが、大して気にしなかった。
その日から、私とランのメッセージのやり取りは始まった。
のはいいのだが。
やたらとメッセージが送られてくる。
しかも短文でほぼ同じような内容が繰返し。
さらに。エッ、、?!
電話がかかってくる。
私は電話が嫌いなので出ない。
そして、何度もかかってくる。
私は出ない。
んーん?
このような状況が数日経過し、私はようやくあの時のボス園長の言葉に "もしかして..?" と思うようになった。
恐らく、ランは知的障害があるのかも知れない。だから彼女一人と園児達を教室に残すのは禁止だ、と言ったのかも知れない。
そうとなると、色々合点がいくこともある。
ランは勤務時間が少し短く、朝夕、園児達の親が来る時間はいない。オムツ交換を全くしない、というかその指示を受けない。園児達の食事後の掃除やゴミ捨てはなぜか毎回ランばかりがしている、というかその指示がランにいく。数字に関して記憶が曖昧だったりする。その他、ランは保育士経験超豊富な筈なのにたまに "?" と思えることがある。
ふむ。
タイミングをみて、ボス園長・リリーにランについて聞こうと思っていた頃、ある日、園児達の昼寝中に私とランは色々話をしていた。
そして、ある会話の時にランが言ったのである。
"私には問題があるから〜" 何ちゃらかんちゃらと。
ああっ!!やっぱりそうなんだ!!!
と、大変スッキリした。
しかし、驚くのはランの知的障害について私は全く分からなかった、ということだ。
見た目が普通で、髪を染めたり指輪やピアスのおしゃれを楽しんでおり、会話は全くフツーにできるし、園児達の保育もフツーにしてる。
多分、連絡先を交換していなければ、私はランの知的障害に気付けなかったんじゃないかと思う。
つーか、ボス園長・リリーが最初に私に説明しといてくれよ、って話なんだが。
こういう、"知らなくても大問題がない"ことについては情報共有がテキト〜なのもここの人達の特徴だ。
本当、後から "エッ!そうなの?!" ってなることが多い。笑。でも確かに、知らなかったからと言って"問題はない"ことなんだよな。
■"問題がなければOK"の判断基準説はやはり濃厚
日本だと、今日は誰(保育士)が欠席だとか、その理由だとか。誰(保育士)がいつ辞める/辞めたとか、その理由だとか。このギフトは誰からだとか、その理由だとか。色々共有する。
しないんだよ、ここの人達は。笑
それもまた面白いんだよな。
ふむ。
だから知らなくても構わない事って多いんだな、って学ぶ。他人がどうなるとか、他人がそれを知らなくてどう思うとか、そういうの余り考えてないんだろうな。ボス園長とか、知る人さえ知っていればそれでオッケー、みたいな。
日本人文化だと、特に仕事場で細かく情報共有をするから、それが普通の感覚になり、普段から他人のこととかもやたら気になるようになってしまうのかもしれない。
思考の癖、みたいなものかもな。
ここの人達って情熱的で、あったかくて、ハグしたり、オープンで、エネルギッシュで。そして他人のこととか細かいこととかバサっと気にしてないんだよなぁ。
エッ?そんなアッサリ?!
みたいに感じる時もあるが、これに慣れてくると気がラクになる。
さて、話は逸れたが。情報共有もバサっとしてるから、ランの知的障害について特に共有されてなかったわけだ。
ランについては色々興味深く、今日もメッセージが沢山届いている。
電話については、私が極度の電話嫌いだと伝えて少し理解したようだ。それでもかかってくるが 笑、私は出ない。
ランは私にとって、新しい友達だ。
うむ。面白い。
ドンはすごい。
私が最も尊敬する先輩保育士だ。
彼女の言動の全てから子供を大好きなのが、いや..、愛しているのが滲みでている。
ドンの保育はあたたかくて、優しくて、みんなを包み込んで、まるで太陽みたいに眩しい。
私も子供が好きだが、ドンを見てると、"私なんぞ...."と思えてしまう。
*しかし比較する必要はないぞ、と自分に伝える。
そんなドンは、つまりは彼女の人間性自体が太陽みたいなのだ。ドンの太陽は誰に対してもサンサンと、ポカポカと照らされる。だから園児達も、園児の親達も、ボス園長も、保育士達も、みんなみんなみんなドンが大好きだ。
明るくて、面白くて、ノリが良くて、オープンで、ユーモアがあって。ドンがその場にいると、場がパァァァァッと明るくなる、笑いが多くなる、みんなが笑顔になる。
私は、自分の人生でここまで太陽な人に出逢ったことがなかった。
ドンは時に厳しくもあり、ダメなことはダメだと相手が誰であろうとハッキリ伝える。納得のいく理由も伝える。その後のフォローもめちゃくちゃ上手い。褒めたり、ハグをしたり、何か笑いを誘ったり、とにかく雰囲気を悪くしない。
人間がどうしたらこんなにも素敵な人間性を持てるのか、、とつくづく思う。
ある日、ドンが言ってくれた。
"私達みんなはここで多くの時間を一緒に過ごしている。家族みたいなものだから、誰かがここで不満を抱いているのが私は嫌なの。だから、もしジャパ子が何か思うことがあったらいつでも私に言って。待ったり、躊躇ったりしないで。私はここにいるから。私はあなたを信頼しているよ。"
ドンはこんなことを真剣な眼差しに、笑顔とハグを添えて言ってくれる。
泣けるっつーの..。
ドンは園児の親達にも言いたいことを言う。時には、親のリクエストに逆らうことでもだ。園児達一人一人のことを本当に真剣に思っているからこそである。
園ではこういう服は危険だ、今のこの子にはこういう靴の方がいいだろう、この子はもっと体を動かせた方がいい、寝させ方をこうしてみた方がいいと思う、こういうことを家でもトライしてみて、この子はこういうことが好きだから、、、、等々。
この国では何でもハッキリ言う文化があるとは言え、ドンのこれはそれとはまた違う。他のベテラン保育士でもドンほど言う人は見たことがない。ドンはそれほど各園児にとって、今のその子にとって何がより良いかが見えているのだと思う。たまに、親との保育方針のズレから、親も素直に聞き入れない時ももちろんあるが、そこでやはり凄いのがドンなのだ。絶対に互いに笑顔で終わる。ドンがいかに園で子供達をよく見ており、いかに愛を持ってその提案をしているかが、最終的に親にも伝わるからだ。
マジで、すごい。
言うまでもなく、親達からドンへの信頼は絶大だ。
園児達からも。ボス園長からも。他の保育士達からも。
と言っても。ドンも事によっては結構テキト〜でユルかったりもする。それがまた良くて、みんなを窮屈にしない。ゆとりを与えるのだ。
ドンは間違いなく、稀に見る素晴らしい人だ。そして、ドンが本当に素晴らしい理由は、それほど素晴らしい人なのに、自惚れや嫌味が一切ないだけでなく、適度に大雑把だからだ。
人間の素晴らしさとは完璧であることじゃない、ということを体現してくれている。
いや〜、本当絶妙なバランスを持った人だわ。
心から出逢えてよかったと思う人。
ありがとう。
人間は、面白い。



