呆然としたまま

とりあえず会社にもどったが



運良く?社員は全員外回りで

社内には誰もいなかった。


従業員に見られても

説明なんて出来る状態ではなかったから・・・

見た目でも、精神的にも・・・


普段から社員は外回りで

社内にいない事が殆どだったので

それに賭けてみた。


今は行くところがないのだから・・・・・



自分の席に座って

こんなことが起きる前の状況を思い浮かべると



怖さと絶望で涙が止まらなかった。





この後どうしたらいいのだろう・・・





自分ではもう何も考えられなかった。


誰かに助けてもらいたかった。


そして


震える指で、友達に電話した。


なんとなくいつも私を気遣ってくれる

そんなお友達だった。


私の異変にも気づいていたらしい

でも、私から何も言ってこないので

何も言えずにいたのだと言われた。


「なんでこんな事になる前に・・・・」


とは言われたが

そんな事はもう、どうでもよかった。



一通りの事情を説明したあと

お友達は、うちに逃げておいでと言ってくれた。


なんなら、カレを呼んで

ちゃんと話し合おうと言い出した。



違う。


話し合いなんてしたくない。

話なんて何も通じない

だから私は殺されかかったのに・・・

あの正気じゃない顔が忘れられない・・・・

もう。カレの顔を見るのすら怖い・・・




カレに会うのはイヤだと私が言うと



じゃあ、どうするの?

カレは家にいるんでしょ?

別れるにしても

出てってもらうにしても

ちゃんと話さなくちゃ

どーすることも出来ないよ?と言われた。



私の求めているのは

カレと話合う以前の問題で

でも、警察はあんな対応だったし

誰かに助言をもらえれば

なにか出来るんじゃないかと思ったのに

やっぱり

友達もカレから逃げる以外の方法は

出てくる事はなかった。


それよりも

カレに会わせようと考える友達に

私の恐怖が伝わっていないんだと思うと

この人に頼ってはいけないと

私の頭が反応していた・・・・



とりあえず、仕事が終わったら

もう一度連絡するといって

お友達との電話を切った。




切ったあと考えた。




震える体、あちこちの体の痛み

まだ鮮明に残る喉の違和感



私はどうしたいの?

どうしたらカレはいなくなってくれるの?



カレへはもう恐怖心しかなかった。



ここまで行ってしまって

カレだけいなくなって

いつもの日常が戻って来るとも思えなかった。


家にはカレがいて

お店にもカレは来るだろうし

逃げても一時的なもので

会社の場所すらわかっている・・・

あれだけいつも私と一緒に行動していたのだから

カレが知らない場所なんて無い。



考えても考えても

私には解決策なんて出てこなかった。


警察署に着いて車を降りると

その人は、玄関で待っていてくれた



知っている顔を見たとたん

また涙が止まらなくなり

ゆっくりなだめられながら

起きた状況を説明すると



そのまま

相談所のような所へ通された



部屋へ通されて

知り合いの警察の方は

私にそっとお茶を差し出して



「ちょっとまっててね」

と担当部署へ戻っていった。


しばらくして

担当者のような人が出てきて

名前や住所などを聞かれ

散々状況を説明させられた後


あなたの事情も色々あるでしょう・・・

それを踏まえたうえで

カレを訴えるか

本当にカレは家を出るのか

出る可能性はどのぐらいなのか

カレの行く場所はあるのか

もしカレが出て行かなかったとしたら

私に逃げる場所はあるのか


そして

最悪の場合として

DVのシェルターを紹介された・・・



私の頭の中は

コレだけのはっきりした傷あとや

首に残る絞められた跡があるのだし

目撃者だっているのだから

すぐにでも傷害で捕まえてもらえると思っていた。



なのに

警察はこれといって何かをしてくれるわけじゃなく

私が逃げる道を勧めた。



DVをされている人をかくまってくれる所

シェルターと呼ばれているが

そこに入ってしまえば

自由に外には出られない。

外部とも連絡は取れなくなる。

そうゆう決まりなのだ。



それを説明されたとき

私は、会社やらお店が頭に浮かんで


私の出来事で、他の人に迷惑をかけるわけにはいかない。


そう考えると


「とりあえず、考えてもう一度来ます。」


と、なぜかそう言っていた・・・




こんなに怖い目に合わされたのに

あんなに、何事も無いかのように

あっさりと説明されただけで終了?



こんなに目に見える証拠があるのに

事件とはみなされないって事?



これぐらい、たいした事ないって事?



よくある痴話げんかなの?


首を絞められるのってよくある事なの?






だから?




・・・・もう私には何も考える気力がなかった。




家に引きずり込まれ

鍵を閉められた後



私にはもう抵抗する気力も残っていなかった。

カレはもう正気には戻らないだろうと感じた。



部屋のベットに押し倒され


「お前のせいで他の人に迷惑をかけただろっ!!」


と、頭やら腕やら足やらを殴られた


その時間がしばらく続いて

家の窓からパトカーの赤いランプが

クルクルと回ってる事に気づき

家の戸をノックする音が聞こえたが

もちろん、出て行く事など不可能で

声が出ないように口を押さえられ

警察がいなくなるのを確認して

私の口から手が離れた時



これが現実なのだとしたら

もうどうにでもなればいいと思った・・・






ところが

最初家に戻った時に

ホントに具合が悪くて彼が寝てたのかは

今となってはわからないけど

突然カレが、苦しみだした。


具合が悪いのが悪化したのか

バチがあたったのか

なにがどうなっているのかわからないけれど

カレが動けない状態なのはわかった。



苦しみだして動けなくなった彼を

おいて逃げる事しか私にはもう

助かる手段はないだろうと思った。


とりあえず

車の鍵とカバンだけを持って

家を出ようとしたが

苦しんでいる彼が気になっている自分もいた。


「大丈夫?・・・・・」


震える声で様子を伺うと

カレは、苦しそうにうずくまりながら


「行くなら行け・・・・

 おちついたら・・俺は・・・

 もうここから出て行くから・・・」


そう言われて

何も考えられずそのまま家を出た。



とりあえず会社に向かおうとしたが



手も足も震えが止まらず

まともに運転も出来ず



カレからは逃げられたが

喉は痛い

腕やら足やらも痛い

ストッキングは伝線していて

バックミラーで首を見て

首にくっきり残る手の跡を見た時に

これは現実なんだ・・・・と感じた。




声も出ず、ただ涙だけが流れた・・・




現実に起こった出来事と

リアルに残る傷跡に

このまま会社に戻るわけにも行かず

かといって

カレがいる家にも戻ることなんて出来るわけもなく

それに

今までのカレの行動を考えると

出て行くと言ったからといって

本当に出て行くなんて思えなかった。



・・・でも今回ばかりは

本当に出て行ってくれるかもしれない。



どっちなんだろう・・・・

どうしたらいいんだろう・・・






そんな時、ふと

私のお店の常連さんで

警察の方々がたくさんいたのを思い出し

電話をかけた・・・・



しかし



ついさっき起きた状況なのに

ドラマのような現実の話を

うまくなんて説明できず



ただ、殺されそうになったの

首を絞められたの・・・と



泣きながら訴える私に

とりあえず、ここにおいでと言われ

中央署まで車を走らせた。