一般的に食物アレルギーというと、卵、大豆、牛乳、そば、えび・かになどを食べた時に出るじんましん、身体のかゆみ、呼吸困難などの症状が出ることを言うことが多いです。このようにすぐに症状の出るアレルギーは、即時型アレルギー(型アレルギー)と言われ、IgE抗体という免疫反応が関係しています。原因となる食物を食べてから症状の出るまでの時間が短いので原因がわかりやすいアレルギーです。

それに対して、食物を摂取後、数時間から数週間後に症状が出現する食物アレルギーがあります。
頭痛、めまい、うつ、などの精神神経症状、肩こり、慢性疲労など一見関係のないような多彩な症状を起こします。このようなアレルギー反応は、遅発型アレルギーと言われ、症状出現までの時間が長く症状も多彩であることから、このような病態があることを知っていないと診断をすることが困難なのです。

また、好んで食べている食物にこの遅発型フードアレルギーが多いとも言われています。好物だと思っていたものが、実は、健康を害する原因になっている可能性があるのです。

では、このような遅発型のフードアレルギーはどうして起こるのでしょうか。これには、腸内の環境が密接に関係しています。私たちの腸管内には20兆個もの腸内細菌が存在しています。
最近の研究で、これらの腸内細菌はただ腸内に「寄生」しているわけではないことが分かってきたのです。消化管が食物の消化吸収など正常に働くために、消化管と共同してとても重要な役割を果たしているのです。

ここでは、たんぱく質の吸収を例にとって見てみましょう。

 小腸では食事に含まれたたんぱく質は消化酵素で小さく分解されてペプチドやアミノ酸というものに分解されます。正常な小腸粘膜ではたんぱく質やペプチドの状態では吸収されることはありません。つまり、小腸粘膜が「バリアー」の役割をしているのです。このバリアーの働きをするうえで腸内細菌は重要な役割を果たしています。

ところが、何らかのストレスが原因で腸内細菌がバランスを崩れると、腸内環境が乱れると腸の粘膜の細胞と細胞の間に隙間が出来るのです。そして、出来た隙間から通常では通れないようなペプチドやたんぱく質が血液中に漏れ出るようになるのです。このような状態を「腸管漏出症候群(リーキーガット)」と言います。

そして、このようなリーキーガットの状態では、十分に分解されていない大きな分子が血液中に入るため、アレルギー反応を起こします。これが「遅発型フードアレルギー」なのです。