今年は、「暖冬』だったかなと思っていたら急に寒くなったりですね。例年よりも遅れて2月になってからインフルエンザも流行ってきました。
「インフルエンザ」というとインフルエンザウイルスが身体にはいって起こる病気であると考えられています。もちろん、それは間違いないのですが、ちょっと見方を考えてみるとこのような事も言えるのです。
例えば、同じ中学校にかかっていて、同級生の一人がインフルエンザにかかったとします。何人かの同級生がインフルエンザにかかって学級閉鎖になる事もあります。しかし、同じような状況でもインフルエンザにかかる人とかからない人とがいるのです。
普通、病院で診療をしているとインフルエンザにかかっていない人は受診しないので、このような事は考えないのですが、わたしなどはひねくれているので、「どうしてインフルエンザにかからないひとがいるのだろう?」と思ってしまいます。
ウイルスが感染して起こる病気なら、同じようにすべての同級生がウイルスに曝露されている訳ですからみんなインフルエンザにかかってもおかしくないと思いませんか?
もちろん、うがい、手洗いをしっかりしているかどうかの差もあるでしょう。しかし、他のウイルス感染を考えてみるとそうではない事が分かります。例えば肝炎ウイルスを例にとってみると、同じ肝炎ウイルスに感染していても、肝炎から肝硬変、肝臓がんを発症する人も入れば、全く肝機能に問題のない「キャリアー』と言われる人もいます。この違いは何なのでしょうか?

ウイルスに感染しているかどうかは自分では制御できない「外部要因』であるという事が出来ます。それに対して、その人の「ウイルスにかかったときの症状の出やすさ」はその人の持っている抵抗力、あるいは免疫力と言えるもので「内部要因」と考える事が出来ます。この「内部要因」こそが、私たちがいつもお話ししている「自己治癒力」なのです。

他の例で見てみるとこのブログでも何度も取り上げている「フードアレルギー」もそうでしょう。アレルギーを起こす食べ物は外部要因という事が出来ます。通常はこの外部要因だけで処理されますが、実は食べ物が悪いのではなくて腸内環境が乱れているからこのような反応を起こすのです。
先日から何度か取り上げている重金属やその他の生体異物もそうです。もちろんこういった生体異物が身体にはいらないようにする事は大切ですが、それだけではないという事ですね。
フードアレルギーにしても、生体異物にしても、またウイルスにしてもこの「外部要因』ばかりに気をとられていると、「情報ノイローゼ」と言った状態になってしまい、「恐れの感情」に支配されまます。

私は、外部要因は考慮しながらも内部要因にもっと目を向けるようにしていくのがいいのではないかと思っています。つまりは、どのような外部要因があってもそれに影響を受けない「内部環境」を作っていくという事です。
今までの医療では外部要因を排除する事以外にはあまり有効な方法を提案できていませんでしたが、これからは内部要因を整えていく医療が必要とされるのではないかと思っています。

これがすなわち「自己治癒力を高める医療」なのです。