最近、「遅発型フードアレルギー検査」についてマスコミにも取り上げられるようになってきました。ネット上で検査を依頼することも出来るのでご自身でも申し込まれた方も多いかもしれません。

受診される方のお話を伺っていると、
「検査結果は受け取ったけれどこれどうしたらいいのかわからない」
「反応が陽性に出ている食材は食べてはいけないんですか?」
という質問を多くいただきます。

それだけならまだマシなのですが、自己流に反応の出ている食材を全て制限して、かえって体調が悪くなったとか、1年に1回検査を行って、だんだんと反応の出る食材の数が増えてきたという方もおられます。

もちろん、検査結果をもとに必要最低限の食事制限をして体調が良くなった方もおられます。しかし、一方では不自由な思いをして食事制限をしても何の効果がなかったり、かえって体調を乱される人も決して少なくないのです。

今日は、この「遅延型フードアレルギー検査」についての捉え方、解釈の仕方についてお話ししたいと思います。

遅延型フードアレルギーはどうして起こるのか

この検査の意味を知り、正しくとらえるためにはそもそもどうして「遅延型フードアレルギー」という病態が起こっているのかを正しく知っておく必要があります。

「遅延型」という意味は、免疫反応の起こり方が急激にではなくゆっくりと起こってくるということです。

普通、「食事アレルギー」というと何かを食べたすぐ後で体が痒くなったり、蕁麻疹が出たりするような状態を思い浮かべると思います。「遅延型」の反応では、半日以上から数日たった後で様々な不定愁訴が出るためなかなか因果関係がわかりにくいという特徴があります。

では、「フードアレルギー」とはそもそもどうして起こるのでしょうか。

私たちの食べたものは、胃で細かく粉砕され胃酸や消化酵素と混ぜられます。小腸に送られ、さらに膵液や胆汁と混ぜられることで、細かい分子に分解されていくのです。例えばタンパク質は蛋白質分解酵素によって、ペプチドという細かい分子を経て、アミノ酸に分解されます。アミノ酸にまで分解されたタンパク質は小腸の壁から吸収されて、私たちの体の栄養となるわけです。

通常は、タンパク質はアミノ酸にまで分解されないと小腸の壁をすり抜けることができません。

ところが、腸内環境の状態が悪くなり、小腸の粘膜に炎症が起こり粘膜が傷んで隙間ができると、まだ分解されていないタンパク質やペプチドが隙間をすり抜けて血液中にすり抜けてしまうのです。

体の側から見るとどうなる?

これを私たちの体の側から見るとどうなるでしょう。

小腸の粘膜に隙間ができて、そこから通常であれば入ってこないような大きな分子(タンパク質やペプチド)がどんどんと体の中に侵入してきます。私たちの体の側から見るとこれは「緊急事態」です。外敵が侵入してきていることになるからです。

小腸から侵入してきたタンパク質やペプチドに対して、非常事態宣言がされ「スクランブル発進」されるのです。これが「アレルギー反応」なのです。(厳密にはこれだけの機序ではありませんが、わかりやすくするために単純化してお話ししています。)

つまり、「遅延型フードアレルギー」が起こる原因とは小腸の粘膜が炎症によって損傷を受けているという前提があるわけです。この小腸の粘膜が損傷を受けた状態を「リーキーガット(腸管漏出)症候群」と言います。

次回は、このフードアレルギーを治すためにはどうすればいいのかについて書きます。

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