いつの間にか、カレに飲み込まれていた。



今思えば

当時、自分が思っていたより

カレの空間に私は入り混んでいた。


カレの望むように動く私をみて

喜ぶカレを見るのは私も嬉しかった。

カレの異常すぎる愛に

少なからず、私も居心地がいい部分があったのだ。



その結果。

カレと過ごした時間の間に

俺がいなくちゃ、お前は駄目なんだと

いつのまにか植えつけられていた



だから

ワタシは怒る彼をみて

私が駄目なんだと思い込んでいった




しかし、そんな自分もいやだった




ワタシはそんなんじゃない。とも思っていた




そこから逃げたい自分がいた

でも

私が訴えている愛の形を通すのであれば

壊れている彼に

私が向き合って行かなければいけないのでは?

とも、まだ思っていた




大きな間違いだった





カレの狂気には

ワタシは勝てなかった



私の中にギリギリいた

本当のワタシと

カレに洗脳されている私に



本当のワタシが出ないように

私だけの時間を与えないカレ




頭で考えてたわけじゃない



本能的なものだろう

狂気的なものだろう



そこにはまったワタシは

もう逃げるすべはなかった・・・





いつかのニュースであった

元カレが自宅まで押しかけて来て

彼女の母親を殺害し、彼女を連れて逃げるという事件。


彼女は母親を殺されている。

その前にも暴力で彼から逃げている。


なのに、見つかった場所では

彼女はその彼と普通に行動していた・・・・・と


まるで普通のカップルのように見えた・・・と


そんな状況に陥っているのに

なぜ彼女は逃げなかったのでしょう?

なぜ彼女は隙を見て警察に駆け込まなかったのでしょう?

とアナウンサーが言っていた。


狂気の世界に飲み込まれている人は

なんども逃げ出そうと試みて

それでも駄目だと思い知らされているのだ。


その度に、絶望へと追いやられているのだ。


それを経験した人にしかわからないだろうが

逃げるなんて考えられないのだ。


カレに逆らって、こんな目にあっているのだから

逆らわずに居た方がいいんだと

ましてや、唯一助けてくれた人がいて

ようやく逃げられたと安心した先に

待ち受けていたカレの執着・・・更なる絶望。

諦めに変わる・・・・相手の望むように・・・・


だから逃げるすべなどなかったのだろう。

私には彼女の気持ちがよくわかる。



そのニュースと同じ見方で見てみれば

私の場合も同じようなものだ。

きっと、カレも・・・・・

限界に来ていたのだろう。

いろんな意味で・・・



どんなに話し合っても

どんなに向かい合っても

カレには認められなかった。


カレの向いている方向と

私の向いている方向は全く別だった。


向かい合っていると思っているのは

私だけだった・・・・・・



それが価値観の違いなのだろう。




カレにはその

価値観の違いすら認められなかったのだろう。





そして事件は起こった・・・・・






今思い出そうとしても

記憶はあいまいなところは多い。

起きた事件の文章を読んでみても

ん?って思う所があるから・・・




お前だけが壊れているんじゃないと言われて



やっぱり一緒にいるのはやめるべきだと思った。

それをカレにもわかってもらおうと思った。




まだかろうじて、私の中には

こんなのは私じゃないという自分と

カレに洗脳されている自分が二人いた。



こんなんじゃいけないと考えると

私はカレと別れるべきだと思ってもいた。



しかし、この状況まで行ってしまうと

別れ話をすることすら

簡単には出来る状態ではなかった。



カレは本能的なのか

私の中の二人の人格に気づいていたのだろう。



だからなおさら

私の時間を与えなくした。

私が別れを考えないように・・・


もしかしたら

カレの中にも二人いたのかもしれない

これじゃいけないと思う自分と

抑えられない自分。





カレの発言には矛盾がたくさんあった。



自分が聞いてない話は全てウソとみなされた。

そこにどんな意図があろうと聞きもしなかった。

そして、勝手に私への信用を無くして行った。



私はいつも、本当の事しか言っていないのに。





疲れているであろう彼を

そっとしておいてあげる事すらも

俺の予定をお前が壊したと言った。



私が疲れて眠りに就く事すらも

カレが考えた

私を癒してあげようとする予定が崩れたと批判した。



その癒し方法も

深夜に帰宅してからの入浴がほぼだったが

私は入浴は次の日の夕方にしたかった。



なぜなら、仕事に支障をきたさない時間を考えると

それが一番私にも楽だったし、有効だったから。



なのにカレは毎晩

家に帰ると浴槽にお湯を溜め始めた。


だが、私もカレも限界すぎて

その間に寝入ってしまう事があった。



そうすると、深夜何時であろうが

カレが目覚めたとたんに私を起こし

お湯が冷めた事と、カレを起こさなかった事

私が一緒に寝てしまった事を責め始める。


じゃあ、今から入ろうと言うと

カレは今からじゃ無駄だと、更に怒り出す。



だったら、私を今起こす必要はない。

そのまま寝てしまえばいい。

なのにカレは、お前の為の行いを・・・

とまた責め始める。




同じミスを繰り返したくない私は

入浴の為に、横になることをやめた。


座っていれば、眠気を少しでも取り除けるから。


しかし、座っていても

無意識に寝てしまっている事があった。

それぐらい、私には毎日が限界だった。



今度はそれを責め始める。

寝るなら布団で寝ろと・・・・・





布団で寝ろと怒る

しかし

寝たら寝たで怒られる



統一性のない矛盾だらけ・・・・・



それを私はいつも正当理論で返していた。

あなたの愛はありがたいけど

私には私のあなたへの愛もあるのだと。



・・・・しかし

私の話を認めてしまうと

カレの愛が違った物になってしまう。

自分の愛が愛じゃないと認めてしまう。

自分の愛が矛盾してると・・・・・・


認めたくなかったのだろう。


カレはそれでも私を侵食していく事を選んだ・・・