次の日はそろった書類の確認をして

裁判所へ提出する予定だった。


事務所へ行き

いつもどおり預けている携帯を貸してもらい

着信、メールを確認した。


カレからの着信は減っていたが

メールの内容は相変わらずだった。



<俺が連絡つかなくなった場合は
 離婚届は○○に預けておきます。>


やら

これは策略か?と思うような


友達なのか、元嫁なのかに

送ろうとした内容のメールまで届いていた。


内容は


俺は反省している

彼女にだまされたが

それでも誰よりも愛している

彼女以外誰もいらない

子供たちには申し訳ないが

俺には大切な人なんだ


そんな内容だった。




私が?だました?・・・・・



何を言っているの?



そんな内容を元嫁に送っている癖に

私には平然と脅すメールを送るカレ



同情してもらいたくて

元嫁に送っているのを間違えたフリをして

わざと私に送りつけているのか

本気で間違えて送ってきているのか




もう、私には本当に理解不能だった。




ただひとつ確信した事は

この人は完全に狂ってる。

この先も、何をするかわからない。

これだけだった。



いくら証拠になるからと言われても

毎回届くメールの内容を見るのも

携帯の電源を入れるのも怖かった。




提出する書類を書くのは

私にとって精神的に苦痛だった。


ようやく書き上げ

そろえた書類。



その書類を持って裁判所へ

正式に保護命令の申請をした。



個室に通され

書類と証拠の写真、診断書を確認してもらい

後日審尋の日にちを連絡します。と言われ

とりあえず

保護命令に関する手続は無事終了した。


どれだけ大変な思いをしようが

こんな簡単な応対で終わってしまうのかと

正直

お役所仕事に理不尽さを感じた・・・・



事務所の人も焦っていた。

籍を入れられていたとしたら

またやることが増えるだろうし

いままでやろうとしていた事が

全く違う方向に進めなければいけなくなるから。



とりあえず

急いで市役所へ向かう事になった。



どの道

裁判所へ書類を提出する際

カレと私の住民票と戸籍謄本を

提出しなければならなかった。



籍を入れられていないと仮定して

市役所で請求をして

出してもらえなかったらアウト。

普通に出してもらえたらセーフ。



移動中の車でそんな話をして

思わず私は笑ってしまった。


自分におきている出来事だけど




なんじゃそりゃ・・・・と。



どう転んでも

今更しょうがないと思えた。




市役所では住民票も戸籍謄本も

普通に出してもらえた。



なんだったんだ・・・あのメールは・・・・



そう思いとりあえずホッとしたのだが

事務所の人の言葉で凍りついた。



もしかしたら

カレは結婚していると錯覚しているのかもしれない。


・・・・・と。



勝手に籍を入れられていたとしたら

確信的な犯行と思えるが

結婚していると思い込んでいるとしたら

明らかに普通ではない


そっちの方がよっぽどヤバイんじゃないか

それとも

ただの脅しで、私が会いに来るとでも考えたか


いや。

普通の状態なら

そんなみえみえの脅しはしないだろうと



私はその言葉を冷静に考えていた・・・・・




シェルターの生活は自由だった。


事務所が始まる時間から終わる時間までは

それぞれ逃げて来た人が事務所に呼ばれ

やらなければいけない事をする。



私が毎日事務所に呼ばれ

いろいろな手続きに追われている間も

何人もの人が事務所に来ていた。



こんなにも逃げている人がいるのかと思うと

世の中の男の人は何を考えているのだろうと

信じられなかった。



事務所に呼ばれない人は

シェルターで何をしていてもよかった。

買い物も出歩いてよかった。



私は、怖くて外に出られなかったから

事務所に行った時にお願いして

買い物に連れて行ってもらったりしていたが


ここまでしてくれるのは

私が逃げた女性センターぐらいらしく

わざわざ遠い県から駆け込む人もいたらしい。





私はほぼ毎日事務所に呼ばれていた。


カレの執着心が幸いしたと言っていいのか

私を管理しようとしていただけあって

カレからのメールの履歴をたどっていけば

いつどんな出来事が起きたかは

大体の流れをつかむ事が出来た。



時系列に出来事を書く為に

毎日事務所で預けた携帯を貸してもらい

電源をいれる度に

カレからの着信とメールは続いていた。



友達からも

私が消えたとうわさになってるとメールが来ていた。



全てのメールが証拠になるため

カレから届いたメールは毎回

センターの人が写真に残していた。



シェルターに入ってから

何日目の出来事だっただろう。




その日のカレからのメールの内容に

私はびっくりした。







<離婚届は取りに来てください。>






何を言っているのか訳がわからず

事務所の人にも見てもらった。



事務所の人は


「えっ!?結婚してたの?」


と驚かれるし


私は私で


「えっ!?いつの間に結婚したの?!」


と動揺して

また体が勝手に震えだした。



わけがわからなかった。



結婚なんてした記憶はない。

婚姻届すらも書いた記憶はない。



・・・・もしかして、籍を入れられた?・・・・・