前回は、「グルテンカゼインアレルギー」を例に挙げて、「外側の要因」だけでなく、「内側の要因」にも目を向ける事が大切であるということを書きました。
「あれはダメ」「これもダメ」というのではどんどんと生活が不自由になり、なんのための健康だか分らなくなってしまいます。実際に、当院を受診してくださる患者様の中にもそういうった「制限」が耐えられなくて治療を継続することが出来なかったという方がたくさんおられるのです。
外側の要因にばかり目を向けてしまうと物の見方が一面的になりバランスの持った捉え方が出来なくなってしまいます。
例えば、食の問題を考えるにしても現代社会では口から入ってくるもので安心して摂れるものが本当に少なくなっているのは事実です。
食品添加物もしかり。環境ホルモンもしかり。また、小麦については遺伝子組み換えの問題があります。
これらのことは確かに事実ではありますが、あまりにそのことばかりに気を取られてしまうと健康な人でさえノイローゼになってしまいかねません。
一方では、私たちの身体には外から入ってきた毒素や異物を除去する働きが備わっています。私たちの身体の中でデトックス機能を一番備えている臓器は肝臓ですが、それだけではなく腸管にもデトックスする機能が備わっていることが最新の研究から分かってきています。

下の図は、外(主に食事)から入ってくる毒素や重金属などの異物と身体のデトックス機能により身体の外に排出する能力とのバランスのを表しています。



現代社会では、外から毒素や異物が入ってくることを全くゼロにすることは出来ません。もし、本気でそうしたいなら世捨て人になって山の奥にこもるしかないのです。ただ、そうしても完全にゼロにすることが出来るかははなはだ疑問です。


下の図はこのバランスが崩れてしまった状態を表しています。腸管の環境が乱れると腸管から入ってくる毒素や異物の量は増えます。一方、肝臓のデトックス機能が低下するとどんどんと身体の中に蓄積するのです。身体の中に蓄積した毒素や異物はさらにデトックス機能を低下させ悪循環に入り込んでしまいます。


しかし、例えある程度の毒素や異物が身体の中に入ってきても私たちの身体にはそれらを解毒し身体の外に排出する機能が備わっているのです。このデトックス機能は言葉を変えて言えば、私たちが本来持っている「自己治癒力」なのです。

私たちの自己治癒力がきちんと作用してくれている限り、私たちの身体の中には毒素や異物は蓄積しません。

大切なことはインとアウトのバランスがとれているかどうかなのです。インとアウトのバランスが崩れる事で自己治癒力が低下すると言っても良いかもしれません。

私たちの提案している「自己治癒力を高める医療」では、腸内環境を整え腸管粘膜を修復することで、外から入ってくる毒素や異物を減らします。さらに、肝臓のデトックス機能を整えることで身体に蓄積した毒素や異物を排出します。そうすることによってインとアウトのバランスを取り戻しましょうということです。そうすることで、もともと私たちに備わっていた「自己治癒力」のスイッチをオンにする事が出来るのです。

正確な知識を持つことで身体に余計な負担をかけないようにすることはとても大切なことですが、過ぎたる懸念はノイローゼ症を生み出すだけだと思います。むしろ、少々のことがあってもきちんと健康状態を維持出来るように自分自身の「自己治癒力」を高めることをもっと意識した方が精神的にも良いのではないかと思います。
自己治癒力を高めるという事は、自己信頼を高めるという事と繋がっているというのが私の考え方です。自分自身を信頼する事が出来るようになると、あれこれと外側の知識に振り回される事もなくなってくるのです。意識をシフトさせる事は、実は私たちが思っている以上に重要な事なのです。


今週末に横浜で開催される「健康生活フェアー」で「自己治癒力を高める医療」と題して1時間ほどお話をさせて頂きます。

自己治癒力を高める医療 
病気になるプロセスに寄り添う

講演:9/21(日)15:45~16:45




         in パシフィコ横浜

http://www.healthylifefair.net/2014_yokohama/archives/guest/konishiyasuhiro