何となく体がだるい、力が入らないといった原因のよくわからない症状の原因に「機能性低血糖症」が隠れている場合があります。
私たちの血糖は自律神経やホルモンなどいろいろな要因で調整されていますが、なかでもインスリンというホルモンは唯一血糖を下げる働きのあるホルモンです。





上の図は、血糖とインスリンとの分泌曲線です。血糖が上がるにつれてそれと同じタイミングでインスリン分泌も上がっていることが分かります。血糖下がるにつれてインスリンのレベルも低下しています。
このインスリン分泌の調整は自律神経などの影響を受けるため、自律神経のバランスが崩れると血糖の調整にも支障をきたします。これを「機能性低血糖症(血糖調節障害)」というのです。

20年来原因が不明の全身倦怠感があり、当院を受診された方です。90分後に血糖上昇のピークが来ていて、正常の場合よりもずれていることが分かります。その後急激に血糖は低下し240分後には著明な低血糖を来しています。この時患者さんも何とも言えないしんどい感じを自覚されています。

この患者さんは、とにかく食後に甘いものが食べたくなるということで検査を受けられました。糖負荷直後に血糖の上昇がみられないのにもかかわらずインスリンの著明な分泌が起こっています。血糖もインスリンも2峰性のパターンを取っています。

このような、血糖の調節障害によるいろいろな不定な症状は多岐にわたり次のようなものが見られます。

身体的症状:

極度の疲労・頭痛・めまい・発汗・震え・心臓の動悸・筋肉痛と腰痛・食欲不振・慢性消化不良・手や足の冷え・目のかすみ・筋肉の引きつりまたはけいれん、甘いものに対する異常な欲求 など

精神的的症状:
うつ・不眠・不安・いらいら・集中力の低下 など