起立性調節障害の現状

当院には、小学校から中学生、高校生の方で、慢性疲労症状や頭痛、吐き気、めまいなどの症状で学校に行きたくてもいけない子供たちが多数受診されています。

症状が現れ始めた当初は、単なる「サボリ病」ではないかと勘違いされ、両親や学校の先生にも理解してもらえず、一人で悩んでいる子供達も多くいます。ご両親も流石にこれはおかしいと思い、病院を受診しても、専門医でない場合は、「検査をしても異常はないのでしばらく様子を見ましょう。」と言われたり、たとえ正しく「起立性調節障害」と診断されても、「若い子供がなる病気で、一時的に自律神経が乱れているだけだから、様子を見ていれば治る。」と言われることが実に多いのが実情なのです。中には、そう言われて10年たっても慢性疲労の症状が続き、まともな社会生活ができない子供たちもいます。

「起立性調節障害」の専門病院と言われるところもない訳ではありませんが、体の姿勢によって血圧や脈拍がどうなるかを調べる検査を受けて診断や病型分類はされても、いざ治療となると一時的に血圧を上げるような薬(メトリジン、リズミックなど)や漢方薬を処方されるだけで、根本的治療からは程遠いと言わざるを得ません。

 

起立性調節障害の根本治療

以前にもブログで書きましたが、当院を受診されている起立性調節障害の子供たちを80名の検討をしたところ、約8割の患者さんが中等度以上の「副腎疲労」がありました。さらに、副腎疲労をきたす病態を色々と調べたところ、腸内環境が悪化した結果起こってくる「リーキーガット症候群」や「腸管カンジダ症」、あるいは「重金属の体内の蓄積」が認められることが多いのです。

さらに、「絶対に100%治る」とは言えませんが、これらの病態を改善する治療を行うことにより、かなりの患者さんで何年来改善しなかった「起立性調節障害の症状」が改善してきます。

まだまだ、起立性調節障害が起こる病態については、専門的な研究が行われなければいけませんが、これまでとは違った観点からこの疾患を見ることがとても大切だと思っています。

小児科の先生、あるいは起立性調節障害の患児を見る機会のある先生にこそ、是非ともこの事実を知っていただきたいと思います。

参照ブログ

起立性調節障害は副腎疲労だった(自験例の検討)

起立性調節障害における重金属の蓄積の重要性

起立性調節障害の学習障害について

さて、今日本当に書きたかったことはこれからです。

最初にも書きましたが、起立性調節障害の患者さんは最初は「サボリ病」と間違われることが多く、家族や学校の先生からも理解してもらえないことが多いです。決して、サボりたいわけではなく、学校に行って勉強をしたいのに、集中力が続かない、長時間座って机に向かうことができないため、勉強をしたくてもできない場合が多いのです。

周りから理解を得られないことに加えて、周りの友達からも勉強で取り残されるという不安感がとても強いのです。罹病期間が長くなればなるほど、人生の目標を見失ったり、自分自身の存在意義まで見失ってしまう子供もいます。心の中にぽっかりと空いた、「空虚感」を埋めるための手段としてスマホやゲームにはまってしまっている子供も多いのでなないかと思います。

唯一時間を潰すこととして、一日中横になりながら、スマホをいじったり、ゲームをしている患児もいます。

決して、そうしたいからそうしているわけではなく、何もできない空虚な時間を埋めるために、他にできることがないという場合もあります。

自宅での学習をサポートする教材

体調を改善する治療を行うことは当然ですが、体調不良のため学校に行きたくてもいけない子供たちをたくさん見るにつれて、何か他にできることがないだろうかとずっと考えていました。

そしてたまたま、自宅でスマホで無料で学習できる。「スクールTV」というシステムがあるということを知りました。ネットで色々なセミナーを開催したりすることは「ウェビナー(webinar)」を呼ばれ、これからの講演会やセミナーの主流になってくるでしょう。また、塾や予備校での講義もネットでの配信をするサイトも増えてきているようです。

「スクールTV」はまだ小学校と中学校の義務教育学習にしか対応していないようですが、これからは他にもネットで教育サポートシステムが増えてくるのではないかと思います。これからは、学校に行けない子供でも、自宅で勉強できるようなサポートシステムが充実してくる可能性が高いと思います。

本来は一番楽しいはずの青春期に自分の思うように活動できないことは、患児本人にとっても辛いことですが、それだけではなく社会にとっても大きな損失になります。全国に70万人とも100万人とも言われる「起立性調節障害」の子供たちをサポートするためのネット学習システムがますます発展してくることを願わずに入られません。

そして、今は自分のしたいことができない子供たち自身も、決して自暴自棄になるのではなく、できる範囲で、自分の生涯を取り戻し、自信と希望を取り戻すためにこのようなシステムを利用して、可能な範囲で学習して貰いたいと思います。

スクールTVについてはこちら