新年あけましておめでとうございます。

去年から当院で始めている「慢性疲労外来」には、全国からたくさんの患者様が受診してくださっています。初診のときには1時間をかけて慢性疲労の原因となるストレスや背景についてもお話を伺うのですが、お話を聞いただけでもそれが「慢性疲労」の原因でしょうと分かるようなストレスフルな生活をされている方がおられます。
特に中年の男性の方のなかにはあまりにもハードなスケジュールで仕事をされており、仕事の仕方から変えないといくらあれこれとサプリメントを飲んでも意味がないのではないかと思える方もおられます。
しかも不思議な事にご本人にとってはその生活があまりにも「普通」になっており、それが慢性疲労の原因になっているとご自身で気づいておられない場合があるのです。
「今のストレスフルな生活はそのままではなかなか自己治癒力を上げる事は出来ませんよ」というお話をさせていただくのですが、では現実的な問題としてすぐに仕事の環境を変える事が出来る訳ではありません。すると、「変わりたいけれど変えれない。変えれないから良くならない。」という悪循環に陥ってしまいます。

そういう場合、「生活習慣を変えなさい」と言う事は簡単ですが、たいていの方は変えたいけれど何をどのように変えたら良いのかがわらかないのです。実は、このような生活習慣の悪循環が出来上がっている場合、そのような悪循環を生み出している「行動パターン」があります。さらにその奥にはこのような行動パターンを生み出す感情や思考の「思い癖」があるのです。
*心理学的にこのような「思い癖」は「信念体型」や「ビリーフ」と呼ばれます。

例えば、慢性疲労を起こす生活パターンを作り出す背景には、「他の人に仕事を任せられない」「すべての仕事はすべて自分一人でしなければいけない」というような行動パターンがあるかもしれません。その奥には、「他人を信用すると裏切られる」とか「いつも完璧でなければ愛される価値がない」というような思考や感情の「思い癖」がある場合があるのです。
慢性疲労の原因を根本的に改善して行くためには単純にサプリメントを飲んでいるだけではダメな場合があります。そのような生活パターンを生み出している思考や感情のパターンに気づいてそれを手放して行く事が重要なのです。



私たちは、「慢性疲労」を単に身体だけの問題として捉えるのではなくそれを生み出している心の領域に対してもサポートする事がとても重要であると思っています。それが「病気になるプロセス」の上流をしっかりとサポートするという事です。


慢性疲労外来専用のサイトを立ち上げました。外来を初めて受診する時から検査や治療の流れについてまとめています。こちらをご参照ください