イカロボさん(プラマー・ロボダッチアイランド) | ロボダッチ研究所

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よいこのみんなロボダッチ研究所にようこそダッチ。プラモデルはロボダッチ、カーダッチ、ロボットそん59、ブイコン、ビックリダッチも網羅しているよ。タカラダイカスト、アマダやトーホーの玩具やカードなども充実しているだっち。ロボダッチフォーエバー!(所長タマゴロー)

「ぼくとロボダッチ」


じゃあねー!!

明日、また学校でね!!

5時を知らせるチャイムが聞こえてくると、駄菓子屋に集まっているクラスメイト達は、蜘蛛の子を散らした様に、その場所を後にする。

そして各々が、その日手に入れた宝物を手に握りしめ、夕日を背にしながら家路を辿る。


今日、僕が手に入れたのは入道ロボ。

本当はガマロボが欲しかったのだけど、ガマロボは人気があるらしく、すぐに無くなって中々買えない。

そんなに人気があるのか?

僕がロボダッチを知ったのは、比較的最近の話なので、正直、事情を良く把握していない。

が、多少、気にはなっていたので、数点程購入し、理解の薄いまま所持していると言うのが現状だ。

ガマロボが入ってるセットも、偶々だけど、実は、もう持ってる。

ただ、ガマロボの上に乗っかってる忍者のヤツの刀を無くしてしまっているのだ。

なので、もう一個欲しいと思っていたのだけど、この分じゃ入手に暫く時間が掛かりそうだ。

入道ロボも背負ってる武器を無くしてしまっているから、今日のところは、これで良しとしよう。

ガマロボは、また別の機会だ。

この駄菓子屋さんは、他の駄菓子屋さんと違って、バラ売りのロボダッチを75円で買う事が出来る。

僕の独自の調査によると、他では80円で売っている事が圧倒的に多いので、即ち、この店で買えば、他の店より5円安く買えると言う事になる。

実に良心的で、実に好感が持てる店だ。

僕の一番のお気に入りの駄菓子屋さんとして、今後とも利用する事にしよう。

それにしても、セットだと300円なのに、バラになると80円と言うのは、聊か疑問に感じてしまう。

4つセットだと320円になってしまうじゃないか!

僕ら小学校低学年生だって、掛け算位は出来るんだぜ!?

なめてもらっちゃ困る。

アレか?

少しでも巻き上げてやろうって魂胆なのか?

そう言うのを不当利益って言うんじゃないのか?

実にけしからん!

こう言うのを搾取って言うんじゃないのか?

小学校低学年のガキから5円をも搾取するとは、恥ずかしいとは思わないのだろうか?

まったく、大人と言う奴は、ズルと言う服を着ている生き物だと思えてならない。

だから僕は、将来、絶対に『小学生からお金を騙しとる』様な大人にはなるまいと、我が心に強く誓う。

そして、僕がいつか大人になって、世界を統べる覇者になった暁には、僕が搾取された分を根こそぎ回収してやるのだ。

百億万円は頂いてやる!

やられたらやり返す、倍返しってヤツだぜ!

って、あれ?

なんだっけ?

これ。


等と考えつつ、夕日で蜜柑色に染まった店を背に、自宅迄の約15分の道のりを一人歩きだす。

ついさっき迄の友人たちとの喧騒がまるで嘘の様にさえ感じられる程の静寂が押し寄せてくる。

暫く歩くと、暮れなずむ街の光と影の中にぼんやりと浮かぶ民家の窓は明るく光り、台所の排気口からは、その日の夕飯と思しき、美味しそうな、そして暖かい匂いが漂ってくる。

とぼとぼと歩く僕を、そこはかとない孤独感がベールの如く包み始める。

そして、これから、更なる孤独が訪れる事を知っている僕は、その為の心の準備を行わなければならない事を知っている。

何故ならば、僕は、鍵っ子で一人っ子なのだ。

帰宅後は親が帰ってくる迄の約3時間を一人で過ごさなければならない。

猫のタマコ(オス)が帰っていれば二人で遊べて楽しいのだけど、こればっかりはタマコの事情次第なので当てにする事も出来ない。

ボス猫であるタマコは、近所の有象無象を従え、支配下におく為の努力に余念がない。

特に、このところ、ヤツは中々に忙しいと見えるので、帰ってきていればラッキー位に捉えておくべきだろう。

つまんねーな。


鍵っ子と聞いて、或いは、傍からは、自由な時間が、ふんだんにあって羨ましいと感じるかもしれない。

ところがだ。

確かに自由と言えば自由なのだが、低学年のガキの身としては、その自由を謳歌するだけの術がないと言うのが現実なのだ。

幼さ故、寂しいやら怖いやらと言う感情の方が圧倒的に支配的になってしまい、とてもじゃないが、有効に、且つ、建設的に時間を使うなんて真似は出来る訳がない。

こちとら、ガキなのだ。

ガキをなめんじゃねぇ。

自慢じゃないが、腹が減ったって、一人じゃ飯すら作れない。

親が帰ってくる迄の間、万が一腹が減ったら買い置きの「激めん」を食って凌ぐ位の事しか出来ないのだ。

なんてちっぽけで、なんて無力な、小学校低学年の僕。

だが、今にみていろ。

いつか大人になったら、自由を求めてバイクを駆って夜の帳に消えていってやるぜ!

覚えたてのタバコをふかしてな!

うん?

このフレーズも、今は未だ早いかも・・・知れないな。


幸い、玩具は、それなりに買い与えられている。

これが孤独と引き換えに手に入れた一人っ子の特権ってヤツだ。

そして、僕にはお気に入りの玩具がいくつかある。

基、いくつもある。

サンダーマスクとタイヤーマがセットになったプラモは一箱に2体の人形が入っててお得感マシマシで好きだ。

ヒーローであるサンダーマスクだけではなく、敵怪獣をもプラモデルとして同梱されているところが実に素晴らしい。

キャシャーンに出てくるフレンダータンクのプラモもお気に入りだ。

但し、自分では難しくて作れなかった為、父に作ってもらった。

やはり父はスゲーぜ。

僕が手も足も出せず、己の無力さ故の絶望感に打ちひしがれている中、横から、このフレンダータンクをヒョイっと取り上げ、サクっと作ってしまったのだ。

流石大人と言ったところか?

僕も将来、自分の力で難しいプラモを作れる様な大人になってやるぜ。

そんな沢山の玩具の中で、今、最も気に入っているのがオレンジミクロマンとビームトリプラー。

近所に住んでるマーちゃんが、いち早く、イエローミクロマンとジャイロットを入手していて、それを自慢げに見せてくるのが極めて不愉快だったのだが、こちらとしても、ただ、手をこまねいて見ているだけではない。

対抗策として打ち立てたのが、このオレンジミクロマンとビームトリプラーのセットだ。

親に、嘆願に嘆願を重ね、つい先日、やっと買って貰った逸品だ!

そして、このオレンジミクロマンとビームトリプラーこそが、マーちゃんの胸糞悪い自慢話を阻止する為の強固な防御壁になる事は間違いない。

僕には、その未来のビジョンが明確に見えている。

見ていろ、マーちゃん。

キサマの度肝、このオレンジミクロマンとビームトリプラーが打ち抜いてくれる!

ふふ・・・ふふふふ・・・。

そう、僕には、これらの心強い仲間たちがいてくれる。

強く優しいヒーローたちが、いつも僕の傍らにいてくれるのだ。

独り言がこだまする様な部屋の中でも、みんながいてくれれば僕は前を向いていられる。

彼らがいればこそ、僕は、心を折らずとも、孤独な日々を過ごしていける。

寂しさなどは感じるはずもないのだ。


と、そんな中、今、急激にお気に入りになりつつあるヤツがある。

そうロボダッチだ!

今日もロボダッチを買ったが、実は、ロボダッチを知った当初は、それ程、心にひっかかる事は無かった。

全身フル可動でビークル迄用意されているミクロマンを頂点とし、組み立てなければならないと言う手間はありつつも、テレビマンガから飛びて出来た様な精巧なプラモデルたち。

仮面ライダーⅩのポピニカだって実にクールだ。

それらと比べると、ロボダッチは圧倒的に、そして明らかにグレードが下がる。

事実、今日も、駄菓子屋で、駄菓子を食べるついで程度に買ったし、言ってみれば、グリコのオマケの延長みたいなものと言う認識しかなかったと言うのが正直なところだ。

どうあがいても、ウルトラマンや仮面ライダー、マジンガーZやキャシャーン、スペクトルマン、サンダーマスク、ミラーマン、サンダーバード等とは明らかにブランド力が違う。

確かに、変身サイボーグやミクロマンは、テレビで放送こそされてはいないが、明らかに格調高く、且つ、魅力に溢れているアイテムであると言う事は、誰もが認めるところだろう。

ところがロボダッチはどうだ?

得体のしれないふざけたロボットに、目の肥えた僕ら子供が感じるもの等何一つない!

ある訳がない!

昨日今日現れたロボダッチ等と言う訳のわからんアイテムに心奪われるなんて事はありえないのだ。

ありえないずなのだが・・・。


最初に衝動的に買ってしまったのが、『デラックスロボZ』。

先日、行きつけのプラモ屋に行った時に、何故だかパッケージアートに目をひかれてしまい、ついつい買ってしまった。

一週間分の小遣いの値段なので、少々高価ではあるが、たまには、こんな小遣いの使い方も悪くないだろうと手に取った次第だ。

まぁ、所謂、衝動買いってヤツだな。

組み立ても簡単で、これ位なら僕一人で作れるので、父に泣きを入れる必要もない。

それに、このロボZには、ドライブタマゴローって言う小さいロボットもついてて、ちょっと得した気分になってしまったと言うのは内緒だ。

サンダーマスクとタイヤーマのもそうだけど、僕は、この「セット」ってヤツにめっぽう弱い。

一粒で2度も3度も味わえると思うと、ワクワクしてしまうのだ。

その一週間後、同じ店で、『ガマロボ』『かとんロボ』『サスケロボ』『入道ロボ』のセットを買った。

これもお小遣いを奮発して買ったのだが、何せ、1パックに4つのプラモが入ってると言うのは魅力的だ。

結果的に、今、僕は、ロボZとドライブタマゴロー、そしてガマロボ、かとんロボ、サスケロボ、入道ロボを持ってる。

今日、又、入道ロボを買ったから、数としては7体のロボダッチがあるって事になる。

グリコのオマケの延長程度だと高をくくっていたはずなのに、いつの間にか心の襞に引っかかっていた様だ。

恐るべし、ロボダッチ。

不思議パワーがそうさせるのだろうか?


どうでもいいが、僕らが大人になる頃は、きっとお菓子のオマケに付いてくる玩具も、凄く出来が良くなって、巷では大人気になるんじゃないかな?

食玩なんて呼ばれたりして、大の大人が挙って集めてたりしてね。

ロボダッチも彩色されて食玩で販売されてたりしてね!

まさか・・・ね。


ところで、どうやら、ロボダッチの小さいヤツは4つが1パックになってるのが基本っぽい。

でも、プラモ屋では4つ纏めて売ってるけど、駄菓子屋ではバラバラでしか売ってないんだよな。

これは何かしらの取り決め事があるのだろうか?

等と勘ぐってしまうな。

国会で決まったのか?

総理大臣が決めたのか?

だったら仕方ないな。


さて、ロボダッチを買う際の話だが、合理的に考えれば、プラモ屋で300円で買うべきだろう。

但し、一度に出ていく金額が多いと言うデメリットもある。

何せ、こちとら、一日の小遣いは50円なのだ。

よく考えて行動しなければ、直ぐにじり貧になってしまう。

そう言う意味では、少々割高になってしまったとしても、駄菓子屋でバラで少しずつ買うと言うのも選択肢の一つとして持っておいても良いかもしれない。

ま、僕のお気に入りの、あの駄菓子屋で買えば、プラモ屋と同等の値段で入手する事が出来るのだがね。

二日分の小遣い、100円を持って行って、ロボダッチを一つ買っても、おつりでネコガム位なら買える。

懐事情に応じて、都度都度、購入方法を選択する事としよう。

当然、バラで買う場合は、極力、お気に入りのあのお店で買うのは言うまでもないが、時として、他の駄菓子屋で購入せざるを得ない状況に見舞われる事があると言う事も考慮に入れておかねばなるまい。

先は長そうだ。

クレバーなファイナンスプランを立てて挑むとしよう。


それにしても、どうやら僕は今、僕が思う以上にロボダッチが気になっている様だ。

そう言えば、クラスでも、何人かがロボダッチの話をしていたっけ。

もしかすると、僕の知らないところで小さなブームになってるのかもしれないな。

確かに、キャラクターも中々カワイイし、安いからお小遣いでも買えるし、沢山種類が出てるから、ゴチャゴチャしてて賑やかで楽しいしね。

よし、今度、他のヤツも買ってみよう。

丁度今、ちょっと気になってるヤツがあるんだ。

デッカイドリルが前についてるヤツ。

アイツ、なんかカッコいいよな。

今度はアイツを買おう!


いっそ、集めてみてもいいかもしれない。

いっぱいアイテムがあるから、全部集めるのは大変そうだな。

来年、進級する頃には全部揃うかな?

無理かな?

再来年には何とかなるかな?

いや、もっとちょっと掛かりそうだな。

3年位かな?

5年かな?

10年かな?

50年掛かったりしてね。

まさかね。


50年後は2024年か。

僕もきっとその頃は大人になってるな。

もう玩具になんて興味が無くなってるのだろうな。

ロボダッチの事なんか、綺麗さっぱり忘れているに違いない。

間違ってもロボダッチのブログなんぞをやってるはずもないな。

ロボダッチアイランドなんて名前をつけては、大人気なくキャッキャッと喜んでいるなんて事は絶対にあり得ない。

だって、大人なのだから!


ん?

ブログ?

ブログってなんだ?

アレ?

アレレレレ?


それにしても腹減ったなぁ。

激めんでも食うかな。

あ~あ、早く親、帰ってこないかなぁ・・・。