がん治療で通ってくださっていると途中で、
「こんなことで本当によくなるのだろうか?」
「他にももっと治療法があるのではないだろうか?」
などと言った色々な疑問や不安や否定的な気持ちが起こってくることがあります先日の診察で、そんな患者様のお一人と時間をとってゆっくりとお話させて頂きました。

どのような治療法も100%ということはありません。治る人とそうでない人との違いは、病気を作り出しているいままでの考え方や生活パターンや行動をどれほど変えることが出来るかが重要になってきます。
奇跡的治癒を経験された方の日記などを読ませていただいて共通するのは、奇跡的治癒を経験された方がみな、いままでの自分の生き方を大きく変えておられるということです。
いままでの生き方の結果病気を作り出しているのなら、それを変えないままで病気だけを治したいというのは難しいのです。

しかし、「生き方を変える」と言葉でいうのは簡単でも今までの何十年もの間に染み付いた生き方のパターンを変えるということは容易ではありません。
奇跡的治癒が少ないのも、生き方を変えることの困難さを示しています。しかし逆に、そこに向き合うことが出来さえすれば、誰にでも奇跡は起こるのだと私は思っています。

生き方を変えようとすると、それまでの生き方を守ってきたエゴが抵抗をします。
「そんなことをしても無駄だ」
「もっといい方法があるよ」
とエゴは囁きます。このような迷いを生む言葉の囁きはエゴの声です。ですから、そうだと理解して迷わないことが大切です。

診察の時に患者様がおっしゃっていたように、
「自分が治ると信じることができる人が治る」
というのは真実なのです。

しかし、「じゃあ、自分が治ると信じることが出来ない場合にはどうしたらいいのか?」という疑問にどうして答えるかは実は難しい問題です。

自分自身を信頼でき、自分自身の自己治癒力を高めることが出来れば病気が治るといくら「理屈」で理解しても、それだけでは自己治癒力のスイッチが入ることにはなりません。

「自分自身を信頼する」

というのは、病気の有無にかかわらずほとんどすべての人にとっての重要なテーマであると思います。もちろん、私自身にとってもこのテーマとの取り組む毎日であるといっても過言ではありません。

一つだけ言えることがあるとすれば、このテーマの「答え」といえるものがあるとすれば、それは自
分という存在の上流にさかのぼる探検の中で見つけることが出来るのではないかと私は思っています。