カレはいつでも私を威圧していた訳じゃない。



何でもない日には

私がカレの行動において注意することがあっても

カレはすんなり聞き入れていた。



でも


聞いていただけであって

何も変わる事はなかった。



理不尽な威圧で私にアザをつけた後は

そのアザを見ては反省し、多少落ち込み

ふとした時に私が痛い顔をすると

気を使ってくれる事はあった。



それでも最後は

お前が俺の愛を受け止めないからだと

全ては私のせいだと言ってのけた。




現に、

気を失って、気づいた私は

部屋のベットの上で

なんとも言えない脱力感で動けないでいると


倒れた私をここまで運んで来るのが

どれだけ大変だったかを訴え

俺はそこまでお前の為にしているんだと

過呼吸になる原因を作ったのは自分のくせに

私が過呼吸になった事が悪いと言わんばかりに

話をすり替え


それすらも甘えているからだと言ってのけた。




元々私は体が丈夫ではなかった。



今までに何度入院しただろうか。

例えば風邪一つでも

私がひくと、入院にいたるまで

悪化することが多かった。


普段そんなに風邪を引いたりしないくせに

何か病気が発生すると

必ずと言って良いほど

入院する羽目になるぐらい

私の体は丈夫なのか弱いのか

自分でもわからない程だった。


それは、カレにも話してあった。

だからこそ

カレは人一倍私の為に何かをしてあげたい。

私を管理して、無理をさせないようにしよう。


そう思っていたのかもしれない。・・・最初の頃は・・・



しかし

このぐらいからだろうか・・・

私が体調の不調を訴えると

カレも体調の不調を訴え始めた。



仕事が大事な私は

自分の体調不良ぐらいでは

休む事など考えた事がなかった。



たとえ、高熱があろうとも

薬で熱を下げ

仕事中に熱が上がって来たら

また薬で熱を下げる


そこまでして、自分のお店には

責任を持ってやっていた。




最近の私はずっと微熱続きだった。



でも、それすらも

それが平熱なんだと言い聞かせて働いていた。



だが、カレは俺も具合が悪いのだから休めと言う。



私は、自分のお店に責任があるから休まない。

あなたは、今日は休んでていいよと言うと



じゃあ、俺が仕事してきてやるから

お前は休めと・・・・





それじゃ、全然意味がない。




彼なりの私への愛だったのだろうけど




そこに私の意見を通そうとすると

カレは威圧で私を押さえつける手段に出る。



お店だけは、私が経営者なのだから

あなたが口を出さないで。といって

そこまで強制はされなかったが



日々増えていく彼の矛盾・・・



押さえつけられる恐怖。

アザが残るほどの痛み。


それを思い出すと手が震える。

呼吸が乱れだす。





次の日、目が覚めると

私の体はあちこち腫れていた。


前回なにかがあったと思うと書いたのは

次の日に気づいたから。



あの一連の出来事だけならば

そんなにあちこちにアザなんてないだろう。





顔なんて、押さえつけられていたため

明らかにうっ血して膨らんでいた。



口の中も微かに血の味が残っていた。




こんなんじゃ会社に行けない。




押さえられた両頬が痛くて口も開けられない。

顔も左右対称じゃなくなってる。


さすがにそれを見た彼は

私に「今日は仕事休もうね」と言った。



こんな風にしたのは彼なのに・・・



会社を休んだ私に

カレは顔の腫れを取る為に

一生懸命冷やしてくれる。

何度も氷を取り替えて・・・・



この顔の腫れがなかなか引かず

私は3日会社を休んだ。



まだ、顔のあちこちにアザが残る私は

ちょっと、階段から落ちちゃいまして・・・

なんて、会社の人にベタなウソまで付いた。




カレを受け入れてあげたい自分と

カレの矛盾に対応していく自分。



この時点で

矛盾に対応する事の方が先決していて

一日中カレの行動におびえていた。



そのうち、少しの彼の異変で

私に過呼吸が出始めた。




吸っても吸っても空気が足りない。



指先がしびれる。




私の中の目一杯の拒絶反応。



それでカレがしている事が間違っていると

気づいてくれれば・・・



でも


カレは過呼吸の対処をしながら

そんなお前でも愛してると訴え続けた。



私の愛は伝わってる?




カレの態度は変わらなかった・・・

日々同じ流れの繰り返し



そして私は



パニックになる事が減ったが

過呼吸になる事が増え始めた。




袋を口に当てても治まらない。





ある日私は


とうとう、私は気を失った・・・







おそらく

その後もしばらく何かがあったとは思う。



記憶にある言葉は


「その目をやめろ!」

「あいつと同じ目をするな・・・」



だったような気がする。






手を離した彼は、落ち着いたかのように

何事もなかったかのように

自然に振舞いだす。




「お風呂入ろ?」




もちろん拒否なんて出来ない。

寝不足だからなんて通じない。



だって

カレが愛する私の為にしてくれる事なのだから・・・



その時点ですでに深夜4時近くになっていた。

それからのお風呂

カレだって眠いはず。



湯船につかって、限界の体力で眠ってしまう・・・



何分寝ていたのだろう。

カレも一緒に寝ていた。

風邪を引くからと、カレを起こす。




予定通りに時間が進まなかった事に

お風呂で寝入ってしまったことに

機嫌が悪くなったカレがお風呂から出て言う。



こんな時間になったのはお前が悪い。と

だから、眠れなくても仕方がない。と






こんなお風呂の出来事は多々あった。

いつも時間が足りない私との生活

予定通りになんてなかなか行くものではない。



しかし、それを攻め立てるカレに

逆らっても、従っても寝不足には変わりない。

下手したら、寝ないで仕事なんて事もあった。



カレは子供と一緒で

試しているんだと思っていた。


どこまで受け入れて貰えるのかを・・・・


それで愛情を量ろうとしているんだと・・・