前回は、慢性疲労の症状を呈する病態にはいろいろな診断名がつけられていることを書きました。これらの病態はオーバーラップする部分があり、単に一つの病名にこだわるのではなく、もう少し広い観点から見る必要があります。

慢性疲労を呈する病態のうち、原因の分かるものに対しては西洋医学はとても有効で、効果的な治療を行うことが出来ます。しかし、原因のはっきりとわからないものに対しては対症療法でしか対応することが出来ません。これは、上の図で示す下流に対してのアプローチ方法に相当しますが、それには限界があるということをこれまで書いてきました。

採血などの検査をしてもはっきりとした異常が示されない場合、少し視野を広めて身体全体の自己治癒力がバランスを崩しているのではないかと考えて、中流や上流へのアプローチを試みることはとても重要です。
これまでの医療では「自己治癒力」の実態がはっきりとしなかったためともすれば「非科学的」であると捉えられていましたが、最近では分子栄養学や精神神経免疫学の進歩により科学的にアプローチすることが出来るようになってきました。

原因のはっきりとしない全身倦怠感やうつ症状などの場合、分子栄養学的に見ると上記のさまざまな要因が関係していることが分かっています。これらの要因は今までの西洋医学的な知識では対応することが出来なかったのです。

これらの分野はまだまだ未知のことが多く、客観的なデータの集積や裏付けが必要ですが、何よりも大事なことは実際にこれらの理論に基づき治療を行うことで、これまで治らなかった症状が改善するということです。

全国に100万人規模でおられるとされる慢性疲労の症状を呈する患者様にとっては、大きな期待が寄せられる分野ではないかと思います。


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