センターの人たちは

決して強制はしなかった。

いつも、どうする?

やめるなら無理しなくてもいいよ?

といった感じだった。



そのかわり

やります。と言えば

動きは迅速だった。



私はまず、保護命令を取るための

行動を起こさなくてはならなかった。


全ての傷、アザを写真に残した。


一日経っていたので

記憶にないアザが増えていたが

全てを一枚ずつわかりやすく写した。


次は警察署へ行き

生活安全課でおきた出来事を訴える。



昨日も来た警察署



今日で3回目の同じ話。



更に、傷害で訴える為

生活安全課のあとは刑事課へ



そして、4回目の話。



女性刑事さん二人に

小部屋へ連れていかれて

同じように証拠の写真撮り



なぜ、昨日来ていて

2回も同じ話をしているのに

また同じ話をしなければならないのか




警察の部署は全く縦の繋がりが無いようだった。



警察での話が終わった後は

そのまま病院へ



怪我の状態をちゃんと見てもらい

裁判所と傷害で訴えるために

診断書をもらわなければならなかった。



病院では、なるべく迅速に見てもらえた。

事情が事情だからだろうけど

何枚もレントゲンを撮られ

先生の診断を仰ぐとき



先生も首に残る跡をみて



「あ~・・・大変だったね・・・・」と



口にするぐらいだった。



その後ろでは、

2人の看護士さんが

診断されている私の傷やら

アザやらを見るたびに

顔を歪めていた・・・・



私はそれを見て

なんともいえない気持ちになった。




診察も終わり

診断書と、薬を出してもらい

その日はそのままシェルターへと連れていかれた。



私は、センターの女性の言われるままに

動いていただけで

頭の中はまだ真っ白だった。



女性センターの事務所内には

女性が何人かいた。



私は、奥の部屋へ通され

また一からここまで来るまでの流れを説明した



私を迎えてくれた女性は

書類のような物に

一言一句もらさないように

私に質問をしながら書きとめていた。




どのぐらい時間がかかったのだろう。



話終わって、まだ震えている私に

その女性は現状を教えてくれた。



そこまでする人は

きっと、どこまでも追いかける。


そして、また脅したり


お前がいないと駄目なんだと

泣きついてきたり

俺が悪かったと謝ってきたりして

戻る女性が大半。



そうなっても結局ここに戻ってくる人ばかり。



あなたの場合、結婚していたわけじゃないけど

一緒に住んでいたのなら

内縁の夫という事で裁判にもかけられるし

警察に訴えることも出来る。


そこまで一緒に行動していた人なら

きっと、会社にも張り込んでいるだろうし

お店にも見張りに来るだろう。


それをどうにかするには

法的手続きを取るしかない。・・・と




・・・・結局




カレだけがいない状態に戻る事なんて出来ない。




そう言われたのだった。





そうなると、流れとしては


カレを私に近づけないようにするために

まず保護命令を取る。


保護命令がおりれば

強制的に家から退去してもらう事も出来るし

半年間はカレが近づけない。


そうなったら、会社にもお店にもいける。



しかし



保護命令は書類を書いたり

証拠を集めたりして

裁判所に届け出なければならない。


そして、届け出た後

裁判所でお互いが審尋をうけ

その結果で保護命令が下るとの事。


そうなると

それまでの間は

やっぱり、私は家には帰れないし

会社にもお店にもいけない。


結局、私は

その女性センターのシェルターに

かくまってもらう事しかなかった。


いろいろ手続きをするためにも

私が違う場所にいるよりも

シェルターに入る方が

不安度が違うだろう。



私も、現状をはっきりと告げられ

そうするしか方法は無いと実感した。




なぜならば

そこで話をしている間も

音は鳴らないようにしていたが



私の携帯はずっと光っていたから・・・・





その日から

私はシェルター暮らしが始まった・・・




結局

一人ではどうしたらいいのかわからなくて

方法を教えてくれるのではないかと思い



私はDVの女性センターに電話をかけた。



電話に出た女性は

私の話を理解するのに大変だっただろう



伝えたい事がありすぎて

話が飛び飛びになっていただろうから・・・



長々と状況を説明して

「どうしたらいいですか?」

と泣きながら質問をした。



女性は

「とりあえず、一応その荷物を全部持って

 うちの事務所に来なさい。

 それから、一緒に考えていこう。」




そう言われて

事務所の住所を聞いて

私はA君に置手紙を残し

タクシーでそこへ向かった。




DVの女性センターは

電話番号は公開しているが

詳しい住所までは公開していない。



逃げてくる人の場所には

追って来る人もいるわけだから。



だから、場所はばれないように

徹底しているようだった。



タクシーもその付近で降りて

教えられた目印の場所まで歩いて向かい

インターホンを押して

先ほど電話した者ですが・・・と名前を告げた。



事務所内に入れられて

私のあちこちの傷やアザをみて



「怖かったねー。大変だったねー。

 もう大丈夫だからね。」



そう言われて

私はボロボロと泣いてしまった。



愛だと思って立ち向かっていた自分が

愛する人から殺されるなんて誰が想像できるだろう。


自分でも理解出来ない現実が

ここに来て

似たような境遇の人たちをたくさん見て来て

私よりもこの現実を理解している人がいる事に

やっぱり、私とカレとの日常が

狂気的なものだったんだと・・・・

私の考えが間違っていたわけじゃないんだと

カレから逃れられる道を見つけられたんだと

この恐怖を理解してくれる人がいたんだと

人事じゃなく、心からわかってもらえたと

ようやく安心することが出来た。




そして

何件もいろいろな人たちの対応して来ていただけあって

その事務所に行ってからは

バタバタと話は進んでいった。



やっぱり、私一人では

どうする事も出来ない所まで来ていたんだと

改めて思わされる事ばかりだった。