自体は思っていたよりも

簡単な事ではなかった・・・・



自営の方もそうだった。

大家さんやら、酒屋さん

取引のある業者さんにも連絡をとったが


よく考えると

会社が言っていたように

乗り込んで来ないとは言い切れない

それに

いつ再開できるかわからないお店に

お客さんが離れていく事は明らかだった。


まさかお客様全員に

私の事情を話すなんて事も

出来るわけもないし、したくもなかった。



とりあえず

仕事関係やら

連絡を取っておかなければならない人には

全て連絡をした。


一人一人に事情を一から説明していると

時間もかかるので

手短に話して、落ち着いたら連絡をする。と

それしか言えなかった。



お友達には連絡をしなかった。



どこでカレと繋がっているかも

もう、私にはわからなかったから・・・・

誰も信用出来なくなっていた。


書類もまとめなければいけない。

会社やらなにやらの電話もしなければいけない。




それだけで、一日は終わっていった。



やることがありすぎて

それをひとつずつ片付けていくことに必死で

体の違和感はまだあったが

不思議と頭だけは、はっきりとしていた・・・・



シェルターに戻ると

Kさんが書類の書き方などを教えてくれた。

どう書いていいのかわからない私に

自分の書類を見せてくれて

お互い大変だったねと改めて慰めあった。




その書類を書くのに

日時をはっきりさせる為に

預けていた携帯を貸してもらった。



充電は切れていた。



充電器をさして電源をいれると

またすごい数の着信とメールがあった・・・



きっと、充電がなくなるまで

鳴らし続けていたのだろう・・・・



カレ以外からもメールは入っていたし

元彼のA君には置手紙一つで

それ以来連絡が取れない状態だったし

とりあえず、カレ以外のメールから開いてみた。


やっぱり友達は


<どこにいるの?>

<喧嘩したんだって?>


というような、探る内容ばかりだった。



それには返信しなかった。



A君からもメールは入っていた

<ごめん。

 俺自分の事しか考えてなかったね
 
 一人にしちゃって、ごめんね。

 大丈夫?今どこにいるの?>



私は、このメールで少しだけホッとした。



どこにいるのかは言えないけれど

シェルターに入った事と

それなりの手続きを取ること

そして、しばらく連絡が取れなくなることを

返信しておいた。



そして、カレからのメール・・・



何通も来ているメール


相変わらず



愛してる

俺が悪かった


それから


脅す内容

自分が死ぬという内容



そのメールも全て写真に収めた。


証拠になりうるものは

全て残しておいて

書類と一緒に提出する方が

信憑性が増すから。・・・と。



書類を書く他にも

なにやら

やらなければいけないことは

たくさんあった。



まず

会社に電話をしなければならなかった。



無断欠勤していたし

保護命令がおりるまで

むやみに外は歩けない。

会社もばれている為

しばらく会社を休まなくてはいけない。



しばらくと言っても

はっきりと日にちが決まっているわけではない。



会社側もそんな状態で

休み続ける事を了承してもらえるかもわからない。


そのためには

ウソをつくわけにはいかなかった。


なので、全てを話した。




私の会社は、大手の商社だった。

名前を出したら知らない人はいないような。



私はそこで事務員をしていた。

もちろん、自営をしていることは隠していた。



ばれたら許される問題ではない。



それこそ

今回の事件ですら

外に漏れる事を一番嫌うだろう会社だった。


私の上司は、理解してくれたが

会社側は、明らかに敬遠していた。


会社に押しかけてこられたら

それこそ一大事になってしまう事は

私も理解していた。



ニュースにもなりかねない。



それを考えると、会社は辞めざるを得なかった・・・



自分がして来た事の結果なのだ

これは仕方がない事だった。



とりあえず

次の事務員が見つかるまでは

休暇扱いという事にしてもらい。


退職届やセキュリティーの鍵やら

私用の物は後日という話になった。



私は情けなくて仕方がなかった。



自分が選んできた結果がこれなのだと考えると

自分が嫌でしょうがなかった。



シェルターに入るには条件がある。

携帯電話は事務所に預ける事。

外に出る時は、事務所だけに繋がる電話で

出る時と帰った時に電話する事。

シェルターの場所を他人に知らせない事。

その他にも決まり事はあったが

大体はこんな感じだった。



私が入ったシェルターは

もう既に一人入っていた。



連れて行かれて、部屋に入ると

その人が事務所の人と話をしていた。

そして

これからしばらく一緒に生活する人だと紹介された。



彼女は旦那の所から逃げてきて

ここには何週間か前に来たらしく

私を暖かく迎え入れてくれた。



部屋にいても小さくなって

ずっとブルブル震えてて

顔色は悪いし、あちこち傷だらけだし

この人、大丈夫かなぁーと思ったと

後になって教えてくれた。





そう思われていたらしいが

私には何をどうしていたのか記憶はない。


ただ



やっと一日が終わった・・・



やっと誰にも迷惑をかけなくて済む・・・




これからの事を考えると

安堵と不安が入り混じっていたが

もう後戻りなんて出来なかったし

もちろんしたいとも思わなかった。



その日も

寝ていたのか起きていたのか

わからないまま朝が来ていた。


首の違和感は取れず

頭は重く

全身が痛かった


ただ、ボーっと付いていたテレビを見ていた。




共同生活をすることになった彼女は

Kさんだと、名前を教えてくれた

気を使ってくれて

シェルターでの生活の仕方や

これからするであろう

手続きの書類の話などを教えてくれた。



そんな時

事務所から電話が入った。



「手続き始めるから

 事務所に来てくださーい」と・・・





事務所に行くと

ずらっと書類の束が並んでいた。


「これに全部記入してね。

 大変だろうけど

 おきた出来事は全部思い出して。」


そう言われて書類を見てみると

そこには

何月何日何時頃こんな事をされました。

といった感じで書かなければならなかった。




この書類にはてこずった・・・・




いつから始まっていたのかなんて

記憶にないんだから・・・・



そして

自分がこう言ったからとか

自分がこうしたからとか

相手をかばうような書き方は一切しない。

完全に相手の悪いところだけを書いてと言われた。





これは、裁判官が読んで

相手がどれだけ酷い事をしたかを

わかってもらうためだから

相手をかばう必要なんていらない。

逆にかばうぐらいなら

この書類すら書く必要がないからだろうが



カレといた間

ずっと、私のせいでと言われ続けて来ていた。

どう書いても

私がこうしたから、カレはこうした。

と言う書き方になってしまい

何度も訂正させられた・・・・