前回は、現在の西洋医学ではなかなか診断や治療が困難な病態について、腸管の状態が重要な役割を果たしているということについて書きました。

腸内環境のバランス状態を見る上で、「遅発型フードアレルギー検査」はとても有効です。この検査は、食事の食材に対してのIgGのアレルギーを見る検査です。通常は、この検査結果をみて、アレルギー反応のある食材を控えるように指導することが多いと思います。
しかし、わたしはこの検査は腸管の状態を見るための検査であると思っています。つまり、アレルギー反応はあくまで腸管の状態が乱れていることによる結果であって、病態の根本原因ではないという考え方をしています。

いくらアレルギーのある食材を食べないようにしても、その原因となっている腸管粘膜の障害は修復されることがありませんから、別の食材を食べればまたその食材に対してアレルギー反応があらわれてきます。そして、最後には食べる食材がないということになってしまいかねないのです。

この検査は腸管の障害の重症度を判定するための検査であるという認識が必要なのではないかと思います。そして、必要な治療は食材を避けることではなく、腸管の修復を行うことなのです。

下に示す図は、腸管の修復の治療を行った結果、半年の間にフードアレルギーの反応が改善した例を示しています。この治療の間、アレルギーのある食材を避けるような指導は一切行っていません。
この例を見ていただくだけでわかるように、腸管の修復をきっちりと行えばアレルギー反応は改善するのです。

遅発型フードアレルギー検査については、このような病態全体を把握したうえでの読影が重要であると思います。
そして、適切な治療を行い、最終的には「何を食べてもオッケー」な状態になっていただくことが、私たちの願いなのです。