当院を受診されたPATMの患者さんたち

4−5年前くらいから、当院には普通ではあまり理解できない症状の患者さんが受診されるようになりました。  

これはPATMと言われる病態で、その人がいると周りの人が咳き込んだりくしゃみをし始めたりするというものです。      

それ以後、のべ1000人以上のPATMの患者さんを診察してきました。 

現在では、体に「原因物質」が蓄積し、それをきちんと解毒できないことで、皮膚表面からその原因物質が溢れ出て起こることがPATMの原因ではないかと考えています。   

まだ、PATMの原因物質が解明されたわけではありませんが、有力なヒントとなる検査に「皮膚ガステスト」があります。その検査結果を示します。これは、PATMの方の皮膚表面から出ている化学物質をガスクロマトグラフ質量分析法で解析したものです。

 

私たちの体の中には様々な汚染物質が溜まっているのかもしれない。

私は化学の専門家ではありませんが、一目見ていただいてわかるように、通常ではありえないような有機化学物質が皮膚から排出されていることがわかります。調べてみると、あるものは添加物や香料として食物に含まれているようです。また、あるものは化粧品などに含まれている成分もあるようです。その中のいくつかの化学物質には刺激性があると言われており、おそらくそれが原因で周りの人が反応しているのだと思います。

では、どうしてこのような化学物質が人の皮膚の表面から出るのでしょうか?いうまでもなく、体外からこのような有機化学物質が入り込んでいるからに他なりません。

普通であれば、これらの化学物質を解毒することができるので、皮膚から排出されることはないのでしょう。それが、解毒機能が低下することで、許容量以上の物質が体内に蓄積し、それがコップから水があふれるように、皮膚表面から排出されるようになるのがPATMではないかと考えています。  

PATMの病態については、まだまだ不明のことが多く、たくさんの研究者によって究明されなければいけないと思います。有機化学の専門の方がおられたら、皮膚ガステストの結果をどのように解釈するべきかをぜひ教えていただきたいと思います。   

ただ、最近私はこのように感じるのです。  

もし、PATMが汚染された地球環境から体内に入ってきた有機化学物質が原因で起こっているとすれば、PATMを発症している人にだけ、これらの物質が入り込んでいるとは考えにくい。  

ひょっとしたらPATMは、予想以上に汚染された地球からの我々人類に対する『警告』ではないだろうか、と。