当院では、「酸化ストレス」「抗酸化力」測定検査を導入することによって、体の中の活性酸素の状態を数値として見ることが出来ます。
今回、アトピー性皮膚炎の患者様で治療前後で測定することが出来ましたので報告いたします。
(患者様のご了解を頂いています)


治療内容は還元電子治療を計10回、2週間継続していただきました。


頸部から前胸部にかけて著明なアトピー性発疹があり、ひっかいてかさぶた上になっています。途中でかゆみ止めの軟膏を使用されていましたが、ステロイド軟こうなどは一切使用していません。他の治療も一切併用していません。

治療前には著明な「酸化ストレス」の上昇があり、体の中に活性酸素が過剰な状態があると推定されました。治療前の516という数字はかなり高い値です。それが治療後はほぼ正常化しています。
抗酸化力は、治療前は見かけ上正常範囲で治療後に下がったように見えます。治療をしたのにどうして抗酸化力が下がったのかという疑問が出てくるかもしれません。
酸化ストレスが高値を示す状態の初期では抗酸化力は、それを打ち消そうとして高くなることが知られています。つまり、この方の基準となる抗酸化力は治療後の1700台で低下していると思われます。それが、身体に強い「炎症」が起こったことで一所懸命に働いて見かけ上の正常範囲にまで上昇していたと考えられます。そして、炎症が還元電子治療でおさまったことで、元の基準値に戻ったと考えられます。

追記(2013.11.22)
アレルギーの検査の結果(保険治療)が帰ってきました。


還元電子治療を10回(2週間)行った前後での比較です。
炎症の程度を反映すると思われるLDHと非特異的IgEは治療前と比べてやや低下しています。ただし、アトピー性皮膚炎の活動性の指標を示すとされるヒトTRACはむしろ上昇しています。これが経過が遅れて下がってくるのかどうかについては引き続き今後も検討する必要があります。
少なくとも現時点で言えることは、皮膚症状は著明に改善していますがまだまだ身体の中の炎症の指標は正常化していないということです。通常の場合も臨床症状と検査所見との改善にはかい離がある場合がありますが、今回のような場合は余計に慎重にする必要があります。