「慢性疲労症候群」「副腎疲労症候群」そして、「起立性調節障害(OD)」は別々の疾患ではなく、一つの病態を違った角度から見ているだけではないかということについて書いてきました。

わたしが、そのように考えるようになったきっかけは当院を受診してくださった患者様からの治療経過を通じてです。
開業して間もないころ、長年「起立性調節障害」と診断されいろいろな治療を受けてきたけれどなかなか良くならないという患者様が受診してくださいました。
いろいろとお話を伺っているうちに、副腎機能の問題であろうと思い治療を行ったところ劇的に症状が改善されたのです。
さらに、副腎機能が低下する原因を探っていくと、腸内環境が悪化したことが原因となって「腸管漏出症候群(リーキーガットシンドローム)」を来していることが分かったのです。

腸粘膜というのは本来は身体の外と内とを隔てる重要なバリアーになっているのですが、腸管漏出症候群では、このバリアーが障害を受けることにより、身体にとってはアレルギーの原因になるさまざまなたんぱく質が「異物」として体内に侵入する病態です。それが、「遅発型フードアレルギー」を起こし、「副腎疲労症候群」に繋がっていくのです。

患者様を実際に治療する経験の中で、「診断名に囚われないこと」の大切さを教えていただいたと思います。
腸内の環境が整わない状態でいくらあれこれと薬やサプリメントをとっても吸収できないのですから、治療効果は表れてこなくても当然と言えば当然のことだったのです。
このように、慢性に続く疲労症状に対しては、単に「診断名に囚われた治療」を行うのではなく、身体全体のバランスがどうなっているのかという立場から診ることはとても大切であると思います。

最近では、患者様からの口コミで同様の症状でお悩みの方がたくさん受診してくださるようになりましたが、『治療』に対しての効果はさまざまです。ビフィズス菌のサプリメントを飲んだだけですっと良くなる方もおられれば、いろいろな治療を行ってやっと改善の兆しがみられるようになった方もおられます。
画一的な治療を行うのではなく、それぞれの患者様の身体の中に起こっている病態に合わせて、適切な治療を行うことの大切さを改めて感じています。


小西統合医療内科では、病気になるプロセスに寄り添った根本原因に対しての治療を行っています。